家計債務、プロジェクト・ファイナンス(PF)、資金調達(社債など)問題、などなど。毎日のように、よくもこれだけの情報が出てくるものだな・・と、ある意味、感心せずにはいられません。今日はいくつかのソース記事から『個人的に』気になった部分をまとめみました。主に、資金流動性関連になります。結論から書きますと、大企業も例外なく資金調達に大苦労している中、11月~来年6月末まで、プロジェクト・ファイナンス、ABCP(資産担保コマーシャルペーパー、昨日もお伝えしました『カンウォンレゴランド』事態も、ABCP関連です)90兆ウォンの満期が到来する、とのことでして。
すでに、社債など資金調達手段が完全に止まっていると何度もお伝えしましたが、今回、いくつかの新しい話題がありました。個人的に驚いたのは、ノーカットニュースが伝えた、ある大規模再開発事業関連ニュースです。首都圏となる京畿道(キョンギド)で、韓国の再開発・マンション団地事業の中でも最大とされ注目されていたプロジェクト・ファイナンス「オリンピックパークフォレオン」。PFの中でも特に優良な事業とされ、ヒュンダイ建設、ロッテ建設など、建設部門でトップレベルと言える大企業が関わっていましたが、PFのための『借換』に失敗し、各大企業はそれぞれの自グループ内で7000億ウォンのお金を用意するしかなかった、とのことでして。韓国建設業界で最高とされる企業がチームを組んでも、相応の資金を集めることができなかったのです。
ヒュンダイやロッテでこれですから、他の企業は言うまでもありません。「KIS債券評価」という機関の調べによると、今月14~20日の、信用格付けA(記事によると、Aから『優良債券』とされる、とのことです)社債の流通金額は、705億ウォン。1カ月前の先月16~22日には3655億ウォンで、単純比較で80%以上も減少したことになります。文化日報はこの件で、「信用格付けA社債の発行減少は、金利引き上げと景気低迷が根本的な原因として作用したが、最近レゴランド事態による社債市場の梗塞も影響を与えた。ある資産運用会社の債券分析研究員は、『A等級の会社債なら、プロジェクトファイナンシング(PF)、資産担保付企業手形(ABCP)問題が浮き彫りにされ、もう全滅したと見ればいい』と指摘した」、と報じています。
社債がここまで動かなくなったのは、実は、一般的に「ハンジョンチェ(韓電債)」とされる、韓国電力公社の社債が原因だという指摘もあります。もともと韓国は、電気料金を赤字で販売する問題が指摘されてきました。最近のエネルギー価格高騰の中、それでも赤字で電気を販売していたので、その赤字の分をなんとかするために、とにかく社債を発行「しまくった」のです。韓電債はAAA(信用格付け最高)で、政府保証が付いているので、もっとも安全とされます。だから、他の社債が売れなくなる一因になったわけです。しかも、ビジネスウォッチというネットメディアの記事によると、「それでも、いままでは売れたからいい。前日、その韓電債すらも、売れ残りが出た」のことでして。ここからは、各紙、<<~>>で引用してみます。
<<・・韓電が今年だけで23兆ウォン以上の社債を発行しまくっているのは、国際エネルギー価格の暴騰などで「売れば売るだけ損」になる構造が固まったためだ。韓電の今年上半期電力卸売価格(SMP)はキロワット/時あたり169ウォンだったが、販売単価は110ウォンで、59ウォンの赤字が発生した。同じ期間、韓電は14兆3033億ウォンの営業損失を出した。最近、SMPがkWh当たり270ウォンを超えた点を勘案すれば、今後も赤字と韓電債発行規模はさらに増える可能性が大きい。しかし、今はそれでも発行に成功しているからまだいい。前日、韓電債の流札が出たためだ。この日の韓電債3年物は2000億ウォンで入札を進行したが、目標金額を満たせず流札となった。2年物の場合、2000億ウォンの発行を計画したが、800億ウォン分だけやっと満たした。表面金利は年5.99%。それだけ、資金市場の心理が凍りついているという意味だ(ビジネスウォッチ)・・>>
さて、こんな中、プロジェクト・ファイナンス、ABCPの満期が、来年6月末までに90兆ウォン到来する、とのことでして・・23日の記事ですが聯合ニュースは、『このまま行けば、いくつかの理由で、リスクは来年下半期に頂点となる』としています。 <<・・ナイス信用評価によると、証券会社と建設会社が『信用補強』した満期到来PFと資産流動化企業手形(ABCP)規模は、年末まで32兆3千908億ウォン、来年上半期まで57兆3千759億ウォンなど、90兆ウォンに及ぶ。しかし、債券市場の投資心理が凍りついて、借り換えのための発行に失敗し、資金を調達できない企業が増え、2008年のように事業の中断、または企業が倒れるのではないかとの懸念が大きくなった。実例として、証券会社がソウル江東区に再開発マンション団地PFの借り換え発行において投資を集めることができず、施工事業団が保証事業費7000億ウォンを抱えてしまった・・
・・イ・ギョンロク信用証券研究員は、「基準金利引き上げと為替レート、江原道(カンウォンド)支給保証不履行と不動産PF懸念などなどで、短期資金市場が急激に凍りついてしまった」、「大企業は現金確保に乗り出し、銀行は資金調達に苦労している」、「不動産PF保証の多い証券会社も、先制的に資金確保が必要な状況で、もう金融システムが普通の状態ではなくなった」と指摘した。ホン・ソンギ、ナイス信用評価SF評価1室長は、「市場は、(※このような)市場流動性のリスクが、各社の信用リスクに広がることを懸念している。それが長期化すれば、借り換えができず、建設会社、証券会社の信用リスクがさらに高くなるだろう」と指摘した。
いままでの金融危機の時には、高金利による問題は(※高金利になってから)9カ月から1年を耐えられなかった。ファン・セウン資本市場研究院先任研究委員は、「Fedの金利引き上げが終わり、15ヶ月ほど過ぎて、リーマン事態が起こった」、「現在、市場は、2007年下半期と同じで、危機の入り口状態で、これから年末、来年初に第2金融圏と中小建設会社のリスクが本格化されるだろう」と指摘した。また、「Fedの基準金利が4.75~5.00%まで上がれば、その最高潮は来年下半期に来る。個人も企業も、最大限現金を確保し、政府は市場安定対策を設けなければならないだろう」と強調した(聯合ニュース)・・>>
本エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において『本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2022年9月2日)からですが、<尹錫悦大統領の仮面 (扶桑社新書)>です。文在寅政権の任期末と尹錫悦政権の政策を並べ、対日、対米、対中、対北においてどんな政策を取っているのかを考察しました。政権交代、保守政権などの言葉が、結局は仮面が変わっただけだということ、率直に書きました。 ・準新刊<日本人を日本人たらしめているものはなにか~韓国人による日韓比較論~>も発売中です。「私はただ、日本が好きだから、日本人として生きたいと思っています」。これが、本書の全て、帰化の手続きを進めている私の全てです。 ・既刊として、日本滞在4年目の記録、<「自由な国」日本「不自由な国」韓国 韓国人による日韓比較論 (扶桑社新書) >と、新しく出現した対日観について考察した<卑日(扶桑社新書)>も発売中です。 ・新刊・準新刊の詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。 ・本当に、本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。