韓国の経済メディア、日本・韓国の為替レート(通貨安)が輸出に及ぼす影響を分析・・「円安は、日本の輸出に良い影響を与えている。なんで中身を見ず、貿易赤字だけを取り上げるのか」

基準金利の引き上げ、及び各種バブルによる影響において、なんの問題もないとばかり言っていたユンソンニョル政権が、政府レベルで動くようになりました。しかし、資金調達においての流動性問題は相変わらずで、不動産関連で各種規制を緩和することで何とかしようとしている側面もあり、表面的な効果で終わるのではないかという声も出ています。家計債務、不動産価格の動き、脆弱企業(営業利益で利子が払えない企業)や限界企業(その状態が3年続く)の急増、家を持っている人も借りた人も身動きが取れなくなりつつある金利の上昇、などなど。本ブログでも結構な数のエントリーを書いてきました。

しかし、そんな中でも、今月20日あたり、韓国各メディアは『日本発の金融危機が来る』という記事を載せました。本ブログでも22日に取り上げたことがありますが、ほぼすべてのメディアが『国家の債務が大きいので金利引き上げができない』『貿易赤字が大きいのでもう手の打ちようがない』などを指摘し、KBSの場合は「我が国にも影響するので、日本の国運があまりにも早く衰退しないことを願うだけです(直訳です)」と報じたりしました。もちろん、一部のメディアは「日本では、物価高が懸念されているものの、金融危機のような雰囲気はまったくない」、「日本は海外にとでもない資産を持っており、それらの『円としての価値』が上がることになる」などの記事を出しましたが、多勢に無勢でした。

 

そんな中、また一つ韓国の経済関連メディアが、あくまで輸出関連に限った書き方ではありますが、『いまの為替レートの動き(通貨安)において、日本は良い影響を受けているが、我が国はそうではない。なんでデータの中身を見ず、日本の貿易赤字だけを取り上げのか』という趣旨の記事を載せました。毎経(毎日経済)エコノミーというネットメディアの記事です。別に、安ければいいとか高ければいいとか、そんな問題ではないでしょう。ただ、韓国側の記事としては空飛ぶ寿司レベルで珍しい記事ですので、紹介したいと思います。以下、<<~>>が引用部分となります。

<<・・日本の財務省が10月20日、4~9月の貿易収支を発表した。貿易収支は11兆75億円(約105兆4900億ウォン)の赤字だった。比較可能な統計がある1979年以降、半期基準では最大規模だ。すると、日本をはじめ、る海外メディアは声を揃えて「日本貿易赤字史上最悪」という見出しの記事を載せた。ところが、その数字の後ろに隠された真実がある。貿易収支は赤字だが、輸出は大きく増えているのた。該当期間の総輸出額は49兆5762億円で、昨年同期比で19.6%も増加した。

 

ただ、輸入額の増加が大きかったのだ。ロシアによるウクライナ事態で、エネルギーコストの増加で、総輸入額は60兆5837億円で、44.5%も増えた。このため、「輸出好調」というキーワードは隠され、「史上最大の貿易赤字」というタイトルだけが残ったのだ。もう一つ、この数値は「円」基準だということを考えなければならない。最近強くなっているドルにしてみると、2014年の貿易収支赤字(644億ドル)には及ばない。

韓国は正反対だ。10月17日に「2022年9月・月間輸出入現況」が発表されると、「輸出、9月では歴代1位、23ヶ月連続増加、19ヶ月連続500億ドル突破」というタイトルが目につくようになった。昨年同期間比で2.7%の輸出が増加し、574億ドルを記録したとするこれらのタイトルだけを見ると、「輸出強国」という名誉あることが続いているように見える。しかし、輸出の流れを辿ってみると、気になる所が多い。年初には、毎月20%の増加傾向を記録していた。6月から一桁に落ち、9月は2.7%でやっと「プラス」を維持した。10月上旬基準では、昨年同期間比でマイナス20%台になっているのが現実だ。政府発表資料の自画自賛とは異なり、すでに韓国輸出には確実な警報が鳴っているわけだ・・

 

・・通常、自国の通貨が安くなっている時は、輸出が好調になる見える。日本は輸出において円安の効果を享受した可能性がある。ただし、輸入面で大きく不利なため、貿易収支赤字という結果が出た。しかし、韓国の場合は、説明が難しい。ウォンがここまで通貨安になっているのに、輸出が減少しているのだ。専門家たちは、為替レートの効果が今までとは異なると分析します。2010年以前には、実質実効為替レート(物価変動などを勘案した各国通貨の実質価値)が1%下落すると、主要産業輸出が0.71%増加した。

しかし、2010年以降は0.55%の増加にとどまった。さらに、産業別に見ると、自動車、一般機械、ディスプレイ、半導体輸出に対する実質実効為替レートの影響は、さらに大きく低下した。また、それらの分野で競争相手である円も通貨安になっているので、意味が弱くなったのが現状だ。イ・ソラ産業研究院副研究委員は、「2010年以降、技術力が重視され、為替レートによる価格競争力が及ぼす輸出効果は弱くなった」と明らかにした。為替レートではなく競争力のある製品で需要を創出するのが輸出の核心要因だという話だ。半導体に集中している産業ポートフォリオも一つの理由だとされる・・

 

・・日本の半導体と電子部品は4~9月で20%以上も成長した。一方、韓国は9月に入って前年同月比5%減少傾向になった。日本はシステム半導体中心で安定した需要があったが、メモリ半導体中心の韓国は打撃が大きかった・・・・専門家たちは、素材・部品・装備という「代替不可」の強固な基盤産業を保有していることを、日本の最大の強みに挙げる。部品・素材では、日本が世界市場の半分を供給するため、需要がしっかりしており、為替レート効果もあるという分析だ。日本貿易振興機構によると、「輸出物量が増加した1942品目のうち、ドル基準で単価が低くなった1320品目で為替レート効果が見られた」と分析した(毎経エコノミー)・・>>

この素材・部品・装備、素部装(ソブジャン)と言って文在寅政権のときから国産化、国産化とかなり力を入れてきた部門ですが・・成功したという記事は無数にあったものの、いざということになんの効果も出せなかった、といったところでしょうか。繰り返しになりますが、別に通貨価値が高ければいいというわけでも安ければいいというわけでもないでしょう。要は、急激に動かないようにコントロールできるかどうかではないでしょうか。

 

 

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