駐日韓国大使、また『両方の努力』を強調・・安倍元総理の『毛頭ない』発言などを取り上げ『合理的な解決案を出すには、首脳の発言も重要だ』など

拙著「尹錫悦大統領の仮面」でも重要なテーマでしたが、本ブログでは尹錫悦(ユンソンニョル)政権初期から『も』を取り上げてきました。日本『も』何かをしなければならない、という主張のことです。両側の努力、両腕が動いてこそ拍手できる、日本側の誠意、などなど、時期と場所において表現はすこしずつ変わったものの、外相会談などを含め、尹政権がこの『も』を取り上げなかったことはありません。

日本側の主張は、「明らかに国家間条約にかかわる案件」です。だから、違反したほうに責任が発生します。現状を解決するための方法を用意するのも、当然です。違反か、遵守かにはっきり分かれるからです。だから、逆にすると、「両方に責任がある」は、「これは条約の違反にかかわる案件ではない」という意味になります。これは、文在寅政権が、基本条約に明記されている仲裁手続に応じなかった一因でもあります(そもそも条約に関わることではないとしているので、関連手続きに応じると矛盾が生じる)。

 

この件に関して尹政権がスタンスを変えたことは無いものの、ちょっとワンパターン化した側面があるし、『日本の一貫した立場に基づき』『国交正常化(基本条約)以来築いてきた関係~』という返事しか出なかったので、各メディアも関連記事でこの側面はあまり取り上げなくなりました。それに、外相会談も首脳同士の懇談とかも一応あったのに、これといった進展が無かったのもまた、関連記事が出なくなった理由かもしれません。

そんな中、久しぶり・・でもないかな。駐日韓国大使の尹徳敏(ユンドクミン)氏が、盛大にこの件を取り上げました。ファイナンシャルニュースなど各メディアによると、今回はまた表現がちょっと変わっていて、『私たちがやるべきことがあり、日本がやるべきことも確かにある』というのです。『首脳は、言い方に注意してほしい』という趣旨の話もありました。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・尹徳敏(ユン・ドクミン)駐日韓国大使が、尹大統領と岸田首相のニューヨーク会談以後、日韓関係解かれつつあると、明らかにした。尹大使は9日、東京所在の大使館で開かれた国会外交統一委員会国政監査で、岸田文雄総理の最近の発言と関連したキム・テホ国民の力議員の質疑に、このように答えた。尹大使は「ニューヨーク出会いで変化が目撃されている」とし「岸田首相の国会所信表明演説に変化がある」と話した。岸田首相は去る3日臨時国会所信表明演説で、韓国を「国際社会の様々な課題への対応に協力しなければならない重要な隣国」とし「国交正常化以来構築してきた友好協力関係の基盤に基づいて健全な関係に戻し発展させたい」と述べた。尹大使は「北朝鮮の核・ミサイルは安全保障面で両国共同の事案」とし「日本側と緊密に疎通する」と話した。

現金化などの懸案については、「2015年日韓合意の際、日本の首脳の発言で国内の世論が揺れたことがある」とし「合理的解決法を導出するためには、日本の対応も重要だと思う」と説明した。2015年日韓合意当時、安倍晋三当時首相が手紙を送るなど追加対応について「毛頭も考えていない」と国会で発言し、国内世論に影響したことがある。また、キムホンゴル無所属議員が、尹大統領の対日外交は姿勢が低いのではないかと指摘すると、「そう見ることはできない」としながら「私たちがすること、日本がしなければならないことが確かにある」と付け加えた(ファイナンシャルニュース)・・>>

 

余談ではありますが、この国政監査では、とにかく何かの実績を出さないとなりません。特に、例の『懇談』は支持率に与えた影響も結構大きかったので、今回の駐日韓国大使館の国政監査は注目の的でした。思ったより静かに終わったな、と個人的には思っています。前の文政権のとき、米国の韓国大使館の国政監査で、『終戦宣言関連で米国側と意見が一致しつつある』という話が結構出ていました。懇談関連で解かれつつある~というのは、そういうものか、ぐらいに思ってください。

ちなみに、今年5月、まだ大使『内定者』だった尹大使は「アジアの未来」というコンソーシアムにオンラインで演説し、その後、記者たちとの質疑応答でこのように話したことがあります(同月26日の中央日報)。「(2015年の日韓合意と関連して)責任があるのは日本側だが、合意の後に『出捐金ですべての問題が終わった』というふうの発言が出てきて、世論が大きく揺れて、状況が変わってしまった」。記事はこの発言について、「名誉回復と治癒のための過程の一環でしかない出捐金のことで、『出捐ですべてが終わった』と話したことが問題だった、という解釈だ」としています。また、現金化の解決法としても、尹大使はこの頃から代位弁済を主張していました。

いまのところ、岸田総理から『一貫した立場』から大きくズレた言動は見られません。しかし、『立場が変わらない』という点だけ見ると、尹大統領のほうこそ、本当に少しも動いていません。前にも何度も書いた文章ですが、表向きの会談がどうだろうと、『日本の一貫した立場』だけは、これからも守り続けてほしいと願います。

 

 

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