LGディスプレイ、ロッテショッピング、現代重工業・・錚々たる韓国大企業、相次いで『利子補償倍率1未満(営業利益で利子も負担できない)』状態に

本ブログ、利子補償倍率について何度かエントリーしてきました。各メディアによって表現が少しずつ異なったりしますが、主に限界企業関連でした。今回はちょっと違う基準になりますが、基本的に利子補償倍率が1未満、すなわち「年間営業利益で、借入金などの利子も負担できない状態」の企業に関する情報となります。この状態が3年間続くと、限界企業と呼びます。ゾンビ企業という呼び方もあり、このほうが記憶に残りやすいかもしれません。

そしてもう一つ、ロッテグループとかSKハイニックスとか、そんな大企業、韓国では本当に錚々たるとしか言いようのない企業でも、資金難に直面しているという内容も、最近、2回か3回、お伝えしました。その2つを合わせたような記事があったので、今日、紹介したいと思います。まず、簡単に『これまでのあらすじ』といたしますと、産業銀行KDB未来戦略研究所の「限界企業現況と示唆点」という報告書によると、2021年末基準、すなわち金利引き上げとか、資金調達問題が今ほど話題にならなかった頃(というか、ほとんど記事すら無かった頃)を基準にしても、限界企業は4478社。10年前と比較して3125社増えたことになります。

 

それに、これ、もう少し深読みしてみると、2011年に1353社、2016年に2165社だったので、2021年4478社となると、最近の5年間だけで105%以上も急増したことになります。10年間この状態だった企業も120社、5年間以上の企業も1762社(7.19%)に達し、報告書は『慢性化してしまった側面がある』とも指摘しています。韓国銀行が出した別のデータから見ても、限界企業は2021年末時点で全体企業(外部監査が可能な企業だけですが)のうち、14.9%。企業100社のうち、中小企業の場合は16社、大企業でも12社が限界企業である、とのことでして。

そんな中、「『有価証券時価総額基準で100位まで』の企業の中で、利子補償倍率が1にならない企業」データが明らかになりました。ソースはアジア経済ですが、ちょっと複雑なので、この段落、よくお読みください。このデータ、ソース記事で特記する会社以外は、『3年連続』ではありません。「今年(7~9月まで)の基準で、有価証券時価総額100位までの企業のうち、利子補償倍率が1にならない企業」となります。言い換えれば、「今年(7~9月まで)、営業赤字の企業、および、営業利益が出せているけど、実は利子負担まで考えると、営業利益で利益が残せない会社」という意味にもなります。

 

で、さすがに時価総額100位までということで、現代重工業、ロッテショッピング、サムスン重工業、LGディスプレイなど、屈指の大企業になりますが・・その100社のうち12社が、(今年、7~9月期までで)利子補償倍率が1未満でした。最近、ロッテなどSKハイニックスだのと聞こえてくる・・そういえば現代自動車の系列会社も大変だとかそんな話もありますが・・そんな『大企業でも状況は同じ』という内容の記事と、繋がっていると見てもいいでしょう。以下、<<~>>が引用部分となります。

<<・・有価証券市場時価総額100位基準でも、利子補償倍率が1にならない企業が増えている。大企業さえも、営業活動を通じて稼いだ利益で利子すらも返済できない、潜在的限界企業になりつつあるのだ。28日、アジア経済が金融情報会社F&Gに依頼し、7~9月期基準でコスピ時価総額上場会社100社の利子補償倍率を分析した結果、利子補償倍率が1未満の所(営業赤字である所を含む)が、10社に集計された。7~9月期までの累積基準(※連結累積、1~9月)だと、12社になる。

 

利子補償倍率とは、企業が稼いだ金(営業利益)が、その年に返済すべき利子費用に比べて、どれだけ多いかを示す指標だ。つまり、営業利益を利子費用で分けたものだ。利子補償倍率が1にならないことは、1年間稼いだお金で、利子すら返済できないという意味だ。通常、利息補償倍率が1.5以上であれば返済する能力が十分であり、1未満であれば、潜在的に不良化した企業だと分類する。また、3年連続1未満であれば、限界企業とみなす・・

・・4~6月期には479社の利子補償倍率が1未満だった。このうち、74社の利子補償倍率が0~1の間であり、405社が営業赤字であると集計された。 479社という数字は、利子補償倍率が算出されている企業の上場社の数が1453社なので、33%に相当する水準だ。7~9月期の全上場会社の利子補償倍率はまだ集計されていないが、増えているだろうというのが専門家たちの見解だ。基準金利引き上げがあったからだ・・

 

・・7~9月期基準で、営業利益で利子も返済できない企業は、現代重工業(0.50)、韓進ケミカル(0.42)、ハンファシステム(0.​​48)、韓国電力(以下、営業赤字)・ロッテケミカル・SKバイオファーム・LGディスプレイ・サムスン重工業・ネットマーブル・柳韓洋行などが挙げられる。7~9月期まで累積基準としては、韓進KAL(0.18)、イマート(0.54)、ロッテショッピング(0.80)、韓国電力(以下営業赤字)・現代重工業・ロッテケミカル・SKバイオファーム・韓国造船海洋・LGディスプレイ・サムスン重工業・ネットマーブル・現代ミポ造船で集計された。特にロッテショッピング、韓進KALは時価総額1兆ウォン以上の企業のうち、今年4~6月期までの基準で、3年連続で利子補償倍率が1にならなかった。ロッテショッピング0.62、韓進KAL0.07。

 

レゴランド事態などによるロッテ建設の資金難が、グループ全般の流動性危機に拡散する兆しを見せている。ロッテケミカル、ロッテショッピングに対する市場の懸念も大きくなるばかりだ。ロッテケミカルは来年初め、850万株規模の有償増資を実施し、1兆1000億ウォン規模の資金を確保する計画だと言う。グループ側は、現金が十分だから大きな問題がないと言うが、市場では、グローバル経済危機の中で起こったことであり、懸念している。ロッテショッピングは2018年から営業利益で利子費用が負担できない状態だ。7~9月期には多少改善されたが、累積基準だと、依然として利子が負担できないでいる。

韓進グループ持株会社である韓進KALも、2020年から利子費用が負担できないでいる。7~9月期の利子補償倍率は、4~6月期に比べさらに悪化した。旅行需要が回復しているが、今後の業績改善で金利引き上げに耐えられるか注目されている(アジア経済)・・>>

 

 

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