またもや一部のメディアで広がる、「日本とも米国とも、各懸案は『首脳会談でなんとかなる』」との考え・・首脳会談の予定はまだ無し

来週の国連総会で、久しぶりに各国首脳たちが集まる(対面会議)こととなりました。その影響か、韓国メディアではまたもや『首脳会談でなんとかなる』という話が増えています。今回は、日本岸田総理だけでなく、米国バイデン大統領との首脳会談も、いつもより話題になっています。インフレ抑止法及び半導体関連法のことも、首脳会談で一気に進展できるという主張も目立ちます。本エントリーのソース記事は、単に私が見つけた(読んだ)順番で、イーデイリー韓国日報毎日経済なります。余談ですが、エリザベス女王の国葬にユン大統領も参加、岸田総理との首脳会談の話もありましたが、岸田総理は不参加する形となったので、盛大にズレました。まずは、各紙、<<~>>で簡単に引用してみます。

<<・・尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が、ジョーバイデン米大統領および岸田文雄日本首相などと日米・日韓会談を推進中だ。20日に予定された国連総会の基調演説を前後し、それぞれ現地会談を行うための水面下での作業が進行中だ。岸田首相との会談が成立すれば、両首脳の間で初の公式会談になるだけに、韓日関係の早急な正常化のための解決法を探すための議題が最優先になる可能性が大きい・・

 

・・(※韓米首脳会談の場合)米国がインフレ抑止法を施行し、韓国電気自動車が補助金支給対象になれなかったことに対し、経済や政治各部門の懸念、不満を伝達し、後続措置を促すべきだ。去る5月、韓米首脳会談で両国が安保・経済同盟から技術・価値まで共有するグローバル戦略同盟にアップグレードされたと宣言したことを勘案すれば、なおさらそうだ。電気自動車問題が同盟に対する信頼と好恵の精神を揺さぶることはないと、認識させなければならない(イーデイリー)・・>>

 

<<・・大統領室は12日、韓日首脳会談と関連、「両者首脳会談になるか、略式会同になるはわからないが、会談を推進中」と明らかにした。会談が成立すれば、両国政府に相当な力を与えることができるだろう。当初、最高裁が現金化決定を今月初めまでは行うと思われていたが、何の結論も出さず、何の予定もなく延期されている状態だ。その間、外交部は日本と接点を探す時間を稼いだ・・・・日本側の変わった気流も感知される。いままでは現金化回避に没頭した日本だが、最近になって、問題解決の必要性に共感すると伝えられた。外交部当局者は13日「官民協議会は終了したが、新しい形態の意見を集め、緊張感を持って合理的代替案を設ける」と明らかにした。政府案を完成するまで1ヶ月ほどかかると思われる(韓国日報)・・>>

 

これは、尹錫悦政権だけの問題でもありません。首脳会談といっても、懸案について具体的に話し合うには相応の時間と、なにより、相応の事前調整が必要になります。国連総会のような多国間協議での首脳会談は、もしやるとしても、30分ぐらいのものが一般的で、議論するというより、『最近、こんなことを考えています』と意見交換する、または、前の首脳会談などで両国で話し合った内容の途中経過について話したりします。一般論ではありますが、国連総会などでの首脳会談では、いま各メディアが話している『懸案の解決』を語ることはできないわけです。

他にも、首脳会談やその議題においていろいろ事情があるでしょうけど、少なくとも、今、各メディアが期待しているような首脳会談は、『事前の調整がほぼ終わっていて、それから行うもの』であり、『何の調整もできていないので、そこをなんとかするためのもの』ではありません。いつだったか、『そういうのは外相会談の役割で、だから(日韓)外相会談は行うことがあるけど、首脳会談となると、レベルが違う』という話を引用したことがありますが、そういうものでしょう。もし『久しぶりです』ぐらい挨拶ができたとしても、ちゃんとした議論が出来る場ではないでしょうし。

 

それに、最大のオチは、首脳会談について日本側は『何も決まっていない』と言っていることです。 毎日経済はこの件で「日本側は、まず見守ってから決めるというスタンスだ」としながら、『両国の発言に、温度差がある』と指摘しています。6月にも大統領室は同じことを言っていたけど、なにもなかった、とも。続けて引用してみます。

<<・・関係改善の可能性を置き、再び両国間に温度差が感知されている。政府は6月、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に続き、今月末に開かれる国連総会でも韓日首脳会談を希望するというメッセージを発信しているが、日本では、決まったことはないと言い切った・・・・13日、日本経済新聞によると、岸田文雄日本首相が今月ニューヨークで開かれる国連総会に参加し、現地で米日常会談を推進している。同紙は「ユン大統領も岸田首相の初首脳会談を希望している」とし「日本は現金化に対するユン政権の対応を見守ってから判断するだろう」と報じた。林芳正日本外務相もこの日、「(国連総会での)韓日首脳会談の実施については現時点で決定されたことがない」と説明した。いまは、国連総会に出席する際、米日首脳会談は推進しているが、韓日首脳会談はユン政権の対応を見守ってから判断するという意味だ。

 

一方、大統領室の高位関係者は、前日のブリーフィングで国連総会の時、韓日首脳会談が開催される可能性を尋ねると、「両者首脳会談になるのか、それとも略式会同になるのかは分からないが、現在会談を進めている。まだ確定できていない」と答えた・・・・6月末、スペインのマドリードで開かれたNATO首脳会の時も、大統領室は「韓日首脳がNATO会議の期間、少なくとも3回は出会う」とし、日韓首脳間の略式会同の可能性を開いたままにしている。正式会談までではなくても、両首脳が5分ほど歓談できるという趣旨だった。当時、朴振(パク人)外交部長官も放送インタビューで「NATO会議で韓日首脳が自然に会って意味のある会話を交わす機会があるだろう」とし「首脳間出会いで解決法を議論できるだろう」と見通したりした(毎日経済)・・>>

最後に、お陰様で順調の「プレジデントオンライン」の寄稿文(拙著の部分編集記事)ですが、なんと第二弾が掲載されました。最近よく書いてきた半導体関連、中国関連の内容で、タイムリーでよかったと思っています。本当にありがとうございます。

 

 

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