尹錫悦大統領の支持率、9月30日発表で24%(前回28%)、20代では9%・・岸田総理との『懇談』が低評価の大きな理由か

尹錫悦(ユンソンニョル)大統領の支持率が高くないのは目新しい情報でもありませんが、大統領制、しかも単任制(同じ人が2回大統領になることはできない)であることもあって、一部のメディアが「いよいよまずい状態になったのでは」という記事を載せるようになりました。「韓国ギャラップ(以下、ギャラップとします)」という、支持率関連でよく目にする調査機関ですが、9月になってから33%まで回復した支持率が、前回28%、今回(9月30日発表)で24%まで下がった、とのことです。

主な理由は、例の問題発言もありますが、それより『外交』でした。特に、20代の支持率が9%台になっている、とのことでして。ニューシースは同じギャラップの調査で、他の大統領の就任1年目、7~9月調査の平均支持率を紹介していますが、尹大統領は29%でした。基本的に、スタートしてからあまり経ってない時点なので支持率が高い方です。同じ調査が行われるようになった盧泰愚(ノテウ)大統領が57%、金泳三(キムヨンサム)大統領が83%(軍事政権を終わらせたということで、このタイミングでは高支持率でした)、金大中(キムデジュン)大統領62%、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領40%、李明博(イミョンバク)大統領が21%で、尹大統領より低いのは李大統領だけです。朴槿恵(パクグンヘ)大統領51%、文在寅(ムン・ジェイン)大統領75%でした。以下、各紙、<<~>>が引用部分となります。

 

<<・・尹大統領の国政遂行支持率(※支持率)が24%となり、就任後最低値を記録した。エリザベス女王に弔問できなかったこと、私的発言、米韓首脳会談できなかったこと、略式にとどまった日韓首脳会談など、外交に関する論議が支持率を引き下げたと分析される。ギャラップが27~29日(9月5週目)成人男女1000人を対象としたユン大統領職務遂行評価で「支持」24%、「支持しない」は65%と集計された。支持は前回比で4%ポイント下落し、不支持は4%ポイント上昇した・・・・支持しない理由では「外交」が17%で先頭に立った(※発言不注意は8%)。これまでは、経験不足、経済民生、疎通不足などだった(ニューシース)・・>>

個人的に興味深いと思ったのは、若い年齢層、特に20台で支持率が低く、また、『支持する』と答えた人でも、なんで支持するのかを明らかにしていない点です。どちらかというと保守側となる『釜山日報』の分析によると、同じギャラップの調査にて、保守支持が強いとされる釜山・蔚山・慶南地域でも支持率が30%(不支持55%)、もっとも強いとされる大邸・慶北地域でも35%(54%)でした。もっとも国政運用に影響するとされるソウルでは、支持23%(不支持70%)。首都圏とされる仁川・京畿でも22%(65%)。

 

18~29歳では支持率が9%(不支持74%)、30代15%(75%)、40代16%(78%)、50代27%(66 %)、60代34%(57%)、70代以上46%(34%)でした。ただ、『支持する』と答えた人たちも、その理由(自由回答)について「わからない/回答しない」が23%で最も多かった、とのことでして。これは、無条件で支持すると決めている人たちである、という意味ではないでしょうか。韓国で言う「鉄板支持層」のことです。全般的に低いけど、特に20代で9%、30~40代でも10%台というのは、さすがにこれはどういうことだ・・としか思えません。

ソース記事に明記されているわけではありませんが、個人的に、『エリザベス女王に弔問できなかったから』というのは、ちょっと説得力がありません。バイデン大統領と歓談しかできなかったことはまだ分かりますが。ここはやはり、岸田総理と『懇談』しかできなかったこと、懸案について何も進展がなかったことが、相応の影響を及ぼしているのではないでしょうか。ケーブルテレビ局なども運営している『ニューストマト』の世論調査結果によると(これはいままで書いてきたギャラップの調査とは別のものです)、例の懇談について、世論はこのように見ています。以下、表記は『懇談』にします。

 

<<・・国民の55.8%が、去る21日(現地時間)、米国ニューヨークで行われた懇談について、「懸案についての言及が無かったという点で、失敗だった」とした。「関係改善の第一歩を踏み出した意味のある会談」という評価は37.6%にとどまった。保守側の中心とされる大邱・慶尚北道(いわゆるTK)でも、半分以上が失敗とみた。30日<ニューストマト>が世論調査専門機関<メディアトマト>に依頼して去る26日から28日まで3日間満18歳以上全国成人男女1009人を対象に実施した’選挙および社会懸案54次定期世論調査結果によれば、全回答者の55.8%が今回の懇談を失敗とした。37.6%は意味のある会談だったとし、「よく分からない」と答えを留保した人が6.7%と調査された・・・・中道層の場合は、失敗58.0%、成果32.8%だった(ニューストマト)・・>>

 

他には、引用部分にはありませんが、先の釜山日報の記事が紹介しているデータによると、日韓関係改善については『急ぐ必要は無い』とする意見が64%だった、とのことでして。いくつかのデータを総合してみると、例の問題発言や弔問のことよりは、やはりこの懇談が支持率低下に影響したのではないか・・そんな気がします。ただ、繰り返しになりますが、例えばギャラップの調査など該当データに直接的にそう書いてあるわけではありません。

政党支持率は、大差ありませんが、どちらかというと野党の支持率がちょっとだけ高い、とのこと。例の発言の件や外交部長官解任決議案のことで与党・野党の対立は強くなっており、国会での議席数の問題もあるし、尹政権としては、国内政治で何か画期的な反転を成し遂げるのは難しいでしょう。さて、尹大統領の次の手は何か、大統領の次回作にご期待ください。

 

 

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