ウクライナ事態、台湾問題、そして尹政権・・また出てきた「韓国のウクライナ武器支援」ニュースに、政府は『そんな事実は無い』

ウクライナ事態が発生してから、文在寅政権(当時)は国際社会の動きに消極的な姿を見せました。3月には、米国が発表した対ロシア制裁に同調してくれた国家リストに韓国が入ってなく、あわてて独自制裁を発表したものの、それからもパッとしないスタンスを維持しました。代表的なのが、4月あたりから出てきた、ウクライナへの武器支援関連です。関連法律による制限があるわけでもなく、米国の同盟国で、防衛産業関連の輸出を主要産業として進めていたため、一時は、文政権がウクライナへの武器支援がほぼ決まったとする報道もありました。

しかし、それからも何の動きがなく、米国側が『いったん(同盟国である)米国に武器を提供し、米国がウクライナに渡すのはどうか』と提案しましたが、その話も続報がありませんでした。多分、政府レベルで話が進まなかったのでしょう。そして、日本でのゼレンスキー大統領の国会演説が大きな反響を得たこともあり、4月11日にはゼレンスキー大統領の韓国国会オンライン演説が行われました。その際、国会議員などがほとんど参加せず、それはそれで話題(?)になりましたが、その際、ゼレンスキー大統領がまた武器支援を要請したものの、それでも動きはありませんでした。それもそのはず、同日の「韓国経済」の報道によると、演説3日前の8日、すでに国防部は武器支援を公式にことわっていました。以下、各紙、<<~>>が引用部分となります。

 

<<・・ウクライナが政府に対空誘導武器の支援を要請したが、政府が支援不可の立場を明らかにしたことが分かった。11日、国防部などによると、ウクライナ国防長官は去る8日、ソウク国防部長官との通話で、対空誘導武器の支援を要請した。ウクライナ側が支援を要請した対空誘導武器は中距離武器ではなく、携帯用誘導武器だと言われている。現在我が軍が運用中のものとしては、「天弓」がある。「天弓」は最大飛行速度がマッハ2以上でヘリコプターはもちろん各種固定翼機を撃墜することができる。この件について、国防部長官は、兵器支援は不可だとする方針を再確認したことが分かった(韓国経済、4月11日)・・>>

 

ちょうど同じ頃、米国は各国がロシアとの関係を気にしてウクライナに武器を直接支援できない場合、「米国が代わりに武器を伝達する役割を引き受けよう」と話したりしました。ある国に対して言ったわけではありませんが、先も書きましたが法律的な制限もなく同盟国である韓国を意識した発言ではないのか、そんな見方もありました。そんな中、政権交代で尹錫悦(ユンソンニョル)政権になって数ヶ月が経ちますが、久しぶりに続報といえるものがありました。ソース記事はニュース1です。尹政権が、ウクライナへの武器支援(詳しくは支援ではなく、米国への販売)を決めた、というのです。販売かい、とも思いましたが・・一応、前政権よりはやっと進展が見られたかな、とも思いましたが・・1日も経たないうちに、『事実と違う』というコメントがありました。

 

<<・・政府がチェコを通じてウクライナに29億ドル相当の攻撃武器を提供することにした、という一部の外国メディアの報道に、国防部が「事実ではない」と発表した。国防部は2日、「ウクライナに兵器を支援しないという政府の方針には変わりがない」と述べた。チェコの日刊紙「MF DNES」は先月30日、尹政権がチェコを通じてウクライナに29億ドル相当の武器を伝達すると報道した。チェコ側が韓国から武器を購入し、ウクライナに送る計画であり、購入費用は米国が支払うという内容だった。報道によると、ウクライナが要請した武器には携帯用対戦車武器と携帯用地対空ミサイルが含まれている。同報道は、ツイッターなどソーシャルメディア(SNS)を通じて全世界に広がり、2月のウクライナ事態発生以来、人道的方式の支援を固守してきた政府方針に変化が生じたのではないかと言われていた(ニュース1)・・>>

 

言い換えれば、尹錫悦(ユンソンニョル)政権になってからも何も変わらず、米国側では、これを『中国に対する外交スタンス』と繋げて考える動きも出ています。ちょうどペロシ議長のこともあった頃、8月7日の朝鮮日報(朝鮮BIZの方)のインタビュー記事で、マーク・フィッツパトリック元国務部非拡散担当副次官補は、次のように話しました。「(米中の間で)何とかバランスを取らなければならないというのは、長らく続いた、韓国外交政策のコダワリの一つだ」、「あまり言いたくはないけど、韓国は、自ら熱望しているほど、国際的な役割を担うレベルにまだ到達していない。中国の考えを気にして、何度も振り返って、安全に行こうとするだけだ」、「一方、日本は、世界の中での役割を認知している」。

そして、これをウクライナ事態で見せた動きと繋げています。「私たちはあらゆる段階で、民主主義を支持する」、「ウクライナ事態の中で、日本は、ロシアを即刻制裁した国の一つだった。韓国は、対ロシア制裁を、数日間も待った。いつも副次的な役割に留まっているのだ」、「いつまでこのような状態が続くのかも分からないし、少々残念である」。記事は、これを、『尹政権でも、文在寅政権のときと変わっていないという認識をわざわざ表明したものだ』としています。

 

国連総会の基調演説で、尹大統領は『自由』を21回も強調し、『連帯』を呼びかけました。彼は米韓同盟のことも『価値同盟』とし、同じ価値観を持った、同じ自由民主主義陣営であることを強調しています。しかし、実際の外交スタンスは、日米と足並みを揃えているとはとても言えません。最近、米国側から、台湾関連で『有事の際、台湾防衛に参加するよね?』なニュアンスの発言が多くなっているのも、相応の『疑問』があるからでしょう。ウクライナ事態に関連した動きがそれらを『繋がった事案』とされるのは、当然といえば当然です。

 

 

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