韓国政府、再び平和憲法に言及・・『我々の承認無しでは、自衛隊は入ってこれない』

6日に本ブログでも紹介しましたが、ジョヒョンドン外交第1次官が国会で『平和憲法の趣旨を変更するなら、当然、私たちの許可が必要だ』と話しました。一部、政府が日本の反撃能力、防衛費増額など、防衛力増強関連政策を受け入れるのではないかという指摘が出ており、それに対する政府なりの対応だったと言えるでしょう。KBSなど各メディアの報道によると、今回は『外交部当局者』が記者たちと会って、また平和憲法について言及し、関連政策は変わっていないという点もはっきり話しました。

何度も取り上げましたが、韓国政府の公式立場は、『たとえ有事の際で、韓米連合司令官が設定した米韓連合作戦区域(KTO、Korea Theater of Operation)内であっても、私たちの要請がなければ、日本が集団自衛権を行使することを容認しない』です。ただ、5月のときと、『形』は結構変わっています。5月には外交部が公式ブリーフィングで明言しましたが、今回は、米国を気にしてのことか、大統領や長官は顔を見せず、政府公式の声明は出していません。それでも外交次官が国会で話した以上、『公式』立場は示したことになりますが、さすがに「有事の際でも~」のことは、『当局者』として言うしかなかった、ということでしょうか。以下、<<~>>が引用部分となります。

 

<<・・最近、日本政府が反撃能力保有を推進していることに関し、外交部は、平和憲法精神を堅持する範囲内でなされなければならないという立場を再確認しました(※これは1997年からの公式立場であるため、『再』確認になります。まだ未読の方は、6日の外交次官関連エントリーもお読みください)。外交部当局者は今日(6日)記者らと会って「日本で現在提起されている防衛安全保障政策議論は平和憲法精神を堅持しながら地域の平和と安定に寄与する方向に透明になされるのが望ましいという立場」と明らかにしました 。

この当局者は、「朝鮮半島有事の際でも、私たちの承認がなければ自衛隊が領域に入ることができないという立場は、明確だ」とも述べた。ジョヒョンドン外交部1次官は昨日(5日)、国会外交統一委員会全体会議で、「日本の反撃能力保有に賛成する立場か」という質疑に、「平和憲法の趣旨を変える現状変更するなら、当然、私たちと協議、同意を得なければならない」と答えました。自民党と連立与党である公明党は、年末までに国家安全保障戦略など3大安保文書改正を通じて、いわゆる「反撃能力」を確保する方針です(KBS)・・>>

 

繰り返しになりますが、これは5月のときと、中身は同じですが、形は結構違います。5月、バイデン大統領が「韓国『から』訪問した」ことで大きな話題になり、これといった具体的な話は無しで終わり、むしろその後の日本での首脳会談でバイデン大統領が「防衛費増額の支持」「日本の常任理事国入りを支持」などを名言し、大きな話題になったときのことです。当時のニューシスなど各メディアの記事を読んでみると、外交部はちゃんとスポークスマンがブリーフィングでこの件に言及しました。

<<・・外交部は(※5月)24日、ジョー・バイデン米大統領が日米首脳会談で日本の防衛費増額に対する支持意思を明らかにしたことに対して、日本が平和憲法の精神を堅持しなければならないという立場を明らかにした。チェヨンサム外交部スポークスマンはこの日午後定例ブリーフィングを通じて、「私たちの立場は明白だ。一貫して堅持してきた」と明らかにした。スポークスマンは「政府の立場については、同盟である米国も明確に理解していると知っている」と話した。

 

米国が私たち側に、支持意思表明についての事前説明をしたのかどうかを尋ねる質問には、「全体的な地域情緒に関して幅広い意見交換があった」と答えた。バイデン大統領は訪日し日本の国連安全保障理事会(安保理)常任理事国進出について支持意思も表明した。これと関連してスポークスマンは「バイデン大統領の発言は、既存の立場を再確認したものだ」とし「米国側はこれまで日本だけでなくインドなどの常任理事国進出希望についても何度も明示的な立場で支持するという立場を 表明してきた。そんな立場をもう一度話したのだ」とした(ニューシース)・・>>

「幅広い意見交換があった」は、この世のほぼ全ての案件に使える気もします。「なぜ昨日は更新がありませんでしたか?」/「幅広い意見交換があった」/「誰とだよ」/「だから、幅広い意見交換があった」・・とか。とにかく、5月のときに「米国も理解している」としておいて、なんで12月にはここまで『形』が違うのか・・は気になりますが、政府の公式立場に何の変化もないと明言したわけですし、ネットの時代、こうして広がりつつあります。このようなスタンスで、北朝鮮関連ならともなく、自由で開かれたインド太平洋関連で対処できるのでしょうか。

 

 

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