韓国各企業、在庫資産が増加・・・時価総額ランキング20位までの企業、1年間で52%も急増

先月から、自分でも「これでもか」と思うほど、債務とか金融とか、そんなニュースが続きました。金利の上昇、不動産価格、いわゆるヨンクル、ジョンセ保証金のこと、韓国電力公社の赤字と、それによる社債市場の影響、資金調達問題、それを何とかするために政府も措置を取っているものの、低金利でもないのに『ローンしやすくする』政策ばかりであること、などなど。それらの中で、本ブログでは取り上げたことがありませんが、気になっていた案件の続報があったので、紹介したいと思います。あと、パーフェクトに何の関係もありませんが『すずめの戸締まり』を見ました。個人的に『君の名は。』ほどではないけど『天気の子』よりは面白かったです。

いつだったかな・・まだ涼しくなる前だと記憶していますが、企業の在庫資産に関するニュースがありました。それからちょっと気になっていたわけです。同紙、同記者さんによる、その続報がありました。コメント欄で教えていただいたもので、ソウル経済の記事です。同紙が時価総額で上位20社(持株・金融・公企業は除く)の7~9月期報告書を分析した結果、9月末基準で在庫資産の合計は165兆9522億ウォンでした。これは、4~6月期に比べると約15兆ウォン(10%)が増えた規模で、去年の7~9月期と比べると、56兆ウォン(51.67%)も急増した数値です。もちろん会社によって違うだろうし、在庫がどんな状態で存在するのか(完成品でなくとも在庫とされます)、事業規模はどうなのか、最近話題(?)の資金調達力はどうなのかなど、いろいろ考えるべき要素は多いでしょう。しかし、明らかに急増となります。しかも、これら在庫の評価額が、これから高くなりそうになり、とのことでして。

 

まず、記事の引用の前に、過剰在庫と利益の関係についてですが、ネット検索しただけの内容で恐縮ですが、法人向けIT製品比較サイト「ITトレンド」の説明から、事例を引用致します。仕入価格が100円、販売価格が300円、仕入数10個(原価は100円×10個で1,000円)、販売数2個(売上は300円×2個で600円)の場合、実際には売上が600円で仕入原価が1,000円だから400円の赤字になります。しかし、あくまで「帳簿上の話」ではありますが、帳簿では実際に売れた商品の原価しか考えないため、売上600円-売上原価(仕入1,000円-在庫800円)で、400円の黒字になります。在庫800円分は「在庫資産」となり、損失と見なされないのです。上記の『20位までの』企業のことですが、在庫は50%以上増えたのに、売り上げ(同じく去年と今年の7~9月期比で)は4%増えただけ、とのことでして。

 

<<・・業種別には半導体の在庫資産が急増した。サムスン電子の在庫は5兆ウォン以上増え、SKハイニックスの在庫資産は1~6月に3兆ウォン増え、さらにそれから3ヶ月の間に2兆7862億ウォン増加した・・・・また、在庫を売って売上を上げる速度も、ますます遅くなっている。サムスン電子の7~9月期の在庫資産の回転率は3.8回を記録した。昨年末の4.5回から今年6月末に4回まで下がり、下落傾向を続けたのだ。 SKハイニックスの在庫資産回転率も昨年3.2回から2.4回まで急に下がった。それでも、1~6月に比べると在庫上昇は鈍化したほうだ。20社の在庫資産は1~6月で33兆ウォン(28.2%)増加したが、7~9月期には9.8%増えた・・

・・国内主要企業の在庫資産が増加傾向を続けるのは、それだけ、国内景気が下り坂だという意味だ。需要鈍化で供給調整に失敗した企業は、在庫を減らすために生産と新規投資を縮小することになる。すると、景気はさらに萎縮することになる。イ・ピルサン ソウル大経済学部特任教授は、「スタグフレーションだ。在庫が積み上げられており、実物経済に負担を与えている」とし、「企業が輸出を持続的に拡大し、内需低迷に対応できるように、政府も制限を緩和など、経済を重視することに乗り出さなければならない」と言った(ソウル経済)・・>>

 

記事の最後の部分もそうですが、景気が在庫に、在庫が景気に影響を及ぼすことになります。他にも各メディアが同じ趣旨の記事を出していますが、イーデイリーはこれが企業実績にも影響を及ぼすだろう(すなわち景気の回復にも影響を及ぼす)とし、このように書いています。 <<・・新型コロナによる特需が終わり、高金利・高物価などによる景気鈍化が重なった。テレビ、PC、IT関連の電子・家電製品の需要が減っている。この傾向はしばらく続くとみられ、企業の在庫負担も持続すると見られる。ハナ金融研究所は、「新型コロナによる特需が終わり、景気鈍化が重なりながら、需要が減少し、業況萎縮の勢いが持続するだろう」とし「家電全般の需要減少で、売上が減るだろう」と見た。

 

在庫が積もれば、すぐに10~12月期の実績にも影響を及ぼす可能性が高い。企業は、製品販売価格が変われば、それをもとに在庫資産の価値を算定する。需要萎縮で販売価格下落の方向性が強くなり、在庫資産評価による損失が大きくなる可能性があるのだ。これは、売上原価に反映され、企業の売上総利益と営業利益を減少させる。また、在庫ちゃんと処理できなかった場合、製品の価格の追加下落も起きるだろう。これも企業の収益性に影響する。イ・ミンヒ BNK投資証券研究員は、「現在、電子・家電企業のカギは、在庫を減らすことにある」とし「年末を利用して在庫を適正水準にできなければ、実績反騰の可能性はさらに低くなるだろう」と話した(イーデイリー)・・>>

最後に「ちゃんと反映しなければいいのでは」と思う会社も出てくるだろう・・と書きたくなります。経済ネタがどれだけ増えても、やはりブログのメインテーマは変わってないということでしょうか。心が曇っているとも言いますが。

 

 

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