国際市場で「KP(韓国企業発行の外貨建て債券)」はほとんど取り引きされず・・韓国大手メディア『特に第2金融圏に金融危機の兆し』『日本市場での資金調達に目を向ける』

金融関連記事でよく出てくる「第2金融圏」ですが、これは、「銀行より貸し出しが受けられるハードルは低いけど、その分、ローンの金利などが高い」金融機関のことです。証券会社、保険会社、キャピタル会社などのことで、代表的なのは貯蓄銀行です。2011年、この貯蓄銀行が次々と倒れ、大きな問題になったりしました。現状、資金調達関連で苦労しているのは第1も第2も変わらず、大企業も中小企業も変わらずだとは思いますが、聯合ニュースが、『特に』これら第2金融圏に金融危機の兆しを懸念する声があると報じました。やはり、『弱い環』(チェーンを引っ張ると、もっとも弱い環からちぎれるという『最も弱い環の原則』)から問題が生じるというのです。

3日に本ブログでもお伝えしましたが、某保険会社がコールオプションを行使しなかった(簡単にいえば、事前に慣行的に約束されていた早期返済、すなわち決まった時点での買い戻しを行わなかった)ことで、国際市場でKP(※韓国企業発行の外貨債券)は価格が下るか、または取り引きがほとんど行われないようになった、とのことでして。しかも中国、ヨーロッパなど『対外条件』も油断ならない状況が続いているので、そんなの懸念の噂が聞こえてくるのもうなずける、というのです。一部は日本市場での資金調達を目指している、とも。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・国内外で同時多発的に発生した数々のリスクが、相対的に弱い環である国内第2金融圏を揺るがしている。国内第2金融圏の全般で問題が生じている。政府と中央銀行の流動性拡大措置にもかかわらず、市場の不安は収まらないでいる上、国外からも主要国が金利を引き上げるなど、また金融危機が発生するのではないか、との懸念が出ているのだ。国内金融圏では、先月からその兆候は表面的にも見えるようになってきた。証券会社が不動産プロジェクトファイナンシング(PF)借り換えのリスクにより、すでに緊急経営に入った。それに続き、保険会社も早期返済(コールオプション)を行使しないなどの問題が起きた。クレジットカード・キャピタル社も、与信専門金融会社債の発行において、懸念が消えないでいる。

最近、ドル貨の新種資本証券の早期返済をしないことにし、DB生命は来る13日予定された300億ウォン新種資本証券の早期返済を来年5月に変更した。市場では、第2金融圏会社の現金とドル不足、健全性などに懸念が提起されている。ある証券会社の債権運用担当者は、「市場では、ドル流動性不足の疑いまで広がっている」とし、「最近、CDSプレミアムも結構上がったうえ、保険会社らのPF投資規模も大きく、その満期が来ると、資金事情が萎縮するしかない」と話した。債券市場のある関係者は、「海外借入発行は金利が高く、しかも需要も萎縮した状況だ」とし、「保険会社は支給余力比率(RBC)も低く、早期返済せず、やむを得ず追加金利を乗せて6~7%を出してでも返済時期を遅らせたのだ」と分析した。ドル債を発行するには、為替レートの上昇を考慮すると、金利が10%を超えることもあるという・・

 

・・国外の状況はもっと深刻だ。中国の不動産企業は、ドル債権の返済をちゃんと行わないところが増えている。1日、中国15位の不動産開発業者「CIFI」が、先月満期が戻ってきた海外債務返済の延期を宣言した。先月末、不動産開発業者のグリーンランドグループは今月13日が満期の3億6千200万ドル規模のドル債券の返済義務が果たせないと明らかにした。中国の不動産企業が来年まで返済しなければならない国内外債務は、少なくとも2,920億ドルに達するという観測も出ている。ヨーロッパでは、世界的投資銀行(IB)であるスイスのクレジット・スイスだけでなく、フランスの大型銀行を中心に、リスクの懸念が提起されている。 IB業界の関係者は「ヨーロッパはイギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スペインなど全般で投資銀行のリスクを指摘する声が出ている」とし、「問題が本格化するなら、それはヨーロッパから始まることになるだろう」と指摘した(聯合ニュース)・・>>

 

引用部分にはありませんが、「国際金融市場でKPの取引は開店休業状態に入り、土地住宅公社と韓国投資証券など、信用度の高いところも、ドル債による調達を取りやめた」とのことです。大手銀行となるハナ銀行と新韓銀行も、今までは比較的安定的な流れを見せてきたオーストラリア・ドル債券(カンガルーボンド)発行を控えることにしたそうで、別に第2だけの問題でもない、といったところでしょう。第1か第2かは詳しく書いてありませんが、「一部は、日本市場(文脈からして、日本市場での外貨債券による資金調達など)に目を向けている」、とも。デジタルタイムズというメディアが、このKP関連の記事を載せていますが、どうやら、冗談でもなんでもなく本当に『開店休業』状態だ、とのことでして。

 

<<・・ドル貨の新種資本証券コールオプション未行使があってから、外貨債券市場で外貨表示債券(KP)の価格が急落し、取引量も「崖」水準に減ったことが分かった。市場ではこのような雰囲気が、しばらくは解消されないだろうという懸念が出ている・・(※KPの価格が20~30%下がったといういくつかの事例の後に)・・低くなった価格にも関わらず、取り引きは低調だ。ある証券会社の海外債権運営担当者は、「海外債券の場合、全体的な取引量を把握することは難しい」としながらも、「コールオプション未行使の前から、KPに関する流動性がスムーズではなかったが、それでも買収・売りの『呼び値』はある状況だった。でも、もうそれさえ消えた状況だ」と伝えた。

ある資産運用会社の債権運用担当は、「11月に入って、実際の取り引きが全くない新種資本証券も多い」とし「市場での信頼問題になったのだ。取引されているのは、投げ売りレベルの物だけだ」と話した。市場では、今回の事態をきっかけに、企業の海外債券発行に懸念が出ている。短期的には新種資本証券を発行する会社の資金調達に限られるかもしれないが、結局は、KP全般の需要が減り、発行金利もさらに高くなるだろうという指摘だ(デジタルタイムズ)・・>>

 

 

・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において『本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。

  ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2022年9月2日)からですが、<尹錫悦大統領の仮面 (扶桑社新書)>です。文在寅政権の任期末と尹錫悦政権の政策を並べ、対日、対米、対中、対北においてどんな政策を取っているのかを考察しました。政権交代、保守政権などの言葉が、結局は仮面が変わっただけだということ、率直に書きました。 新刊<日本人を日本人たらしめているものはなにか~韓国人による日韓比較論~>も発売中です。「私はただ、日本が好きだから、日本人として生きたいと思っています」。これが、本書の全て、帰化の手続きを進めている私の全てです。 刊として、日本滞在4年目の記録、<「自由な国」日本「不自由な国」韓国 韓国人による日韓比較論 (扶桑社新書) >と、新しく出現した対日観について考察した卑日(扶桑社新書)>も発売中です。 ・刊・準新刊の詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。 ・当に、本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。