米国の中央銀行、連邦準備制度理事会(FRB)がまたもや0.75%の大幅な金利引き上げを発表したこともあり、各国で通貨安が話題になっています。そんな中、金融に特化された記事ではありませんが(引用部分は記事の一部です)、朝鮮日報の週刊紙『週刊朝鮮』が、金融部門において日本との協力は何より重要で、それは、いま国内で重要視されている各懸案よりも、もっと重要なことだとする主事の記事を載せました。
記事は、『知らない人も多いようだが、日本はすでに貿易国家というより金融国家だ』としながら、現在韓国の短期外債の多くが、実は日本発のものだとし、直接的に書いてあるわけではないものの、迂回的に、『その資金の回収が始まれば、どうなるのか』、そして『もし貸してくれなくなったらどうするのか(※他国からは長期で借りるのが難しいという意味でもありますので)』という点を強調しています。今回の国連総会のときもそうでしたが、米国または日本との通貨スワップが必要だとする記事は複数のメディアから出ていますが、このような観点の記事は(評価のほどはともかくして)珍しい気がして、紹介します。以下、<<~>>が引用部分となります。元記事が長いにもあって、いつもよりちょっと長めです。
<<・・9月以降、外国為替市場が不安定だ。米国の基準金利引き上げと、ドルの流動性が大幅に縮小し、為替関連の危険性についての可能性も言及されている。米国や日本との通貨スワップが必要だという主張が、各新聞の社説に登場する、そんなところだ。政府は外国為替保有額が『なんと』4364億ドル(9月5日基準)もあるので、『心配する必要は無い』としている。しかし、対外債務を考慮すれば、『心配する必要がある』であることが分かる。今年6月末基準で、『なんと』6620億ドルの対外負債があるためだ。今年3月の6540億ドルより増えており、9月末にはさらに増加していると推定される。
いろいろな修飾語を使って避けて通っているつもりかもしれないが、発展途上国発の、外国為替に関する問題がニュースになる瞬間、その余波はすぐにソウルまで届くだろう。外国為替市場の動きと、尹大統領の外交政策と何の関係があるのか、と気になる人もいるかもしれない(※ソース記事は、両国関係において尹政権の外交に関するもので、本エントリーでは金融関連の内容だけを引用しています)。それが、実はものすごく直接的につながっている。対外債務の相当額が、日本発のものだからだ。
特に短期債務の場合、日本資本が圧倒的だ。今年6月基準で我が国の『1年内の短期外債』規模は1838億ドルに達する。全体外債6620億ドルの30%、外国為替保有額4364億ドルの41.9%に達する膨大な規模だ。「もしも」のことではあるが、日本が短期外債の満期延長せず、新規外債の供給もしなくなった場合、1997年の事態が再現される可能性がある。日本は、政経分離政策に慣れている国だ。他国との関係で対立があろうとも、お金の領域まで影響が及んだりはしない。しかし、2022年は違う。
経済自体が円安になっており、米国発の経済的問題が『長期間』世界に拡散するという予想が多いからだ。これからの経済状況が不透明になると、収益よりは安全を重視した政策に進むしかない。日本は、全世界最高の投資規模を誇る国だ。約3兆ドルの対外投資のおかげで、1年に稼ぐ金融収益だけでも、少なく見積もっても2000億ドルに達する。誤解する人たちが多いようだが、日本はすでに貿易国家ではなく金融国家に変身した状態だ。貿易赤字がいくら増えても、米国、ヨーロッパに行った3兆ドルの投資を通じて、それを補うことができる。急な円安というけれど、その復元力は強い。
しかし、投資規模が3兆ドルに達しても、無条件でお金を投資し続けるわけではない。少しでも隙が見えると、融資延長や新規融資にブレーキをかけることもある。政治と経済の分離に慣れているとはいえ、米中対立の深化とともに、日本のスタンスも変わりつつある。米国の対中政策に合わせて、日本は対中輸出においての制限品目を毎日のように追加している。尹大統領が直接前に出るべき理由でもあるが、そんな日本との対立を解決することは、各懸案よりももっと重要な、為替リスクを乗り越えるためのものである(週刊朝鮮)・・>>
このあと、記事は、『だから、早く解決法を出しましょう。前の政権の問題だったとはいえ、早く何とかしないと』というアピールに入ります。記者によってそれぞれ専門分野も違うものだし、見方にもよるものだし、現状、注意喚起として珍しい観点の記事だと思っています。しかし、『解決法を出す』という表現にこだわりすぎで、話を『なにか、難しいもの』にしている気もします。
『案を容易する』とかそんなものより、『すでに締結済みの条約をちゃんと守る』という側面からアプローチしたほうが、ずっと肯定的な結果が出せるでしょうに。いわば、『どうでしょうね、でも、核心はそこではありませんよ』といったところです。これは本ソース記事だけでの問題でもありませんが、書いてある内容『だけ』を読むときと、事側の全体像から見たとき、ぜんぜん違う印象になる記事が多いのも、そのためでありましょう。貿易も金融も、要は信用なのです。
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