「事実」と「意見」を区分する力、韓国は25.6%(OECD平均47%)

文解力(読解力)関連で久しぶりに記事があったので、紹介します。ネットの時代、OECDなどの機関は、デジタル・リテラシー(単なる読解力ではなく、最新技術を肯定的に活用するために身につけるべき能力という広い意味で使われたりします)の一環として、いろいろ調査を行っています。その中で、一部のメディアが、「事実と意見を区分する力(対象は14歳)」について、韓国の数値が低すぎるのではないか、と懸念を示しています。

ソース記事にも簡単に説明がありますが、OECDの「PISA・生徒の学習到達度調査2018(2021年5月4日発表)」を見てみると、各国の14歳を対象に行った「事実と意見を区分できる能力」テストの結果、OECD平均正解率は47%でした。ソース記事(中央日報)にも画像がありますが、日本は平均値より少し上で、米国、イギリスなど、学校で相応の教育を施す国が60%を超えています。

 

ソース記事にはありませんが、実際の問題を一つ紹介します。まず、「人間の選択が自然環境に及ぼした影響により、多くの文明が消えていった」としながら、いくつか、実在し、自然環境の影響で消えていった文明の説明を行います。そして、次のAとBは、『事実』なのか、それとも『意見』なのかを答える問題です。Aは『消えていったいくつかの文明について記述した』、Bは『特に衝撃的だったのがラパヌイ文明だ』(チャンネルAより)。このような「事実と意見の区分」ができた人は、韓国の場合、25.6%でした。以下、<<~>>が、中央日報からの引用となります。

<<・・リテラシー問題に関連するデータは、そこら中にあるとまで言われている。2013年経済協力開発機構(OECD)の国際成人能力調査(PIAAC)にて、韓国は55~65歳年齢層の読解力が調査対象24カ国の中でもっとも低かった。2018年、14歳の学生を対象としたOECDの国際学業成就度評価(PISA)では、韓国の学生たちは「事実と意見を区別する能力」質問で25.6%だけが区分でき、もっとも順位が低かった・・・・専門家たちは、読解力とは、単に文章を読み書きできるという意味ではなく、難しい漢字表現を多く知っているかという問題でもないと言う。文章が置かれた文脈を知らなければならない、というのだ。文脈を知るというのは、どういう意味なのか。

 

ハンヤン大学のジョビョンヨン国語教育科教授は、文章の情報と自分自身が知っている情報により、新しい意味を作り出す過程こそが、欧米で言う『知る』ことだと言う・・・・このような文脈の把握を難しくする大きな理由の一つは、ちゃんと読まないからだ。EBS「あなたの読解力」で、読解力・語彙力など多様なテストを行ったミンジョンホンPDは、「大人の場合、自分で読みたいところだけを読むから、文脈を把握できないことが多いです」と話した。

ソガン大 知識融合メディア大学ジョジェヒ教授は、「SNSなどメディア利用が大幅に増加しているため、この論議が何度も繰り返される」という。 デジタルメディアが多様化し、過去の本やテレビ・新聞だけが情報を提供していた時代と比較すると、アクセス可能な情報量が爆発的に増えており、それだけ葛藤要素も大きくなったという話だ。情報と知識は「民主化」されたけど、メディアが「個人化」された結果、見たいものだけを見る人が増え、意識もできないまま『同じ情報を好む誰か』と一つになるグルーピング現象が発生するということだ。これは、社会においての不通(疎通しないこと)、対立と繋がっている(中央日報)・・>>

 

さぁ、どうでしょうか。私の場合、引用最後の部分は、逆ではないだろうか、と思っています。情報が増えたから社会の対立が増えたのではなく、もともと『二分されて対立する』社会を生きている人たちにとって、情報が増えたから、『名分』を手に入れるのが簡単になっただけ、ではないでしょうか。言い換えれば、自分側に有利な意見を見つけて、『これが事実だ』を相手側に主張することが簡単になっただけではないのか、と。そう考えると、彼らに必要なものは事実というよりは、意見です。「私と同じ考え」の意見。あとは、それを「事実化」すればいいだけ。曇った考え方ですが、なぜか私にはそう見えます。これも私の『意見』にすぎませんが。明日は、1日休むことになりました。次の更新は8日の11時頃になります。

 

 

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