ハリス副大統領が強調した『台湾問題』や『インド太平洋地域のための日米韓協力』、韓国大統領室は発表せず・・あとになって台湾関連だけ追加発表するも、中国関連内容は無し

安倍元総理の国葬に参加し、帰りに韓国にも訪れたハリス米国副大統領。尹錫悦(ユンソンニョル)とも結構長い時間(85分と言われています)話し合いました。ですが、その内容について、ホワイトハウス側と大統領室側の発表内容が、それぞれ違うという指摘が提起されました。ホワイトハウスや日本・米国などのメディアは基本的に経済安保、すなわち中国、台湾、そして日米韓協力について話し合ったと報じ、実際にホワイトハウス側の発表もそうなっていますが、『中国』『台湾』『日米韓協力』という3つについての内容が、大統領室側の発表には無かった、というのです。

メディアによっては、ハリス副大統領が強調したという『日韓関係改善の必要性』についても、発表内容が一切無かった、とする記事もあります。ソース記事は東亜日報と、ネットメディア『CNB』となります。大手では、東亜日報以外はこれといって記事が出ていないようです。台湾問題については、記者たちの関連質問が相次ぎ、大統領室は後になって追加発表を行い『台湾問題についても話し合った』としましたが、その追加発表にも中国に関する内容は無かった、とのことでして。本ブログで今まで書いてきた尹政権の外交の『流れ』は、まだまだ変わる兆しが見えていないようです。以下、各紙、<<~>>が引用部分となります。

 

<<・・米国ホワイトハウスは29日、尹錫悦(ユンソンニョル)大統領とカマラ・ハリス米国副大統領が会同した後に出した報道資料で、2人が「中国と台湾について議論した」と明らかにした。一方、大統領室は、会談の後のブリーフィングで、台湾問題に言及したかどうかを公開していない。記者たちの質問が続くと、別途の発表を通じて「台湾海峡問題を議論した」と明らかにした。その際にも、中国に関する問題も会談で取り上げられたという事実は、明らかにしなかった。

ホワイトハウスは「ハリス副大統領が台湾海峡で平和と安定を維持するための努力が、自由で開かれたインド太平洋の核心要素であると強調した」と説明した。ハリス副大統領は「米韓同盟がインド太平洋と全世界の平和と安定、繁栄の核心軸であることを強調した」とホワイトハウスは伝えた。韓米同盟がインド太平洋安定で役割を果たさなければならないだけに、中国の脅威から台湾を守るために韓米が協力する必要性に言及したものだ、と解釈される(東亜日報)・・>>

 

引用部分にはありませんが、大統領室は「駐韓米軍に関連した言及はなかった」と話した、とのことです。なぜここで在韓米軍が出てくるのかは、つい28日にもエントリーしたばかりですが、米国側から『台湾防御のため、在韓米軍を動かす』との主張が相次いでいるからです。27日にも、前・在韓米軍司令官であるロバートエイブラムス氏が、RFA(自由アジア放送)で『台湾の有事の際には、在韓米軍も出動する』と話し、韓国国防部は『在韓米軍は北朝鮮問題に注力する』と反論したりしました。

尹大統領もCNNとのインタビューで「最優先は北朝鮮問題であり、中国による台湾の有事の際には北朝鮮も動く可能性が高い(だから、在韓米軍は動いてはならない)」と話したりしました。単にそういう側面だけを話したのなら、別にそれでいいですが・・最近の尹政権の対中外交の方向性を知っている人なら、「単に中国との関係を気にしているのではないか」、誰でもそう思うでしょう。続けてCNBから記事を引用してみます。

 

<<・・尹大統領とハリス副大統領の会談の後に出てきた大統領室の発表と、ホワイトハウスの公式発表文を比較してみると、かなりの違いがある。ホワイトハウスの文を見ると、予想通り、安保同盟に対する内容が前半部を占め、後半なって、米国のインフレ抑止法による電気自動車補助金について話したという内容など、経済関連が一部出てくる。ハリス副大統領の今回の訪韓は、明白に「インド太平洋地域の安保」に重きを置いたものだと分かる。一方、大統領室が出したブリーフィングでは、会談結果について米韓同盟の発展、インフレ抑止法施行過程での電気自動車補助金、必要に応じて金融安定のための流動性供給装置協力など、3つの事項が強調されており、まるで今回の会談が主に経済のためのものだったように見える。

 

大統領室の発表には、韓米同盟と北朝鮮ミサイル関連の共同対処だけが言及され、インド太平洋地域の安全保障と、日米韓3国間の協力については、全く言及されていない。しかし、海外メディアは、『インド太平洋地域の安保と繁栄に寄与するための』米韓同​​盟や日米韓三国間協力が議論された、と書いてある。ホワイトハウスの公式声明を見ると、このような点はさらに明らかだ。声明は「尹大統領とハリス副大統領が会同した」という最初の文章のすぐ後、2番目の文章からして「副大統領が、韓米同盟はインド太平洋と全世界の平和、安定、繁栄のつながりとして残っていると強調した」と明らかにした。また、「ハリス副大統領は中国と台湾の問題を議論した」と明らかにし、最後の文章は「ハリス副大統領は日韓両国関係改善の利点を強調した」となっている。つまり、日米韓3国、 中国、台湾、日韓関係という4つのキーワードが、大統領室側の発表には全く出てこないのだ(CNB)・・>>

 

分かりやすい点だけは評価(?)せざるをえない・・といったところでしょうか。ちなみに尹政権の場合、北朝鮮関連での日米韓安保協力にはある程度応じていますが、『インド太平洋』という言葉が出てくると、まだまだスタンスをはっきりしていません。ここでいう日米韓というのも、ハリス副大統領の訪韓目的からして、きっと『自由で開かれたインド太平洋』関連のものだったのでしょう。さて、本文はここまでで、最後に告知です。いつもは週末に更新を1~2回休むことが多いですが、今回はちょっといろいろ用事があって、今日の午後、更新を休むことになりました。次の更新は、明日、土曜日の朝(いつもの11時前後)になります。また、10月は何度か週中に休むことになりそうですが、それは後でちゃんと事前告知します。それでは、今日もありがとうございました。

 

 

・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において『本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。

  ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2022年9月2日)からですが、<尹錫悦大統領の仮面 (扶桑社新書)>です。文在寅政権の任期末と尹錫悦政権の政策を並べ、対日、対米、対中、対北においてどんな政策を取っているのかを考察しました。政権交代、保守政権などの言葉が、結局は仮面が変わっただけだということ、率直に書きました。 新刊<日本人を日本人たらしめているものはなにか~韓国人による日韓比較論~>も発売中です。「私はただ、日本が好きだから、日本人として生きたいと思っています」。これが、本書の全て、帰化の手続きを進めている私の全てです。 刊として、日本滞在4年目の記録、<「自由な国」日本「不自由な国」韓国 韓国人による日韓比較論 (扶桑社新書) >と、新しく出現した対日観について考察した卑日(扶桑社新書)>も発売中です。 ・刊・準新刊の詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。 ・当に、本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。