ウクライナが出したクリミア地域の人権決議案、日・米・EUなどが賛同する中、韓国は参加せず・・ウイグル自治区に続いて連続

ASEANやG20などで、(いままでに比べると)日米と足並みを揃える形を見せた尹錫悦(ユンソンニョル)政権ですが・・ウクライナが出した「クリミア自治共和国及びセヴァストポリにおける人権状況を糾弾する」内容の決議案に、参加しなかった(棄権)ことが分かりました。引用部分にはありませんが、ソース記事の見出しによると、日本、米国、EUなど78ヶ国が賛成し、反対は中国、ロシア、北朝鮮など14ヶ国でした。棄権も79ヶ国ととても多いですが、問題は、『自由民主主義陣営での棄権』である点です。

保守側の代表的なメディア朝鮮日報も、『GPSが故障しか(どちらに進みたいのか分からない状態)』という題の記事を載せています。GPSとは、もちろんナビなどのGPSという意味もありますが、尹政権が主張する「グローバル中枢国家(Global Pivot State)」の略でもあります。すなわち、GPS構想はどこ行った、GPSが故障してどこへ進むべきか分からなくなったのか、と二重の意味になります。朝鮮日報は、他にも、10月にはウイグル自治区関連の共同声明にも参加しなかったことがあるとしながら、『外交において、果たして原則というものがあるのか』としています。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・クリミア自治共和国・セヴァストポリの人権状況を糾弾する決議案に、政府が参加しなかったことが分かった。ウクライナが提案し、日本、米国、欧州連合(EU)など多くの自由民主陣営の国々が賛同したが、それでも棄権したのだ。尹錫悦(ユンソンニョル)政権は、自由、人権、民主主義、法治など『価値』を基盤とした外交を通して、「グローバル中枢国家(GPS)」になるという構想を掲げてきたが、現状では『之の行歩(※ジグザグな進み方)』を見せている。

人道・社会・文化を扱う第77回国連総会第3委員会は、16日(現地時間)、クリミア自治共和国およびセバストポリ市の人権決議案を採択した。今も戦時中のウクライナが発議した決議案で、2014年ロシアによる併合と、今年2月のウクライナ事態による人権状況を糾弾する内容が盛り込まれている。決議案は、賛成78カ国、反対14カ国、棄権79カ国で、採択となった。

 

しかし、票決の内訳を見てみると、政府は今回の決議案に棄権(abstain)したことが分かった。尹錫悦大統領は、候補だった頃からウクライナとの連帯を強調し、政府は現在までにおよそ1億ドルの寄与を約束したが、それらの言行とは異なる決定をしたわけだ。日本、米国、フランス、イタリア、英国、ドイツなど、自由民主陣営諸国は賛成票を投じた。逆に、中国、ロシア、北朝鮮、シリアなど14カ国は反対した。これについて外交部関係者は、「すべてにおいてハッキリと分けて賛否を決定することはできず、クリミア決議案の場合、棄権国家のほうが多い、グレーゾーン決議案」、「普遍的価値を遵守していく。グローバル中枢国家が揺れることはない」とした。

尹政権は、韓国が国際社会での立場にふさわしい責任を果たすという、いわゆる「グローバル中枢国家」構想を提示してきた。そのために、「自由、人権、民主主義、法治など価値を基盤とした外交を強化し、自由民主諸国と連帯していく」とも話した。パクジン(朴振)外交部長官も今年6月、米国ワシントンで、米戦略国際問題研究所(CSIS)のラウンドテーブルで「グローバル中枢国家構想」を説明した際、「GPSシステムが、利用者たちにこれから進むべき道の情報を提供してくれるように、韓国もまた、不安定な時代に、価値のあるガイダンスを提供できる国になりたい」と語っていた(朝鮮日報)・・>>

 

グレーがどうとか言ってますが、もし賛成していたら、賛成のほうが多くなったのでは?と思いました。それは、とても意味のあることになれたはず・・とも。引用部分にはありませんが、記事によると、同じく第3委員会で、ウイグル地域における同様の声明にも参加しませんでした。11月2日、同じく朝鮮日報は、「イム・スソク外交部スポークスマンはブリーフィングで、「今回、国連総会の共同声明について、様々な諸状況を総合的に考慮して、参加しないことにしたと話した」、「自由・人権など価値に基づいた外交をすると公言しておいてこれはどういうことなのか」と記事を出しました。

また、今回の棄権について、「確かな原則を提示したなら、外交の動きもそれに準ずるものであるべきだ。時と場合によって違う決定を出してはいないか」とする外交部幹部出身の元外交官の話を紹介しています。いや、元外交官と言いましても・・今までの政権も、そこまでハッキリしなかった気もしますが。余談ですが、尹政権は、北朝鮮の人権に関する決議案には、共同提案国に『復帰』しました。北朝鮮問題に積極的に出ることで自由民主主義陣営との連帯を手に入れ、それ以外の件(中国とか)からは距離を取ること。本ブログでは最初から尹政権の外交をそう書いてきましたが・・この共同声明や決議案などが、まさにそのとおりの結果ではないでしょうか。

 

 

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