韓国、国際決済銀行(BIS)基準の「家計債務の返済負担が大きいランキング」で世界4位

G4・・かどうかはともかく、いつも書いているかけいさいむがーな内容を補完するデータが発表されたので、紹介したいと思います。世界的に見ても、韓国は家計債務が重い、家計債務がGDPを超える(IIF国際金融協会基準だと世界唯一)、などと言われていますが、果たしてその『実際の負担』はどうなのでしょうか。金額が大きくても、返済に苦労しないなら、別にお金を借りるのは何の問題もありません。いままで書いてきた内容的に、「いや、それはない」なところではありますが・・その負担に関するデータ、すなわち『年収のうち、返済に使っている費用(DSR)』は、世界各国でどうなっているのか、そんな内容の報告書が発表されました。

結論から書きますと、韓国の場合は13.1%。世界4位(負担が4番目に大きい)です。年収の13.1%を返済に使っている、という意味です。「思ったより数値が低い」「この前、DSR90%関連エントリー無かった?」と思われるかもしれませんが、これは、ローンを受けていない人も含まれている、データが国全体を単位にしているからです。前にもエントリーしたことがありますが、家計ローンを受けている人に限って1600万人を調べたところ、DSRが90%以上、すなわち年収の90%を返済に使う人が120万人だというデータもあります。今年3月には90万人だったとのことで、急増しています。ちなみにDSRが90%を超えると、税金などを納付すれば、元利金が返済できなくなるという意味でもあります。でも、今回は範囲が異なり、DSR関連数値も低くなったわけです。

 

とにかく、そういうことで、国際決済銀行(BIS)のデータをもとに国会立法調査処が出した世界DSR関連レポート、「アジア経済」紙から引用してみますと、まだ金利引き上げによる副作用が本格化する前の今年1~3月基準で、家計部門総債務元利金返済率(DSR)は13.1%。世界で4番目です。GDP比でも4番目(BIS基準)。同じ部門でDSRが最も高い(返済負担が大きい)のは意外とノルウェーとオランダで、それぞれ13.5%。次に、そういえば同じく家計債務でいろいろ話題だった気もしますがオーストラリアが13.4%。 記事は、「米国(7.5%)、日本(7.2%)、フランス(6.6%)、ドイツ(6.2%)、スペイン(6%)などに比べると、約2倍だ」と指摘します。ここからは<<~>>で引用してみます。

 

<<・・もっとも懸念される課題は、家計債務部門のDSR上位5カ国のうち、DSR割合が着実に上昇しているのは韓国だけで、家計部門DSRは2017年1~3月11.4%から、今年同期間13.1%に、1.7%ポイント上昇した。一方、ノルウェーは過去5年間で14.8%から13.5%に1.3%ポイント下落し、オランダとオーストラリアもそれぞれ3.2%ポイント、2.0%ポイント下がった。5番目に家計部門DSRが高いデンマークも、2.5ポイント下がった。我が国だけ、家計債務の返済負担が増え続けているのだ。

国内総生産(GDP)に対する家計債務比率も105.4%で、BIS統計対象国43カ所のうち4番目に高かった。スイス(128.5%)、オーストラリア(118.4%)、カナダ(105.9%)だけが韓国よりGDPに対する家計債務比率が高かった。立法調査処は、「家計部門DSR水準が同じでも、金利引き上げ、景気下落などマクロ経済の影響で、家計債務の負担が大きくなりつつある状況だ。また、緩衝装置の役割を果たすことができる年金、社会保障制度がどれだけうまく整備されたかによって、各世帯が体感する負担やリスク度はぜんぜん違う」とし、「ノルウェー、デンマークなど、社会安全網がよく整備された国々との家計債務の比較では、実際のリスクとは異なる可能性がある」と指摘した。

 

基準金利引き上げによるローン金利の急騰が負担を加重させているだけに、金利引き上げの速度調整と脆弱階層を中心とした積極的な財政政策基調など、政策の組み合わせが必要だという提言も出した。立法調査処は「米国基準金利に合わせることになれば、家計の急激な利子負担の増加で問題が起こり得る。基準金利の段階的な引き上げが避けられない」と明らかにした。一方、「政府が厳格な財政準則を適用するなら、柔軟で先制的な政策対応がうまくいかない可能性がある」とし「家計債務の縮小過程で発生し得る景気後退を防ぐために積極的な財政政策基調を維持することが重要だ」と強調した(アジア経済)・・>>

 

いや、いままで柔軟な対応をしてきて、こんな結果になったような、そんな気もしますが。引用部分の中でもっとも重要なのは、『福祉部門で遅れを取っている』と、『ベスト4の中で、唯一増加している』ではないでしょうか。この2つは、同じことを示しています。『対策が遅かった』、またはおそすぎたということです。というか、特に金大中政権のときから、『ローンでマンションを』政策のおかげで成長してきたという側面もあるので、なかなかやめられず、そのままタイミングを逃したのかもしれません。ちなみに、日本の家計債務GDP比は、(これもBISのデータでは違うかもしれませんが)OECD発表だと平均より少し低いレベルで、60%台後半ぐらいです。

 

 

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