日本企業、円安による大きな為替差益・・一部の韓国メディアも『意外な結果』と報じる

今年、特に春あたりから、韓国各メディアには『円』に関する記事が増えました。基本的には、単に円の通貨安ではなく、円の存在意義そのものに関するもので、円はもうやすものになったとか、国際社会の信用に関わる現象だとか、そんな内容でした。しかし、日本だけでなく、全般的にはドル高という側面のほうが強く、それからすぐにウォンも通貨安になり、日米と通貨スワップを締結しようという話が浮上しました。『バイデン大統領との首脳会議において、通貨スワップを最優先議題にすべきだ』という話まで出てきて、ブログで紹介した記憶もあります。

それでも、円安で日本は~という記事は続きました。米国の基準金利引き上げが大きな話題になってからは、日本発の金融危機に関する記事が増えました。いろいろ書いてありますが、結局は『円安』だけが論拠でしたが10月に韓国銀行が基準金利の利上げを行ってからは、もう一つ、『利上げをしないのが論拠だ。日本の債務が大きすぎるから利上げできないのだ』という話が増えました。その利子が増えるのを懸念して、利上げできなくなっているというのです。

 

反論を提起する人たちもいました。本ブログで紹介してきた内容だけでも、「なんだかんだで韓国でもっとも懸念されるのが外貨が流出する現象が起きるのかどうかだが、その点において日本は立場が違う」、「海外の資産が多いため、むしろ日本が持っている海外資産の円換算での価値が上がる効果がある」、などです。先月には韓国メディアの東京特派員が、わざわざ「日本で話題になっているのは物価高騰だけで、金融危機がどうとか暗い見通しに耳を傾ける人はほとんどいない。国内外の経済専門家たちもそうだ。円安は事実だが、それだけだ」とする現地報告を書いたりしました。利上げをしない理由には、そんな観点もあるとする論拠提起でしたが、多勢に無勢というか、これといった影響力はありませんでした。

 

それからレゴランドとかコールオプジョンとか、主に資金流動性に関する記事が増え(最近、本ブログもこういう内容がメインでしたし)ましたが、それでも円安がどうとかの記事は消えませでした。11月2日のニュースですが、新韓(シンハン)投資証券の部長さんがKBSに出演して、利上げできない日本が、為替レート防御のために米国債券を売ることにより、日米に金融危機が発生する可能性があると話したりもしました。まるで日本が原因だとするような言い方で、さすがに番組進行者もこれについては「もともとは、米国が急な利上げを行ったからではありませんか?」と質問する場面もありました。

<<・・(※米国債券市場が不安定になり、それが日米ともに金融危機を育てている。この側面を私たちは見落としているという話の後に)基本的に、日本が持っていた米国債を売りながら全般的に円を防御しようとする努力があって、こうなったのです。日本のような場合は、ご存知のように、全世界で1兆2,000億ドルに達する米国債を一番多く保有した国です・・・・その日本が87兆ウォンに達する国債を注ぎながら全体的に円の防衛に乗り出すから、米国では国債市場の物量が多く増え、価格は探し、利回り、すなわち金利が上がるのです。金利が急激に上がると、急激に上がった金利ほど市場では金融不安が大きくなるしかないし、これによる影響が市場にあったとみるべきです(KBS)・・>>

 

そんな中、『円安でくるしいと言たのに・・日本企業、為替差益でむしろ利益が増加』という記事がありました。本当にわかりやすい題だな、と思いました。韓国日報は日本企業の利益に円安が良い影響を及ぼしたしながら、こう報じています。 <<・・10日、日本メディアによると、10月から先週末まで7~9月期の実績発表をした企業のうち、32%が2022年度(2022年4月~2023年3月)の実績見通しを上方調整し、実績見通しを下げた企業(17%)の割合を大きく上回った。円安のおかげでドルで稼いだ海外輸入の円換算利益が大幅に増加、多くの企業が実績見通しを上げたのだ。海外事業を積極的に繰り広げる総合商社などが特に大きな為替差益を得た。大企業上場社7社のうち6社が歴代最大の純利益を記録した。三菱商事は日本総合商社のうち初めて純利益が1兆円を超えると見込まれる・・

・・野村証券は、ドル当たりの円安が1円下がれば、主要企業の年間経常利益は0.3%上昇すると推定した。2021年度の日本上場企業の経常利益71兆円を基準にすると、円安効果だけで今年の日本上場企業の利益は5兆円近く増えた可能性があるのだ。今年、円安が急速に進んだときから、日本社会では物価上昇を招く「悪い円安」という認識が広がった。企業も海外原料購入費の増加などの理由で同調した・・・・だが、実査には、企業は莫大な為替差益を得るなど、円安効果を得ていたわけだ、日経新聞は「円安に伴う輸入物価上昇の影響を受ける人が多いため、差益を得た企業が(円安効果について)沈黙したためだ」と説明した(韓国日報)・・>>

 

通貨安によって『良い』影響を受ける会社は韓国にもあるはずですが、サムスンなど、経済全般に大きな影響を及ぼす企業の場合、為替レートによる利益が得られないでいる、と報じられています。日本にもまた、円安による良い影響だけがあるわけではないでしょう。実際の生活においての物価高が特にそうです。なにごとも、急すぎることだけは避けてほしいところでありますが・・口でいうほど簡単な問題ではないというのも事実。それぞれの国で出来ることは、『これまでの』通貨安現象に比べ、限られるのではないでしょうか。

 

 

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