韓国、第2金融圏の不動産PF関連ローンで『延滞率20%』の指摘・・実際の発表は1.36%

一つ前のエントリーでゾンビ企業について書いたばかりですが、実は『黒字企業も危ないのに何を言ってる』という指摘が出ています。大企業も安心できない状況ですが、今回のソース記事の場合、基本的には中小企業に関する内容です。ちゃんと本来の商売ができていて(営業利益などは黒字が維持できていて)、それでも各種支払いに必要な資金を用意できなくて、そのまま倒れてしまう企業のことです。

簡単に言うと、資金流動性、銀行から貸し出しを受ける、または満期を延長することすら難しくなった・・といったところですが。『貯蓄銀行(第2金融圏)』とセットで、この件を取り扱う記事が増えています。最近、債務関連のネタばかりですが、またこの手の更新となりました。以下、時事ジャーナルから中小企業及び黒字倒産の話を、デイリアンから中小企業と貯蓄銀行の関係、そしてビジネスウォッチから、貯蓄銀行が例の『プロジェクトファイナンス(PF)』においてどんな状態なのかを引用します。それぞれの記事、<<~>>が引用部分となります。いろいろまとめたので結構長いエントリーになりました。タイトルの20%関連内容は、真ん中より少し下のほう、赤い『引用』の字からとなります。

 

<<・・7日、韓国銀行経済統計システムによると、9月、預金銀行(※第1金融圏)の新規取扱額基準、中小企業貸出の金利は4.87%だった。10月には2.81%と低点を記録した。以後は上昇傾向を見せている。10月には、中小企業貸出金利は5%を越える見通しだ。10月12日に引き上げた基準金利の分が反映されるようになるからだ。中小企業のローンのうち、高金利の比重も増えた。

9月、金利が5%以上の中小企業貸出が、中小企業貸出全体の40.6%を占めた。昨年の3.1%と比較すると、13倍を超える。4%以上~5%未満の区間が、42.1%で最も多い。昨年には7.3%だったので、5.8倍に達する。金利が3%未満の融資比率は、去年9月に56.5%だったが、今年9月には4.7%に急減した・・

 

・・中小企業の資金調達は、それでも容易ではない状況だ。レゴランド事態と金融圏の梗塞で、会社債の発行が難しくなったためだ。大企業も資金調達に困難を経験している状況だ。中小企業ローン金利は大企業より高い。9月中小企業貸出金利は4.87%で、大企業は4.38%水準だ。問題は、中小企業の金融費用負担が、今後さらに大きくなるという点だ・・

・・(※24日に基準金利引き上げの可能性が高いとする内容の後に)限界企業だけではなく、黒字企業までも倒産する可能性もある。利子負担は増え、貸出を受けるのは難しくなるからだ。新型コロナ期間には流動性が高かったので耐えられたが、現在は物価高で、政府が流動性を供給するのは難しい状況だ。倒れる企業が連鎖するようになると、経済にはとんでもないダメージになるだろう(時事ジャーナル)・・>>

 

それでも、これはまだ第1金融圏の話ですから、5%で借りることができればまだマシです。問題は、10%は軽く超える(場合によっては上限金利の20%近くまで上がるという)、第2金融圏を訪れるしかない、そんな中小企業の存在です。第2金融圏の中で「貯蓄銀行」に限ったデータではありますが、中小企業が貯蓄銀行から受けた貸出が、2019年末に比べて90%近くも増えた、とのことでして。第1では相手されなかった中小企業が、その分、増えたという意味です。ここからはデイリアンの記事です。

 

<<・・3日、金融監督院によると、今年6月まで国内79行の貯蓄銀行が保有した中小企業融資残高は計67兆5958億ウォンで、新型コロナが問題になる前の2019年末と比べ、89.8%(31兆9790億ウォン)増えた。貯蓄銀行業界が抱えている『固定』以下の債権もまた7500億ウォン以上増え、4兆ウォン近くまで増えている点だ。実際、今年6月末、貯蓄銀行の『固定』以下与信の総額は3兆8219億ウォンで、2019年末より24.8%(7595億ウォン)も増加した。固定以下与信というのは、3ヶ月以上延滞された事例を通称する表現だ。

今後、このリスクはさらに拡大すると見られる。金利が急な上昇を続けていて、ローン返済に困難を経験する人々が増える可能性も高まっているからだ。特に、貯蓄銀行の場合は、企業ローンの大部分が中小企業を対象にしているという点も、大きい。大企業に比べて資本力が弱い相手になるからだ。今年6月末、貯蓄銀行業界の企業融資のうち、中小企業が占める割合は95.6%に達した(デイリアン)・・>>

 

引用はしていませんがSBSの記事によると、例のプロジェクトファイナンス(PF)関連でも、貯蓄銀行の立場は思わしくないとのことでして。例えばマンション団地を作るプロジェクトがあるとすると、そのプロジェクトそのもの(実際のマンション団地はまだ作っていない)を担保にして融資を行うことをプロジェクトファイナンスと言います。PFに関わっているのは別に貯蓄銀行だけではありませんが、10兆8000億ウォン貸し出していますが・・その対象になる建設・施行会社の9割は『投機等級(投資不適合等級)』または『無等級(そもそも等級無し)』の会社だそうでして。この件は多くのメディアが取り上げていますが、それでも同じ期間、貯蓄銀行PFローンの延滞率は1.36%なので、「まだ安定している」という結論になります。しかし、ネットメディア「ビジネスウォッチ」が、それは違うと指摘しました。

 

<<・・貯蓄銀行は不動産PFローンにおいて、表面的には問題がないという立場である。79社の貯蓄銀行の6月末基準経営公示を総合すれば、これら貯蓄銀行の不動産PFローン延滞率は1.36%に過ぎない。 PFローンの問題を予想する声が出ていることを考えると、まだまだ健全なレベルだ。ただし、ここには貯蓄銀行の、与信管理の仕方を考えないとならない。通常、銀行は出したローンを、「正常」→「要注意」→「固定」→「回収疑問」→「推定損失」等に分けて管理する(※先の記事の『固定以下』というのがこのことです)。

固定より以下は事実上問題があるものとするが、一部の貯蓄銀行は、まだこれらを『延滞』と見なさない。実際、該当する貯蓄銀行の不動産PFローン中に「固定」以下の残高は1940億ウォンほどだが、データ上の延滞額は1807億ウォンで、数値が合わない。また、延滞が始まっていても、その期間が3カ月未満の貸出残高『要注意』が、1兆83333億ウォンに達する。言い換えれば、現在、貯蓄銀行が扱った不動産融資の約20%において、すでに延滞が始まったということだ(ビジネスウォッチ)・・>>

 

記事を読んで、『じゃ、延滞カテゴリーってなんなの』と思いました。どんなものが入るのでしょうか。引用部分にはありませんが、記事によると、貯蓄銀行のPFの場合はその約9割が投機・無等級なので、政府が予定している資金支援も受けることができない、とのことです。2011年頃に貯蓄銀行関連で結構騒がれたことがありますが・・何も変わっていませんね、これは。

 

 

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