韓国経済専門家たち、相次いで『限界企業』『資本蚕食(資本食い込み)』の増加を指摘・・財界屈指のグループでも多数の系列社は資本金を維持できず

今まで何度か取り上げましたが、『3年連続で利子補償倍率1未満』の企業。3年連続で、営業利益で借入金の利子が負担できない企業のことです。各記事によって用語が一貫しなかったりしますが、本エントリーのソース記事である「時事ジャーナル」では、ちゃんと説明付きで『限界企業、またの名をゾンビ企業』としています(これがもっとも広く使われる表現です)。営業利益だけがその会社の全てではありませんが、企業が全般的にどんな状態なのかを表すデータとされています。最近、特に目立つようになりました。結論から書きますと、これが全企業の18%を超えています(※記事に特記されていませんが、普通、こういうデータは非金融企業だけにします)。

記事は、今までは低金利基調が維持されていたため、この問題が隠れていた側面もあるとしています。景気は鈍化しているのに、金利が低いから利子補償倍率問題があまり目立たなかっただけだ、と。しかし、最近は金利がまさに「急に」動いているので、その分、個人も企業も利子負担を大きくなり、利子補償倍率も急激に動く(下がる)可能性が高く、来年あたりにそれら限界企業に『ドミノ』現象が起きる可能性もある、と。記事は、「なぜ、専門家たちがこの問題を相次いで指摘しているのか」という分かりやすい見出しのもと、いろんなデータを示していますが、それでもこのデータに最近の金利引き上げの分がちゃんと反映されているわけではありません。『来年』がキーワードになるのも、うなずけます。

 

本ブログもそうですが、最近、様々な経済関連ニュースが報じられています。この限界企業関連も、いままでは『経済団体がこう予測している』『上場企業のうち~』というものがメインでしたが、最近になってもう少し具体的、各企業ごとのデータが出てくるようになりました。今回はゾンビだけでなく資本金関連についてもデータが載っており、財界序列25位(普通は売り上げ基準になります)の建設会社グループの場合でも、系列会社約3分の1以上が、資本蚕食(資産くいこみ、資産から債務を引いた純資産が、資本金と法定準備金などを下回る)状態です。あのヒュンダイ車すらも、系列会社の6分の1以上が同様の状態です。他にもいろいろデータがデーテいますので、<<~>>で引用してみます。

<<・・産業銀行KDB未来戦略研究所の「限界企業現況と示唆点報告書」によると、昨年末基準で、限界企業は4478社で、10年前と比較して3125社も急増した。2011年には1353社だった。毎年着実に増加してきたわけだが、特に、2016年の2165社から2021年には4478社で、5年間だけでみるとなんと106%も急増した。同期間、全体企業での比重も11.6%から18.3%と、6.7%ポイントも急騰した。 10年間この状態だった企業も120社あり、5年以上の企業も1762社(7.19%)に達する。

 

来年初め、彼らの「ドミノ」が懸念される。限界企業は営業活動で利子費用を払う余裕がない財務状態が持続し、3年連続で利子補償倍率(営業利益/利子費用)が1未満の企業をいう。簡単に言って、稼いだお金では利子費用さえ何とかならないという意味だ。ゾンビ企業とも呼ばれる。韓国銀行が出したデータで見てみると、限界企業は昨年末、全体企業(外部監査が可能な企業)のうち14.9%だった。100社のうち、中小企業は16社、大企業でも12社が限界企業だ・・

・・最近、事業終了を宣言し、全社員をリストラした『プルミル』事態が代表的な事例だ。プルミルは10月17日、400人余りの職員に経営悪化により10月30日付で事業を終了すると通知した。産業界では、プルミル事態が「限界企業リストラ」の始まりになるだろうと分析している。プルミルが他の限界企業の廃業を招く、バタフライ・エフェクトになる可能性があるというのだ(※プルミル、元『ロッテ牛乳』は、乳製品メーカーでは結構な老舗です。この記事の後、労働組合の反発、法的な手続き上の問題などがあって、事業終了を撤回しました。概ね、『事業をやめることすらできないのか』という雰囲気になっています。この会社、一時はテレビCMも多かったし、結構元気でした)。

 

限界企業だけでなく資本蚕食企業も問題だ。資本蚕食とは、企業の累積赤字が大きくなり、これまでに発生した利益剰余金が底をつき、投資した元金(資本金)まで失われた状況をいう。株式取引所の規定によると、上場会社の年末事業報告書基準「完全資本蚕食」は、上場廃止の事由となる・・・・時事ジャーナルが、2022年公正取引委員会基準で30大グループに所属した1650の系列会社を全数調査した結果、資本蚕食状態の会社は126社(7.63%)だった。100社のうち8社は、出資した資本金を減らしているのだ。企業集団別に見てみると、財界配列25位の中興(ジュンフン)建設が19社で最も多かった。これは全体系列会社55社のうち34.54%に達する数値だ。続いて、カカオ18社(全系列会社136社、比率13.23%)、ネイバー11社(54社、20.37%)、現代自動車10社(57社、17.5%)などが同様の状態になっていると調査された(時事ジャーナル)・・>>

他にも、農心、アシアナ航空などが事例として取り上げられています。しかし、記事で取り上げている各企業・・一時は各分野での発展の象徴というか、そのようにされていた企業の名もあります。資本関連ではそうでもなかったようですね。とにかく、金融機関からすると、これら各企業を「選ぶ」ことにしないといけません。どれを残して、どれを切るか、と。引用部分にも書いてありますが、企業が人に行うのではなく、金融機関が企業に行う『リストラ』の時期が近くなったわけです。そして、それはデータが最新のものになればなるほど、浮き彫りになることでしょう。

 

 

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