韓国の家計債務(1800兆ウォン規模)、伝貰保証金(1000兆ウォン規模)はカウントせず・・理由は『個人の間の取り引きだから』

中央銀行(韓銀)が12日に基準金利を引き上げてから、不動産関連(プロジェクト・ファイナンスなど)、企業関連(限界企業など)、家を購入した人たち(いわゆるヨンクルなど)、家を借りるシステムである「伝貰(ジョンセ)」保証金のこと、その影で出来上がった『住居ではないところで住む人たち』のことなど、本ブログなりに様々な側面を取り上げてきました。新型コロナのときと同じく、書いていて切なくなることも多い内容で、そろそろ個々のエントリーはともかく、扱う小テーマを切り替えたいと思っているところではありますが・・ある意味、『分かりやすい』というか、なんというか・・そんな内容の記事があったので、また同じテーマになりました。10月14日の家計債務関連エントリーと、家計債務全般についての内容はつながっていますので、まだ未読の方は、合わせてお読みくだされば幸いです。

この前、ジオッコなど住居環境において、『宿泊・住居施設ではないところ(考試院、ビニールハウスなど)で人が住んでいるのが問題なのに、担当省庁は、住居ではないという理由でそれらを住居環境関連統計に含めていない』という側面をお伝えしたことがあります。それと同じく、推定900兆ウォン~1000兆ウォンに及ぶとされるジョンセ保証金を、家計債務に含めていないことが記事になりました。この件、実は結構前から前から記事は出ていましたが、しばらく続報が無くて見逃していました。どうやら、何も変わっていないようです。

 

ジョンセとは、時期によって変動しますが、家の価格の6~8割の保証金を大家に預けて、家を借りる制度です。このジョンセ保証金を用意するため、大勢の人たちが銀行または銀行のようなもの(第2金融圏と言います)で融資を受けますが、その多くは青年層で、しかも93.5%は変動金利です。一つ前のエントリーで『昼食ができません』と言っていた女性の方も、ここに含まれると見て間違いないでしょう。JTBCなどがこの件を報じた内容によると、この2年間で、低金利ということもあって銀行のジョンセ関連貸出(※他のものより多少安い)を受けた人は130万人、残高は162兆ウォン。1人当たりの平均融資額は1億2400万ウォン、その93.5%は変動金利、10人のうち6人は20~30代。記事は「所得は多くないのに利子負担が急激に大きくなり、返済できない人が続出する恐れが出ています」と指摘しています。

 

で、ここで、もう一つの側面を見ないといけません。契約が終わればその保証金は返してもらうことになりますが、ほぼすべての場合、大家はそのお金を何かの投資に使ってしまいます。そうでないと、こんな制度が存続できるはずがありません。そのお金で、さらに融資を受けて、家をもう一つ買うとか。昔は貯金して利子をいただくだけでも十分でしたが、そういう時代ではありませんので。家を借りた入居者(韓国では貰入者と言います)が、保証金を返してもらえないことも多く、すでに数十年前から問題になってきました。万が一その家がオークションに掛けられたりした場合にも、ジョンセ保証金は優先順位がかなり低く設定されています。

 

大家さんは、ジョンセ保証金をまるで自分の資産の『プラスアルファ』かなにかのように考えていますが、これは、いずれ入居者に返してやらないといけません。新しい入居者が現れるなら何とかなりますが、最近のようにジョンセだろうが購入だろうが取り引きがほとんど無い(どうせ貸し出しを受けての取り引きなので)時期になると、それも容易ではありません。このジョンセ保証金の規模は、推定、900兆~1000兆ウォン。この規模が、公式の家計債務1800兆ウォンには含まれていません。ソース記事『毎日経済』にも同じ記述がありますが、もちろん、貸し出しを受けてお金を用意した人たちが多いから、家計債務統計にジョンセ保証金が100%そのままプラスされるべきだと言っているわけではありません(例えば、ジョンセ保証金規模が1000兆ウォンだとしても、実際の家計債務が2800兆ウォンになるわけではない)。しかし、これは家計債務統計において大きな問題として指摘されています。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・より大きな問題は、このように大幅に増えた家計債務統計(※2021年末時点で1800兆ウォン)には、大きな抜け穴が存在するという点だ。昨年基準995兆8000億ウォンと推算されるジョンセ保証金が代表的だ。当局は、ジョンセ保証金が家主と入居者の間でやりとりである「私的金融」という理由で、公式統計に反映していない。しかし、現実において、この資金は契約満了の際に返さなければならない、れっきとした債務だ。もちろん、既存の家計負債統計と重なる部分はあり得るだろう。金融機関からの融資などを通じて用意した部分があるなら、それは家計債務統計に含まれるためだ。しかし、それぞれの事情にもよるし、金融圏融資を受けたとして、どのくらいがジョンセ保証金と重なるのか、そんなデータを調べる方法はない。

専門家たちは、政府の家計債務統計をより精密に改善しなければならないと意見を合わせている。ジョンセ保証金という債務存在しているのに、見て見ぬふりをすれば、全体の債務に対する評価がズレてしまうからだ。イ・サンホ韓国経済研究院経済調査チーム長は、「ジョンセ制度は我が国独特のものだ。より正確な国内家計債務状態を診断するためには、現行統計体系に含まれないジョンセ保証金規模を合理的なレベルで推定する必要がある」 と強調した・・・・家計債務に含まれない部分は、他にもある。300兆ウォンを超えると推定されている、零細自営業者(『小規模個人事業者』)の債務だ・・

 

・・零細自営業者は、金融圏でお金を借りる際にその目的が「事業」に分類されるため、国内統計体系上、家計債務には含まれない。このように自営業者を含めていないにも関わらず、家計債務は1869兆4000億ウォン(今年4~6月基準)に達しているのだ。零細自営業者の場合、個人と同じで、返済責任はすべて個人にかかる・・・・この零細自営業者の分まで加えれば、国内の家計債務は2000兆ウォンを越える。国際決済銀行(BIS)によると、我が国の家計債務は2213兆7000億ウォン(今年1~3月基準)で、韓銀が算出した家計負債より344兆3000億ウォンが多い。BISなどグローバル機関は。実質的に経済に金が循環する仕組みを勘案して統計を組むため、小規模個人事業者の分まで合算して統計を出すためだ(毎日経済)・・>>

国際金融協会(IIF)集計で、唯一GDPより家計債務が大きいとされる(約105.8%)韓国ですが、記事で指摘している分を、単純計算でそのままプラスすると、3187兆ウォンになり、GDP比154.9%まで跳ね上がるとのことです。ちなみに、このジョンセ保証金は、ちゃんと申告されない(一応、制度はあると聞きますが)ことでも有名です。それもまた、データが明らかにならない一つの理由でありましょう。午前のエントリーでも告知しましたが、明日も1日休みます。今回はまた別の用事ですが、日程調整がうまくいかず、こんな形となりました。休む日が多くて実に恐縮ですが、ご理解の程をお願い致します。次の更新は21日(金曜)の午前となります。

 

 

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