『選挙さえ終われば』の続きか・・岸田総理と尹大統領の『懇談』、『安倍元総理の国葬が終われば成果が出る』という主張も

もう10日も経ちますが、まだまだ国連総会期間中に行われた岸田総理と尹大統領の懇談のことで、多くの記事が出ています。一つ前のエントリーでも書きましたが、さほど高く評価されているとは言えないのが現状ですが、一部、『安倍元総理の国葬が終わったから、もう成果が出るぞ』という話も出ています(ソース記事YTN)。衆議院選挙さえ終われば、参議院選挙さえ終われば、そんな話が結構ありましたが、その続編といったところでしょうか。記事そのものは、時事評論家のイジョングン氏と、韓国外国語大学教授ユヨンファ博士(政治学)が、『尹政権はそう思っている』と見解を述べる展開となります。

イジョングン氏はある程度は肯定的な見方(意味のある会同だった)をしていますが、ユ教授の場合はちょっと違います。ユ教授の場合、今回大統領室が事前に『会談に合意した』と発表したことからして、外交において成果を出したとして支持率を回復するためのもの、すなわち『外国のことで国内の支持率を上げようとする』ものだったと、最初から『なんとか頑張ってみる』と言えばよかった、と分析しています。関連記事を結構読んでみましたが、こんな風に話す人は初めて見ました。他の記事は、直接的に書いてあるわけではないにせよ、『岸田総理が支持率を気にして、(合意したのは事実だけど)発表しないでいる』とするものばかりでした。以下、両氏の見解の部分だけ、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・で、成果に関する部分ですが、実はNATO首脳会議に参加した時も同じく(※成果が無かったという)批判を受けました。また、NATO首脳会議に参加した後にすぐに支持率が上がることもありませんでした。しかし、その後、ポーランドとの防衛産業関連契約が締結され、またチェコの原発受注にも進展があると報道され、NATO首脳会談参加の結果が現れたので、再び支持率が上がるきっかけになりました(※世論調査機関にもよりますが、一時、30%台を回復した期間があります)。今回の国連総会関連も、時間が解決してくれると、尹政権は思っているのでしょう。

なぜなら、韓米会談や韓日会談の結果は、事実上、米国の中間選挙の後に出てきます。米国のような場合は。また、日本の場合も、安倍元総理の国葬の後に、成果は出てきます。安倍元総理の国葬があって、いまは岸田総理が直接的にアクションをとることができない、そんな部分があるからです。だから、この二つが、時間が経つと、ある程度、岸田総理が立場を変えたり、またはアメリカも、インフレ抑止法の一部を改正したり、またはいくつかの例外条項を置いたり。これらすべては、時間が経つにつれて現れます。だから、『ほら、見てください。ニューヨークで会談の成果が、このように出てくるではありませんか』と、尹政権としてはそういうことが出来るのです(YTN)・・>>

 

ちょっとかなり、すこしだけ相当に、「あれ?」と思いました。いや、いくらなんでもそこまでハッピーな展開にはならないのでは。というか、これ、いつ収録した番組か分かりませんが(UP日付は昨日の深夜あたりです)、もう安倍元総理の国葬は終わりましたが。『次の選挙(いつでしたっけ)が終われば』のバリエーションにしても、ちょっとかなり説得力が足りない気がします。それに、米国だって、選挙が終わったからって法律をそう簡単に変えてくれるのでしょうか。次、ユ教授の見解を紹介します。

 

<<・・(※一部のメディアが尹大統領が国連総会で基調演説した、と持ち上げていることで)率直に言うと、国連総会には、普通に参加しただけです。基調演説するのも、私たちが特別だから出来たわけではなく国連総会に参加した、大使級で参加した国家なら、普通に行います。というか、それ以前にですね、大統領室がいろいろ事前に話しておいたではありませんか。米韓首脳会談すると、日韓首脳会談する、と。インフレ抑止法についても話すと。しかし、事実上、なんでそんなことをしたのか分かりません。何の日程も内容もないのに、両国間で協議ができていないのに。特に岸田総理との会談は、大統領室ではやると言うけど、日本からはそんな事実はありませんよ、ずっとそんな感じでした。

こういう部分が、結局は外交的にはですね、『国連総会まで行ってみなければなんとも言えない』と言うものなんです。そういえばよかったですよ。こうした部分は、結局、私が見た場合の国内政治の問題、支持率の下落とかをですね、外国問題で解決しようとする、そんなところです。なぜなら、大統領が外国を訪問すると普通は支持率が上がります。そんな効果を狙ったのに、全く準備もできてなかったし、内容もなく、協議もできなかった。そんな状態で、大統領室は会談すると言い続けたわけです。韓米首脳会談もそうです。そんな問題が、重くなって返ってきたのです(同紙)・・>>

 

そもそも、あの歓談でここまでニュースが長引くこと自体、不思議です。ユ教授の場合は普通に問題を指摘していると言えますが、話題になっている分、一部からは事実と違う(微妙ですが)報道もあります。例えば、左側で大手となる某新聞の場合、『首相官邸ホームページに、岸田総理と尹大統領の会同についてはまったく書かれていない』という記事を載せています。いくらなんでも、首脳と会同したのに何も書かないはずがなかろう・・とおもって調べてみたら、短いものの、「米国訪問についての記者会見」の「岸田総理冒頭発言」に、ちゃんと書いてありました。

「韓国の尹(ユン)大統領との間でも懇談を行い、懸案を解決して日韓関係を健全な関係に戻す必要性を共有し、1965年の国交正常化以来築いてきた友好協力関係の基盤に基づき、日韓関係を未来志向で発展させていくという考えで一致し、現在行われている外交当局間の協議を加速化するよう指示することといたしました」、と。懇談について独自の項目がなかったので、某新聞の記事が『間違っていた』のかどうかはちょっと微妙ですが、一応、書いてありますから、一切書かれていないというわけではありません。相手が日本だから、『焚きつけ』やすいと思われているのでしょうか。

 

 

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