日本の防衛費増額、韓国政府は公式立場『無し』・・韓国メディアの公式立場表明要請に、何も答えず

先月30日にもお伝えしましたが、日本の安保政策転換がいろいろ話題になっています。本ブログでも何度か取り上げましたが、朝鮮半島有事の際にも、日本自衛隊は朝鮮半島に入ってはならない(米軍の後方支援だけ)というのが韓国政府の公式立場です。個人的に、まず韓国政府がこのスタンスを公式に変えない限り、日米韓安保共助が機能することはないだろう、と思っています。5月にも、バイデン大統領が日本の防衛力増強に強い支持を表明し、国連常任理事国入りを支持すると話したときにも、外交部は平和憲法をちゃんと守ることが大事だと声明を出しました。

ですが、今回、ちょうどトマホークとかそんなニュースが流れた頃、尹錫悦(ユンソンニョル)大統領がロイターとのインタビューで、『北朝鮮のミサイル問題をこのまま見ているわけにはいかないのでしょう』と話しました。普通のことを話しただけですが、韓国側では、「日本の防衛費増額を受け入れるとも解釈できる発言だ」とし、問題になりました。受け入れなかったらどうする気だ・・と言えばそこで終わる話ではありますが。そこで、外交部は『大統領が見解を述べただけ』と火消し。ヘラルド経済が、政府の公式立場は何なのかと聞きましたが、外交部側はそれについても何も答えなかった、とのことです。公式立場に変化無しとなりますので、この点はヘラルド経済グッジョブです。

 

これが「国内メディア」とのインタビューなら、まずこんなことは話さなかっただろう、という気もします。また、ASEAN会議、G20首脳会議でもそうでしたが、米国が日米韓安保共助に力を入れており、尹大統領としては、さすがに反対の立場など示すことができなかったのでしょう。しかし、政府の公式立場として何かを示すことはできない、と。表向きにはどれだけ日米韓安保共助を強調しても、尹政権としては、ここが限界かもしれません。いや、次の政権ではもっとなにか言えるのか?と言いますと、まったくそうは思えませんが。以下、<<~>>が引用部分となります。

<<・・尹錫悦大統領が、日本の国防費増額を容認するメッセージを出し、政府の立場が変わったのではないかという指摘が出ている。すでに米国の支持を確保した日本は防衛費予算を5年後、国内総生産(GDP)の2%水準に増額するための準備に乗り出した。外交部は30日、尹大統領の発言について、「最近、北朝鮮の前例のない頻度の中・長距離弾道ミサイル発射および第7次核実験の懸念などによる、日本の安保不安に言及したものだと理解している」と明らかにした。日本の防衛費増額に対する政府の公式立場が何なのかについては、何も答えなかった・・

 

・・日本の防衛力増強の動きは、我が国だけでなく地域内でも問題だ。安倍晋三元日本首相は「普通国家」化のために憲法改正に努力してきたが、成し遂げられなかった。岸田内閣では、ロシアのウクライナ事態で国際秩序が再編される中、北朝鮮の核・ミサイル問題は日本の防衛力増強に強い名分となっている。自民党は去る7月参議院選挙公約で、自衛隊明記をはじめとする憲法改正、GDPの2%以上防衛費増額、反撃能力保有などを掲げた。

ジョーバイデン米国大統領も5月の日米首脳会談で、岸田文雄日本首相の防衛費増額意志に対して支持を表明した。米国は中国牽制などのために域内での日本の役割拡大を支持しており、防衛力強化にも力を与えている。尹大統領就任後だった当時、外交部は「日本の防衛安全保障政策は平和憲法の精神を堅持し、地域の平和と安定に寄与する方向に透明になされなければならない」という立場を明らかにしたことがある。しかし、ユン大統領は28日、ロイターとのインタビューで、日本の防衛費について「日本列島の上にミサイルが飛んで行くのに、国防費を増額せず、ただ見ているわけにはいかなかったのではないだろうか」と話した。平和憲法に言及した去る5月の政府の立場とは異なるものだ(ヘラルド経済)・・>>

 

他にも、案の定、『『『日本内部からも』』』反撃能力保有に対する反対意見がいろいろ出ている、という記事が多く目につきます。中央日報もそうで、朝日新聞に載っている教授のインタビューを引用しながら『まず、反撃能力を使う相手国が、ほんとうに武力を使おうとしたのかどうか、国際社会に証明できるのか?』とする見解などを紹介しています。

ただ、記事でウ・ジョンヨプ世宗研究所首席研究委員は、「日本が内部的に反撃能力の基準をどのように定義し、またこれが平和憲法上どのように解釈されるかという問題とは別に、国際社会での判断は変わることもあるだろう」としながら、「北朝鮮のミサイル脅威が高まっている状況で、米国が日本の反撃能力確保をすでに問題無いとしている」と話しています。「韓国や中国など周辺国がいくら懸念したところで、現実的に反対を表明するのは難しい」とも。ところで、この手の記事にはほぼ間違いなく『周辺国』という単語が出てきますが、これって、どこのことでしょうか。懸念といっても、中国、韓国以外は聞いたことがありませんが。

 

 

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