なかなか続報がない「チップ4」・・「尹政権はすでに参加を決めた」とも、「日台に比べて消極的」とも報じられる

久しぶりに、日本・米国・台湾・韓国による半導体連合、いわゆる「チップ4(Chip4)」関連です。9月29日に台湾主催で予備会議が開かれましたが、その際にも外交部は「本会議に参加するかどうかも決定されたことがなく、国益に基づいて、国益に役立つ方向で検討する」と話し、それから動きがありません。

7日に産業通商資源部と米国商務省との半導体関連会議があって(具体的な進展はありませんでしたが)、各メディアが関連事項としてチップ4記事を載せました。でも、どうもメディアによって、それぞれ異なる動きを報じています。ニュース1は『発表はしていないが、尹大統領は、すでに加入すると決めてある』としているものの、デジタルタイムズは『日本、米国、台湾の場合、その協力がすでに目に見える段階まで来ている』としながら、もっと積極的に加入を推進する必要がある、と。各紙、<<~>>が引用部分となります。

 

<<・・尹政権は、米国主導の半導体同盟である「チップ4同盟(韓国・米国・日本・台湾)」に事実上参加する方に決めたと伝えられた。グローバル需要の鈍化で、輸出の核心品目である半導体さえ揺れている状況をなんとかすることができるのか注目されている。政府の高位関係者は7日、「チップ4同盟」参加について、「政府側の立場は、いったん参加するという方向は、すでに決まっていると聞いている」とし、内部の結論は出ている状況であると示唆した。この関係者は引き続き「公式発表の日程は、様々な理由で、まだ考慮している」と伝えた・・

・・チップ4は米国主導の半導体同盟だ。米国は日台韓にチップ4協議体を設け、グローバルサプライチェーンを強化しようと提案した。すでに台湾と日本は加入意思を表明した状態で、まだ韓国は公式の答えを出していない状態だ・・・・中国を最大の貿易国として、これまで慎重な立場をとってきたのだ。だが、国内でも、安定的な半導体装備確保のためにはチップ4加入が必要だという業界・専門家の意見はすでに主流になっている。政府も、同じ理由で、参加を公式化する見通しだ。特にグローバル需要鈍化の中、輸出経済において牽引車の役割を果たしてきた半導体輸出が揺れている今の状況も、政府の決定に影響を及ぼしたと見られる・・

 

・・「チップ4同盟」参加は、中国との関係では問題だが、半導体産業で円滑なサプライチェーン確保のための機会であり、安全装置であることに異議を申し立てる人はいない。貿易協会は「最近の半導体装備貿易動向と示唆点」という報告書で、「米国・日本・オランダが世界半導体装備市場のほとんどのシェアを持っており、安定的に装備の供給を受けるためには同盟に加入するほかない」と主張した。チップ4同盟が発足すれば、韓国と台湾は半導体の製造および生産を担当するものと見られる。米国は半導体設計を、日本は半導体素材及び装備を担当することになる見通しだ(ニュース1)・・>>

最近、米国が半導体関連で中国への投資、半導体設備(装備)販売や搬入などを制限していますが、台湾や韓国企業には1年の猶予が与えられました。ここだけMBCですが、そこで韓国の産業通商資源部と米国の商務省が会議を行いましたが(バイデン大統領が訪韓したときに締結したサプライチェーン関連MOUを根拠にしたものだそうです)、そこで産業通商資源部は『1年の猶予期間が終わった後にも、制限を受けないようにしてほしい』と要請しました。同じ趣旨のMOU、政府レベルで中国とも締結しているし・・

 

なんというか、どうも加入を決めた側の動きには見えませんし、そう思ったのは私だけではなかったようです。一部のメディア、例えばデジタルタイムズもまた、日米台の協力は具体化しつつある(個人的に、これはチップ4という名称に限られるものではなく、もっと広い視野によるもの、いわば『企業レベル』ではなく『国家レベル』のものに見えます)としながら、もっとはっきりスタンスを示す必要がある、としています。

<<・・米国が日本、台湾、韓国など半導体産業の主要国を集めてグローバル半導体同盟「チップ4」を推進している中、日本と台湾など韓国を除く他の国と米国間の具体的な協力が可視化されている。韓国も半導体機器などの安定的な確保のために、より主導的に参加しなければならないという主張が出ている。7日、日経新聞によると、日本政府は、今年中に米国と共に次世代半導体研究拠点を新設するため3500億円を投入する予定だ・・

 

・・この資金は、日本政府が樹立した2022年の2次追加経済予算案の1兆3000億円の半導体支援策に含まれたものだ。他にも、日本政府は先端半導体工場を建設する企業のための補助金として4500億円を、半導体素材・部品産業に3700億円相当を投入する方針だ。日経は、この半導体R&D拠点が2020年代後半までに回路線幅2ナノ(nm)未満の半導体を開発して生産することを目指すと報じた。

これに先立ち、米国と日本は7月にも、米国ワシントンD.C.で両国外交長官と経済長官が参加した中で「経済2+2」会議を開き、次世代半導体開発のための共同研究センター建設に合意したことがある。参加する企業は公開されていないが、日本国策研究所と主要大学が参加する可能性が高い。また、日本の半導体装備や素材、部品企業も参加すると思われる・・・・半導体設計と素材・装備産業を中心に米国と日本の協力体系が強化されるほど、製造中心の韓国半導体産業は、装備の供給においての不確実性だけが高まるという懸念が出ている(デジタルタイムズ)・・>>

 

両記事に共通するのは、『装備の供給が受けられなくなったらどうしよう』です。去年基準で、韓国の半導体装備の77・5%は、日・米・オランダ3国からの輸入でした。文在寅政権の頃から、素材・部品・装備の国産化を目指していて、国産化出来たという記事も結構出ていたはずですが、あれはなんだったのでしょうか。あと、ニュース1の記事の引用部分、よく読んでみると・・「設計は米国、素材装備は日本」ですが、「製造」には台湾と韓国の2ヶ国が入っています。装備の供給よりも、これこそが、尹政権がもっとはっきりしたスタンスを示すべき理由ではないでしょうか。

 

 

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