地上波放送「食事が取れなくなった20・30代が増えています。物価高騰で昼食が食べられなくなったというニュースは、けっして他国の話ではありません」

ヨンクルという言葉があります。すでに本ブログでも何度も引用した単語ですが、ヨン(たましい)でもクル(かきあつめる)して投資するという意味になります。もともとはビットウ(貸し出しを受けて投資する)という言葉が流行りましたが、20代・30代、いわゆる『2030』が大々的にこの流れに参加するようになり、どんどん規模と深度(?)が高まり、ヨンクルという単語のほうがよく目につくようになりました。もともと貸し出しを受けてはそれを資産のように考える人が多いのは、前から変わっていません。しかし、ここまで若い人たちが中心にあるのは、韓国でも珍しいことでした。

2021年、住宅を購入した人の約40%は、2030でした。普通なら、この年令層は、家を購入するのではなく、家を借りる独特のシステム「ジョンセ(伝貰)」を選ぶものでした。4月5日の東亜日報によると、「去年住宅を購入した10人のうち4人は20・30代であることが分かった。彼らは家を買いながら平均1億6700万ウォンの融資を受けた」、と。2021年の時点だと、まだ値上がりしていたから、まだよかったでしょうけど。いつからこんな現象があったのかについては、専門家でも意見が分かれています。若い層がヨンクルするようになったのは新型コロナの影響だという指摘もありますが、私はちょっと別の見方をしています。

 

朴槿恵(パククンへ)前大統領の弾劾の際に、主に若い層が見せた『これで何もかもうまくいく』という期待が、文在寅(ムンジェイン)政権になっても何も変わらなかったからです。不動産は、韓国ではもっとも『社会の公正さ』を阻む要因とされます。彼らはそれをなんとかすべきだと主張していました。しかし、政権が変わっても(彼らは、もっとも民主主義的な方法で『変えた』と思っているでしょうけど)何も変わらず、結局は自分でなんとかするしかない、でもどうすればいいのか分からないので、その『要因』と同じことを自分もやることにした・・すなわち、不動産によって一気に勝ち組になった人たちを『問題』として見ていたのではなく、『私もああなりたい』と見ていた、というのが私の見解です。もちろん、ただ雰囲気に流されただけの人たちも大勢いるでしょうけど。

 

彼らが集中的に買い入れた住宅がある地域の住宅価格は、すでに不動産価格高騰が話題になっていた2年前と同じレベルまで下がりました。その期間、金利も上がったので、頑張って返済したとしても大して減ったわけでもなく、不動産価格はこれから購入時点からしてマイナスになるのが間違いないとされています。ニューシースのまとめ部分だけちょっと引用しますと、「10年ぶりに基準金利3%時代に入り、住宅担保ローン金利が年内8%台に上がると予想され、住宅価格急上昇期に最大限の融資を受け不動産を購入した、いわゆる「ヨンクル」たちのなやみはさらに大きくなっている・・・・など、ヨンクル買いが集中していた一部地域では特に急な価格下落傾向を見せており、再びハウスプア(家を購入したことで生活がままならない人たち)事態が再び戻ってくるのではないかという懸念の声が出ている」、と。それはそうなるでしょう。しかもほとんどが変動金利。

 

前にも紹介した実際の事例ですが、『大企業社員』というポジションの人でも、今年末や来年初めの年償還額は2年前より50%以上急増すると言われています。大企業職員A氏は2年前、5億6千600万ウォンの貸し出しを受けて、ソウル某所の専用面積59.96㎡のマンションを14億3千万ウォンで購入しました。A氏は、貸し出しを受けた後の6カ月間は、住宅担保ローン年2.91%、信用ローン3.66%が適用され、月々の返済額は約224万7000ウォンでした。しかし、2年後の2022年10月、304万8千ウォンを返済しています。2年間で36%も増えました。

このまま予想通りに行くと来年4月の月々の返済額は約340万4千ウォン、2年前より51.5%(115万7千ウォン)も増えることになります。それでも、この『大企業社員』さんのように、住宅を購入するためのヨンクルは、まだ裕福なのかもしれません。ジョンセ保証金(家を借りるために大家に預ける保証金)を用意するためにヨンクルした20代、30代の場合は、そもそもランチが食べられない状態である、とのことです。MBCはこの件を、『ヨーロッパでは物価高騰で昼食抜きにする人が多いと報じられていますが、それは別に他国の話でもありません』としながら、こう報じています。

 

<<・・(※インタビューに応じた20代の女性会社員のことで)インタビューのために昼休みの時間を使わせてしまい、食事はどうするかと聞いてみたら、「食べられません」という回答が返ってきました。普段は家で用意した弁当を食べたり、近くの店でラーメンやキムバップ(※こういう店を粉食屋といって、インスタントラーメンと適当に作ったキムバップなどを売っています。食堂の中でもっとも安いイメージがあります)だけにすることもありますが、最近は値段が上がって、何も食べずに過ごす時も多いと言いました。ヨーロッパでは、物価が上がって食事が取れなくなったという記事も載りますが、国内の事情もそう変わらなかったわけです・・

・・支出を見てみましょう。現在、この会社員の給料は手取り190万ウォン。ジョンセ保証金など各種ローンの利子を払うと、残るお金は90万ウォンだけ残りますが、住宅請約(※ここでいうのは、比較的に価格が安い公共住宅のためのの請約関連金融商品のことで、この商品などに貯金をしたり積金をしたりすると、あとで公共住宅を『購入できる可能性』が高くなります)などにお金を入れた後、残るのは30万ウォン程度。このお金で一ヶ月を耐えなければなりません。つまり、ご飯も食べて生必品も買わなければならないのです(MBC)・・>>

 

さて、最後に、ご報告です。お陰様で、無事、面接が終わりました。担当の方もとても良い方でしたし、これといって難しい内容もなく、何もかもスムーズに進みました。人によって内容が異なるとは聞いていましたが、私の場合はこれといって目新しい内容は無く、いままで提出した書類の確認などがありました。履歴などに拙著も書いてあるので、きっかけなどいろいろ話しましたが、それでも35分ぐらいで終了となりました。午後には自宅訪問もありましたが、こちらも簡単で、『本当にその場所に人が住んでいるのか』の確認といったところでしょうか。レナのブランコがある部屋は「ハロウィン仕様ですね」というありがたいコメントも頂きました(うれしい)。面接を受ける側の私が判断するのもどうかとは思いますが、個人的には『うまくできた』と思っています。ありがとうございます。日程が重なって明日(20日)も休むことになりますが、こちらは別の用事となります。休んだ分、取り戻せるよう、今日、そして帰ってきてからも、頑張ります。

 

 

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