韓国金融当局、各銀行に「金利を上げないで」と要請・・基準金利引き上げによるローン金利上昇などの責任が「銀行側にある」という声も

基準金利が相次いで上がっているのに、金融当局が各銀行(第1金融圏)に「預金の金利を上げないで」と要請しました。右側のメディアも「基準金利が上がっているし、24日にもまた金利が上がると予想されているのに、なんでこんなことを言ったのか」と、不自然な動きだとする記事を載せています。概ね、その理由は、貯蓄銀行など「第2金融圏」を守るだめ、そして、家計債務対策(預金金利はローンの金利と連動する形になるので)だと言われています。見方にもよりますが、こんな対策しかないのでしょうか。

まず、ローンの金利上昇、企業の資金調達(資金流動性)問題などを、銀行のせいだとする声があります。(金利が上がったので)簡単にお金を稼ぐようになったではないか、それはよくないことだというのです。これについては、韓国経済をはじめ、複数のメディアが指摘していますが、「銀行が預金金利引き上げた結果、ローンの金利の上昇を促し、元利金返済の負担が急増したという指摘も提起されている」、と。もともとこんな考え方が社会各方面に強く根付いている、という背景もあると思われます。

 

基準金利は中央銀行が上げたものだし、上げないとならない状況だし、資金流動性も、自治体が保証していた債券に関する案件(カンウォンレゴランド)とかいろいろありましたし・・何より、債務を資産のように考える風潮による成長を目指してきた、方向性そのものの問題ではないでしょうか。銀行側の金利引き上げが急すぎたというならまだわかるけど、いまになって金利引き上げを控えるようにと当局が言うのは、さすがにどうかなとしか思えません。ある意味、支持率管理(最近、一部の調査でまた20%台になりました)かもしれません。以下、各紙、<<~>>が引用部分となります。

<<・・最近、銀行圏へ資金(※定期預金など)が集中しており、保険証券キャピタルなど第2金融圏に流動性リスクが広がっている。銀行の預金金利引き上げが、ローン金利の上昇を促し、脆弱な立場の借主の元利金返済負担が急増したという指摘も提起されている。これにより、金融当局は銀行に過度な預金金利引き上げ競争を控えるようにと対策に乗り出した。金融当局の関係者は20日、同紙との電話通話で、「中央銀行の基準金利引き上げに伴い、市場金利が上がる状況で、銀行預金・ローン金利がそれに沿わないのは容易ではないだろうと思う。だが、銀行の預金金利競争で、市民の流動性をすべて吸い尽くすことも望ましくない」と明らかにした。

 

第2金融圏は、銀行への「マネームーブ」で流動性リスクが現れている。債券市場の大手だった保険会社は、債券を買うどころか、2ヶ月間で5兆ウォン近い規模の債券を純売りし、キャピタル社は1年で債券発行金利が3倍も上がるなど、資金調達が事実上、止まっている状態だ。ローン金利の上昇で、家計と企業の困難が加重されているという診断も出ている。第2金融圏の関係者は「銀行が預金金利の引き上げスピードを緩和しなければ、根本的な問題解決はむずかしいだろう」と話した・・

・・銀行預金や超優良債券など安全資産への資金集めが長期化し、保険証券キャピタルなど第2金融圏が流動性管理に困難を経験している。債券市場の「大手」保険会社は、債券を買うどころか二ヶ月もならない期間に5兆ウォン近い規模の債券を純売りもした。不動産プロジェクトファイナンシング(PF)不良リスクの弱い輪として指摘されているキャピタル社は、1年ぶりに債権金利が3倍上がるなど、事実上資金調達の道が詰まっている・・

 

・・長い間、低金利の好況を享受した中小型証券会社も、資産価格が追加下落すれば、市場全般に流動性リスクの引き金になる可能性がある、と言われている・・・・ソ・ヨンス、キウム証券研究員は「銀行の積極的な金利引き上げは、非銀行金融会社(※第2金融圏など)の流動性リスクを高める要因になる」、「不動産PF(プロジェクトファイナンス)問題が浮上している時点で、これは大きい」と分析した。金融当局が最近、銀行側に預金金利の引き上げを控えてほしいと繰り返し注文したのも、このような理由からだ(韓国経済)・・>>

超優良債券って、もっとも問題なのは電力公社の債券のことでしょう。本ブログでも取り上げたことがありますが、スーパーアカジをなんとかするために、政府保証付きの債券を発行しすぎで、それが債権市場にダメージを与えた(他の企業の債券が売れなくなった)、あのことです。あれも政府保証がついているものだし、先も書きましたが、いろいろと銀行側にこんなことを言うのか、よく分かりません。いつものことと言ってしまえばそれだけですが。韓国銀行(中央銀行)は24日にもまた基準金利を上げると予想されています。でも、幅は0.25%になるのではないか、とも。

 

 

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