韓国の生命保険会社、外貨債権に対してコールオプション行使せず・・各メディア『債券に対する、国際市場での投資心理にも影響するだろう』

興国(フングック)生命保険。韓国で暮らしたことがある人なら、生命保険、火災保険などでこの社名を知らない人はいないでしょう。一時はテグァングループの傘下、かなりの大手だった頃もありますが、最近はそれほどではありません。でも、ソース記事では『大企業』としているし、1950年代から存在した老舗生命保険会社なのでネームバリューもある、そんな会社です。この興国生命保険が、約5億ドルの外貨ハイブリッド証券に対し、コールオプションを行使しないと発表しました。

簡単に言うと、「5~10年後に、決まった価格で私たちが買い戻す『オプション』が付いているから、安心してこの証券を買ってください」と言っておいて、そのままは履行できなくなった、と発表したのです。他の記事も読んでみましたが、このハイブリッド証券というのは、金融機関がBIS(自己資本比率)を高めるための手段として活用するもので、『永久債』に分類され、会計上では資本と認められるそうです。しかし、通常は5年~10年後に、発行した金融機関がこれを買い戻す『コールオプション』がつく、とのことです(中央日報)。一部のメディアは、これは『債券への投資心理そのものに影響する』とし、結局は企業などの資金調達に関わり、『(自治体の保証に関する信用に影響した)カンウォン・レゴランド事態の海外版のような状態になる』と指摘しています。

 

特に、「2日、国内資金調達市場を震撼させる、重要な事件がありました」、「国内保険会社の興国生命が、資金を調達するために発行していた新種資本証券に対して、借りたお金を返すという意味の『コールオプション』を行使しないと宣言しました」、「レゴランド事態が、実際に試合に参加していない選手がフィールドの外で起こした騒ぎだとするなら、今回の事態は、実際にフィールド内でプレイしている選手が『もう疲れちゃったよ』と自分で言ったようなものです」、などなどと、SBS(地上波放送)が結構長い記事を載せ、「いったい、各企業は資金調達にどれだけ困っているのか」と、問題を提起しています。喩えがふさわしいかどうかはともかくして、以下、<<~>>で引用してみます。

<<・・興国生命は、2017年11月に5億ドル規模の新種資本証券を発行し、当時の為替レートで5千億ウォンを超えるお金を、市場から借りました。このような新種資本証券には、慣行的に、お金を借りてから5~10年後に元金を返済するという約束、『コールオプション』をつけます。興国生命も当然、発行日から5年後の2022年11月9日にコールオプションを行使するという条件を掲げました・・・・国際金融市場では、99%このコールオプションを行使し、元金を早期に返済します。それが国際的に通用される慣行でもあり、コールオプションを放棄すると、金利が跳ね上がる「ステップアップ」の条項もあり、返済の負担はより大きくなるので、その前に返済するという意味もあります。

 

このような理由で、最近13年間、国内の大企業の中で、コールオプションを放棄したところは一社もありませんでした・・・・興国生命がコールオプションを行使しないと明らかにした理由は、国内外の金融市場の状況が非常に不安定になった、金利も急上昇した、この2つです。興国生命は今回のコールオプションを行使して元金5億ドルを返済すれば、再び新しい債券を発行しなければなりません。しかし、金利も高く資金市場も安定しないので、お金を借りることができるか確信できないというのです。言い換えれば、信頼が何より大事な保険会社が、「今、お金に困っています」という意味を示したわけです・・・・市場はすぐに反応しました。コールオプション問題のニュースが広がると、興国生命の新種資本証券価格は30%以上急落しました。

 

慣行的に、債券に投資して安全な収益を狙おうとした買収者たちは、瞬く間に膨大な損失を被ることになりました。問題はこれだけではありません。レゴランド事態が国内債券市場の信頼を揺らしたように、興国生命コールオプション問題は、国際市場で韓国債権に対する信頼を揺るがしました。実際に、興国生命のコールオプション関連ニュースにより、『ハンファ生命』が大きなダメージを受けました。額面価格が100ドルだったハンファ生命のドル貨・新種資本証券価格は、売りが一気に集まり、呼び値で70ドル水準に急落しました。来年4月にコールオプションの行事を控えたハンファ生命は、借り換え発行のため先月1兆ウォン規模の新種資本証券発行を検討しましたが、市場の変動性が大きいという理由で、計画を暫定的に延ばした状態です。市場からすると、同じパターンになると思われたわけです。レゴランド事態を、フィールド外の選手が騒ぎを起こしたものだとするなら、今回の興国生命事態は、フィールドで実際に走っている選手が「もう疲れた」と自分で言ったようなもので、市場はもっと重く見ています(SBS)・・>>

 

他のメディアも、「簡単にいうと、約束していた早期償還ができなくなったということじゃないか」としながら、そこそこ記事を出しています。レゴランド事態の影響、でしょうか。でも、全体で見れば、大して話題になっている雰囲気ではありません。

引用部分にはありませんがSBSの同記事によると、金融委員会は「機関投資家たちと持続してコミュニケーション中である」と声明を発表した、とのことです。しかし、記事は、レゴランドから興国生命に至る一連の事態が、経済に投げるメッセージはもっと重く見ないといけないと指摘しています。

 

 

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