国会の国政監査で「岸田総理と尹大統領の会同は、会談だったのか、それとも懇談だったのか」とストレート質問・・結論は『懇談だったが内容は会談だった』

まさか、この期に及んでまたこの話が出てくるとは思っても見ませんでした。国連総会期間中に行われた、岸田総理と尹錫悦(ユンソンニョル)大統領の懇談のことで、『日本側が言うように、あれは懇談だったのか』という公式質疑がありました。国会が各部門を調べる『国政監査』での、国務調整質(国務総理を補佐する行政機関の一つ)長に対する質問です。ソースは聯合ニュースとなります。読者の皆さまもご存知でしょうけど、当時、大統領室は『首脳会談に快く合意した』としながら、国連総会期間中に日韓・日米首脳会談が開かれると発表しました。

しかし、大統領室の発表直後から、日本側は『そんな事実はない』とし、米国側からもこれといった発表がありませんでした。結果、岸田総理と会同できたものの、大統領室は『略式会談』とし、日本側は『懇談』とし、国内では、尹政権の対日外交は姿勢が低すぎると指摘されました。それが今でも続いているわけです。で、一応国会での公式なやり取りになるこの質問に、国務調整室は『首脳会談だった』ときりっと答えました。しかし、その直後、与党所属の国会議員が、『いや、懇談でした。しかし、内容は会談でした』とわけわからないフォローをしました。以下、各紙、<<~>>が引用部分となります。

 

<<・・国民の力(※与党)のユンサンヒョン議員は、先月の尹大統領の国連総会出席をきっかけに進行された日韓首脳会談を置いて、「首脳会談ではなく、懇談だった」と日話した。会談後、日本側は「懇談」という表現で会談の意味を縮小しようとしたという解釈が出ており、野党側はこれに問題提起している状況であり、そんな中で出てきた与党議員の発言だけに、注目を集めている。野党側は尹大統領が岸田総理のいるところに訪れて会同し、会談場には国旗なども用意されていなかった点を挙げて、問題を指摘している。

ユン議員の発言は、この日、国会政務委員会による国政監査で、共に民主党のキムジョンミン議員とバンムンギュ国務調整室長間の対話の後に出てきた。「韓日首脳会談は「懇談」だったのではないか」というキム議員の問いに、バン室長は「首脳会談だった」と答えた。すると、ユン議員は「キム議員の言葉通り、あれは首脳会談ではなく懇談だった」とし「しかし、内容は首脳会談だった」と明らかにした。ユン議員は「懇談」とされていることについては「国家安保室第一次長が(メディアに)「首脳会談を日本側が快く受け入れた」などと話したためだ」とした(聯合ニュース)・・>>

 

ユン議員は「懸念事案に進展もないのに会談をすると言うから、日本内で反発にぶつかったのだ」としながら、大統領室の発表が早すぎたこと、日本国内の事情などで『懇談』とした、と説明しました。さて、どうでしょうか。これの内容が本当に『会談』だったのでしょうか。バイデン大統領の場合は日程が急に短くなったので仕方ない側面もありますが、岸田総理との懇談の場合、尹大統領の行動は、『そこまでして会同しないといけないのか』と思うほど、首脳の外交とは言えないものでした。韓国日報(9月23日)は日本の朝日新聞の記事を引用しながら、日本側は時間と場所を知らせ、「この時間と場所でなければ無理だ。それでも来るなら・・ 」と話し、尹大統領はその時間と場所に合わせて、岸田総理が別の日程のためにいたビルに入りました。国内メディアには何も知らせずに。しかし、その場には、テーブルのセッティングはおろか、国旗も用意されていませんでした。ちょっと引用してみます。

 

<<・・日本メディアの記者たちはその建物にいたので気づいたが、当時、国内メディアの記者たちは、場所や会同のことについて何も知らなかった。新聞は、「首相と対面したユン大統領は、会談が短時間で終わらないように、少しでも時間を長くしようとした」と報道した・・・・しかし、懸案について何の進展もかった。出席者の一人は、「これで貸し一つだ。当然、次は成果(※同じ内容の他メディアの記事には、『成果や進展』となっています。いわゆる解決案のことでしょうか)を持ってくるだろう」と話した。岸田首相は懇談が終わった後、周囲に「相手側も意志は見せている。これから、お手並み拝見だ」と話したという(韓国日報)・・>>

 

「少しでも長くするため」というくだりが、まさに感動するところではないでしょうか(感動にもいろいろありますので)。なぜこんなことをしたのかというと、事前に大統領が『30分以上』とまで言っていたからです。KBS(9月22日)とのインタビューで民間シンクタンクの専門家は、「私が一番気にしている点は、その場所にテーブルのセッティングはともかく、国旗も用意されていななかったことです」としながら、これは外交のプロトコル的にありえないことで、「国旗を置かなかったというのは、『これは会談ではない』という日本側の宣言だった」と指摘しています。

大統領室が会同のあとに珍しく「『略式』会談だった」とわざわざ発表したのも、さすがにこれを気にせざるを得なかったからだ、というのです。この専門家は、「私たちにとってこの会合で何の意味があったのでしょうか。一体私たちは何を得るためにこの会合をしたのか、まだ分かりません」と話しています。これで『内容的に』会談なら、数十秒だけだったバイデン大統領との会話も会談だとしていいじゃないでしょうか。最初も書きましたが、一番の驚きは、その懇談が『まだ』ニュースになっている点ではないでしょうか。いったい、どれだけ気にしているのでしょうか。気になって気になって仕方がないのでしょうか。

 

 

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