韓国、不動産バブルが指摘される中、住居脆弱層が12年間で23%増加・・映画「パラサイト」のような半地下部屋も借りるには1000万円以上が必要

韓国には、ジオッコという言葉があります。地下、屋根に出来ている部屋、考試院の頭文字を、それぞれ発音が同じ地(ジ)獄(オク)庫(コ)にしてそう呼んでいます。考試院というのは、司法試験など難しい勉強をするための施設ですが、安いので、住居が無い人たちがよく利用しています。最近は、考試院を勉強する場所だと思っている人はほとんどないでしょう。今年1月、このジオッコのことをエントリーしましたが、久しぶりに関連記事があったので、現状として紹介したいと思います。

これらジオッコに住む人が、12年間の間、23%も増えて今は86万世帯に及ぶ、とのことでして。公式ではありませんが、こんなふうに分かりやすく数値が提示されるのは珍しいことです。しかも、これにはさらに『オチ』がありますので、それも後述します。映画パラサイトなどで話題(?)になった半地下部屋についても。ソース記事は、引用順で東亜日報京郷新聞、そしてハンギョレ新聞です。もちろん、「程度」はずいぶんと思いますが、最近の不動産関連エントリーと繋がっている(繋がって『は』いる)とも言えそうです。引用はしませんが、ジョンセ貸出の金利が上がったせいで、『ランチが食べられなくなった』若い会社員が増えてきたというニュースもありましたし・・ 以下、各紙、<<~>>が引用部分となります。

 

<<・・災害などに脆弱な半地下や屋上部屋、考試院などいわゆる「ジオッコ」に居住する人たちに対する社会安全網の確保が急がれるという政策課題が浮上した。昨日(※今年9月28日)このような問題に対する解法を求める専門家会議が開催され、注目を集めた。韓国住宅福祉フォーラムと韓国土地住宅公社(LH)、韓国住居福祉ソサエティがソウル瑞草区で「住居脆弱階層住居支援のための公共の役割と課題」をテーマに共同開催した討論会のことだ(※この前エントリーした最高級団地も同じ地区にあるので、なんか妙な気分です)・・・・この日チェウンヒョン韓国都市研究所長は、「住居脆弱階層の居住実態と対応課題」というテーマ発表で住居脆弱階層に分類される全国のジオッコ居住者が、2020年基準で85万5553世帯に達すると集計されたと明らかにした。

考試院に代表される非住宅施設居住者が46万2630世帯で最も多く、地下及び半地下32万7320世帯、屋上部屋6万5603世帯だった。非住宅施設には、居住に適していない考試院とビニールハウス、コンテナ・・・・非宿泊用施設(ネットカフェなど)が含まれる。2010年と比較して、ジオッコ居住者は23%増加した。半地下は40%近く減ったが、考試院など非住居居住者がなんと4倍近く増えた。特に非住居の代表格である考試院が2020年前後に急激に増加した。このように非住居が大きく増えた理由の一つは、無断で用途を変更して人が住む目的に使用する建築物が少なくないためだと解釈された(東亜日報)・・>>

 

ちょっと書き加えたいところがありますが・・まず、半地下で住む人が40%も減ったというデータですが、一見、これは「よかった」と思えます。でも、現実はそうではありません。実は、「地下層(多くは半地下ですが、たまに本当に地下の場合もあります)」の伝貰(ジョンセ)保証金、すなわち部屋など地下層を借りるための費用があまりにも高くなったからです。10月5日京郷新聞の記事によると、すでに2021年から1億ウォン(約1000万円)を超えています。映画パラサイトが公開されたときから、ネットの一角では『あれでも、ソウル地域で借りるにはかなりお金がかかる』という声がありましたが、そのとおりだったわけです。ただ、記事に『半地下でも買えなくなったので、40%も減った』という記述があるわけではありません。この部分は私見です。

<<・・全国連立及び多世代住宅地下層の2022年平均ジョンセ保証金は1億1666万4823ウォンで、2017年7443万1288ウォンから56.7%上昇した。地下層も、ジョンセ保証金1億ウォン台に入った。 地下層の平均ジョンセ保証金が1億ウォンを超えたのは2021年(1億315万9936ウォン)からだ。 今年ソウルの半地下平均ジョンセ貸切保証金は1億4801万8812ウォンに達した。多世代連立住宅地下層の保証金が1億ウォンを超えた状況だから、地上に上がるのはさらに難しくなっている。同期間、全国連立及び多世代住宅地上層の預金は1億4370万9271ウォン(2017年)から1億9847万6164ウォン(2022年)に38.1%上昇した。 ソウルは同期間1億8683万581ウォン(2017年)から2億4455万1267ウォンに30.9%上がった(京郷新聞)・・>>

 

次に、東亜日報の記事(初めて引用した記事)はハッキリ書き分けていませんが、これはジオッコだけのデータで、他のもの、例えばビニールハウスやコンテナなどは入っていません。ここからはハンギョレ新聞(2017年9月7日)の記事になりますが、2015年の統計庁の調査では、最低住居基準未達世帯(ジオッコだけでなく他のものまですべて含めたもの)は全国に156万752世帯(全体世帯数の8.2%)となっています。しかし、2016年の国土交通部の調査では、103万世帯(全体世帯数の5.4%)と集計されています。ちなみに、国土交通部のほうが担当部署になります。なんで3分の1も減ったのかというと、国土交通部は考試院などを『住宅ではない』という理由で、調査対象にしていないからです。

ジョンセ価格といっても、同じソウルでも都心部と郊外では天地の差があります。いわば『どこに住んでいるのか』が大きいという側面もあります。また、広ければいいわけでもないし、高ければいいというわけでもないでしょう。ただ、さすがに『法律的に家ではないところに人が住んでいて、しかも、担当省庁は家ではないという理由で集計すらしないでいる』というのは、問題があるでしょう。映画で、その映画を作った人が半地下で暮らしたことがあるのかは分かりませんが、苦しい生活をする人たちの舞台設定そされ、外国メディアからも『こんな部屋は実在する』と驚いたりした半地下部屋が、『高くて住めない』存在になりつつある。

 

こういう中、(一つ前のエントリーで書きましたが)先端武器導入を出生率対策にするのはどうかな、と思いました。急にアニメ関連で恐縮ですが、『チェンソーマン』の人が自宅(?)で子犬(??)に話していた内容が、軽くオーバーラップします。そういえば最近、尹政権はジオッコに住む青年の『引越し費用(最大約4万円)』を政府が負担する政策を施工しましたが・・『なんで引越し費用を税金で支援するのか』『引越し費用のせいでそこに住んでいるわけではない』など、各方面からあまり高くは評価されていないようです。

・・・・と、いよいよ正式に告知ですが、例の手続きの件もあって、明日(18日)は更新を休むことになりました。また、19日は普通に更新しますが、20日にはまた1日休むことになります。いくつかの日程、連日で組めなかったのでこんな形になりました。ご理解の程をお願いします。それでは、明日、頑張ります。いつもの姿を見せればいいだろうと思っています。

 

 

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