韓国、利子401%の違法な金融業者を利用する人が急増・・当局が金融業者(合法)に『ちゃんと貸出を行うように』と直接要請する事態に

家計債務の「平均」金利が、10年ぶりに5%を超えた、というニュースがありました。SBSが紹介している事例だと、ちょうど1年前の9月に3億ウォンの貸し出しを受けたなら、平均金利3.18%で、月々80万ウォンの利子を払うことになっていました。でも、1年後になる先月だと、同じローンでも平均金利5.15%で、128万ウォンになるそうです。何もしていないのに、月々48万ウォンの支出が増えたわけです。IIF(国際金融協会)基準でGDPより家計負債が大きい唯一の国で、その75%が変動金利と言われているだけに、このようなケースは決して少なくないでしょう。

言うまでもなく、各金融機関は、余裕があるところも無いところも、それぞれの立場に応じて、ローンそのものの規模を減らすことにしています。それに、DSR(DSCR、年間総所得において、年間元利金の総償還額が占める割合)40%までしか貸出が受けられないのが一般的なので、事実上、受けられるローンの『限度』が減ることになります。すなわち、収入の40%までが貸出の総額になりますが、その貸出総額は元金と利子の分まで全部合わせてのものです。金利が上がって利子が増えた分、受けられる元金の分が減るわけです。で、銀行から1億円の貸し出しを受けた人がいるとします。満期になって、銀行に行って満期延長を申し込んだら、「8000万円までしか貸出できなくなっているので、2千万円は返してください」と言われる、そんな展開になるわけです。

 

急にその2千万円をどうするのか。どこから借りるのか。普通の銀行など「第1金融圏」でうまくいかなかったら、ハードルは低いけど利子が高い「第2金融圏(貯蓄銀行など)」にいきます。それでもうまくいかないと、第3金融圏に行くしかないでしょう。1号と2号の次はV3・・かどうかはともかく、今回は第3金融圏の話がメインになります。一般的には3金融圏とは言わず、よく「貸付業者」と言います。第2より、さらに貸し出しが受けやすいけど、さらに金利が高く、上限金利の20%は当たり前、そんなところが貸付業者です。一般的に「貸付業者」というと、合法的にやっているところを意味します。

ただ、そうでないところもあり、私債(サチェ)、または私金融(サグミュン)と言います。2021年1月に複数のメディアが報じたところによると、その平均金利は年401%。40.1ではなく401です。1000%超えもよくある、そんな世界です。そのサグミュンによる問題は、表向きにならない場合も多いと言われていますが、それでも急増しています。朝鮮日報の報道によると、この問題は2019年に4986件でしたが、2021年には9238件となりました。このデータは2021年のものなので、これからもっと増える可能性が高いでしょう。なにせ、ニューシースなど複数のメディアの報道によると、第1、第2に続いて、第3(貸付業者)もまた、新規ローンを大幅に減らしつつあります。聯合ニュースは、金融当局が貸付業者と会議を開いて、庶民たちに貸し出しをちゃんと行うように直接要請までした、とも。しかし、貸付業者もまた、そうはいかない理由があります。以下、各紙、<<~>>が引用部分となります。

 

<<・・基準金利上昇が続く中、債券市場まで梗塞され、「第3金融圏」と呼ばれる貸付業界まで、融資の規模を減らしている。脆弱層は、サグミュン、未登録貸付業者たちに追い込まれる懸念が現実化している。26日、金融業界によると、資産規模1兆ウォンを超える貸付業界2位企業のリードコープは最近、新規融資規模を減らす方針を明らかにした。リードコープは、資金調達が困難な状況で、先制的なリスク管理のための措置だと説明した。昨年末基準、貸付仲介業者を含む貸付業者の数は8650になるが、一部の業者は、現在、新規の貸し出しを中断した状態だ・・

・・貸し出しを受ける最後の手段である貸付業者を利用する場合、合法的な「登録貸付業者」なのか、そうでない未登録(違法)のサグミュンなのかを確認する必要がある。ソウル市民生司法警察団によると、サグミュン業者A氏は、67人に合計11億ウォンを貸し、受け取った利子だけで3億8000万ウォン、上限金利(20%)を超える分だけで2億6800万ウォンに達した。最高で1300%まで受けとったことが確認されている(ニューシース)・・>>

 

<<・・金融当局は、最近、調達金利の上昇や不動産価格の下落などで融資のハードルを高くした貸付業界に対して、庶民層に信用(※融資)を供給する役割を果たしてほしいと要請した。金融委員会と金融監督院は28日、貸付金融協会とともに貸付業界の庶民層信用供給現況を点検する会議を開き、このように明らかにした。この日、金融当局は、貸付業界の庶民層信用供給現況と資金調達動向を点検し、貸付金融協会の意見を聞いた。金融当局は「貸付業界も庶民金融の一軸を担当しているので、庶民層の信用供給に役割と責任を尽くしてほしい」と要請した(聯合ニュース)・・>>

 

しかし、そう簡単な問題ではありません。ちょうど24日にも同じ趣旨のエントリーを書いたばかりですが・・一時は40%を軽く超えていた韓国の上限金利ですが、いまは20%まで低くなっています。しかし、もともと多重債務者が多い、家計負債の総額が大きすぎるなどの理由があって、20%ではむしろ『人々をサグミュンに追い込むことになってしまう』という指摘もあります。貸付業者が『リスクの高い人にリスクの高い貸付を行う』ことは、それはそれで社会に必要だからそうやっているだけなのに、とりあえず上限金利を低くする政策だけが行われ、第3金融圏はちゃんと機能しなくなった・・その結果、急にお金が必要な人たちの場合、もうサグミュンにいくしかなくなった、そういう切ない話です。

(引用部分にはありませんが)ニューシースの記事によると、もう第2金融圏と利子の差が無い(第2も20%で貸している)とのことでして。第3金融圏もまた資金を調達するのが難しくなっているし、第2に比べて調達にかかる費用も高いので、利益が残せなくなる、というのです。上限金利の引き下げは、庶民のためを思ってのことだったかもしれません。しかし、実に皮肉な結果になったとしか言いようがありません。

 

 

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