ユン政権、中国のNo.3をちゃんとした儀典で迎える・・複数のメディアが『ペロシ議長のときと全然違う』と指摘

予定通り、中国の栗戦書(リジャンシュ)全国人民代表大会 常務委員長が韓国と訪問、尹錫悦(ユンソンニョル)大統領とも面談しました。本ブログでは3~4回この件をエントリーしてきたので、続報として取り上げますが、率直に言って、これといって成果と呼べるものはなにもありませんでした。むしそ、中国側では、『ユン大統領が、中国を理解した』という記事まで出ています(そんな趣旨を実際に話したかどうかは分かりませんが、公開されている情報の中にはありません)。

まず、どんな話があったのかといいますと、ユン政権はいつもTHAADについて、『安保のためのものであり、協議の対象ではない』としてきました。大統領だけでなく、政府公式見解となっています。しかし、いざリ委員長と会った場では、『お互いが緊密に疎通し、両国関係の懸案にならないようにしましょう』と話しました。聯合ニュースは、この発言が、中国側にとっては『ユン大統領が中国の立場に理解を示した』とされている、とのことでして。『協議の対象ではない』としていたものが、『疎通しましょう』になったからです。以下、各紙、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・ユン大統領は16日、リ委員長の表敬訪問を受けた席で、「最近、韓中外交長官会談で議論されたように、両側が互いに緊密な疎通を通じて、THAAD問題が両国関係の懸案にならないようにしなければならないだろう」と話した。これにリ委員長は、相互問題に対する緊密な疎通の必要性に共感したと、大統領室が発表した。リ委員長は同日、キムシンピョ国会議長との非公開面談で、サードに対して「中国の戦略安保利益に対する米国の意図」とし「韓中両国の外交長官たちが会談(8月9日)この問題を話しながら、両国関係に問題にならないよう協議した」と話した、と伝えられた。

中国では、「韓国が中国の懸念を理解した」と解釈している。リ委員長の訪韓日程と関連して、中国ではユン大統領のTHAAD関連発言が、「本件をめぐる中国の厳重な立場を韓国側が受け入れたことを示すものだ」という解釈が出た。リヤオニン社会科学院朝鮮半島専門家リュ・チャオ氏は、人民日報系列「グローバルタイムズ」17日付で、「ユン政権が中国の厳粛な立場を受け入れたものだと思う」と解説した(聯合ニュース)・・>>

 

今回、ユン大統領としては、リ委員長に『会っても、会わなくても、問題』という指摘がありました。ペロシ議長の件があったからです。例えば中央日報など国内メディアも、『ペロシ議長にちゃんとした儀典を行わなかったこともあり、同じく序列3位の人を公式招待してちゃんとした儀典で迎えると、これはどうしてもくらべられてしまう』と、前から指摘してきました。以下の記事は11日のものですが、リジャンス委員長の訪韓は、15日の空港での迎えから16日の大統領との面談まで、ちゃんとして手続きで行われました。この件、国民日報は、なんと迎恩門も話まで取り出して、「『迎え』は、昔も今も、外交のスタート時点だ。米国が感じたことが、そう簡単に消えるのだろうか」と指摘しています。以下、続けて引用してみます。

 

 <<・・外交情報筋たちの間では、ユン大統領としては、訪韓するリ委員長に会っても会わなくても、政治・外交的に問題になるジレンマになるという話が出ている」、そのジレンマの核心は、リ委員長が、先月訪韓したペロシ米下院議長と、国家儀典の序列的には同じだからだ。当時、ユン大統領は休暇を理由にペロシ議長と会わず、あとになって自宅から電話通話だけした。当時ペロシ議長が訪れたアジア各国のうち、国家首脳との面談が行われなかったのは、韓国だけだった・・

・・それだけでなく、ペロシ議長が到着した時、韓国側の誰もが空港で出迎えなかったことなど、国内では同盟に対する態度ではないとされ、米国側からも、相応の指摘があった。このような状況で、ユン大統領がリ委員長と面談を進行した場合、ペロシ議長の時と直接比較になるしかない。キムフンギュ米中政策研究所長は、「もし、ペロシ議長に会わなかったユン大統領が、リ委員長とは会うことになった場合、中国は『米国を相手にした外交的勝利』として考えるだろう」と話した(中央日報)・・>>、と。11日の記事ですが、これがもっとも良い『まとめ』ではないでしょうか。

 

<<・・外国の貴賓の迎えこそが外交の出発点であり、国家間の力のバランスの尺度として認識されるのは、昔も今も変わらない・・・・場所が空港に移されただけだ。最近、ユン政権は対立が強くなっている両国の貴賓の相次ぐ訪韓で、簡単ではない『儀典テスト』を行っている。米国のNo.3であるナンシー・ペロシ下院議長は、先月、オサン空軍基地到着当時、韓国側から誰も迎えに行かず、儀典についての論議があった。当時、すでに中国No.3のリザンス全国人民代表大会常務委員長の9月訪韓が予想されていたためだ。

米メディアは、ユン政権が中国側に傾いたようだとの視線を送った。実際、去る15日、リザンスはちゃんとした空港での迎えを受けた。仁川空港ではなく、国家首脳が利用するソウル空港に降り、イグァンジェ国会事務総長が迎えた。休暇中だとしてペロシ氏と面談もせず電話通話だけだったユン大統領は、16日、ちゃんとリザンスを迎えた。国会は、ペロシとは違って、リザンスは国会議長の公式招待に来たからだと解明した。誤解は解けるとしても、米国の感じたことが容易に静まるであろうかは分からない。儀典の洗練美がほしかったところだ(国民日報)・・>>

 

「どちらなのか」というより、「何がしたいのか分からない」という印象を受けるのは、私だけでしょうか。前々から、具体的なビジョンが無い、政策の流れが読めないという指摘もありましたが。これで、バイデン大統領との会談では米韓通貨スワップを求めるというから、さらにさらに、よくわかりません。

 

 

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