無理して上限金利を下げた結果か・・韓国、30・50(30万ウォン借りて、1週間後に50万ウォンを返済)などの事例が増える

ついに、この件で大手メディアが動きました。前に本ブログでも同じ趣旨を書いたことがありますが、上限金利の話です。朝鮮日報の記者さんが、貸出仲介サイトというところに入ってみたところ、「15日に給料が出ます。30万ウォンだけ、会わずに(※ネットなどの手続きだけで)可能でしょうか」と書いているなど、「数十万ウォン程度を急いでなんとかしたいという文で溢れている」(原文ママです)、とのことでして。

それを見て、サグミュン(私的な金融)、またはサチェ(私的な債券)という名で呼ばれる人たちが、その人に連絡します。30・50でどうだ、と。朝鮮日報によると、これは30万ウォンを借りて1週間後に50万ウォンを返済する方式で、 年利にすると3400%を超えることになります。 同じ構造で50・80もあるそうです。記事は、もちろんこういう業者たちも問題がありますが、何も考えずに上限金利を20%まで下げたのも大きな理由である、と指摘します。家計負債問題において「場合によって金利が高い必要がある」と指摘するには、韓国では勇気が要ります。以下、<<~>>が引用部分となります。

 

<<・・カードローンもできず、貯蓄銀行(※第2金融圏)のハードルも超えることができなかった、言わば「信用点数」が低い人たちだ。彼らの最後の希望だ。後で業者から連絡が来る場合が多いからだ。業者はいわゆる「30・50」を提示する・・・・「50・80」もある。最近、このような、少額のサグミュン市場が活況だと言われている。昨年7月から上限金利が年20%までとなり、合法の金融会社を利用するのが容易ではなくなったためだ。

貯蓄銀行の家計ローンの平均金利は、昨年10月には13.58%だったが、今年10月には13.54%と少し下がった。同じ期間、銀行(※第1金融圏、普通の銀行)金利が年3.46%から5.34%に急騰したのに、なぜだろうか。貯蓄銀行が優しいからではない。年前、年16~19%なら、信用点数が低い人たちにも貸し出しが可能だったが、今は金利が上がった分を反映し、年21~24%は負担しなければ、市場原理に合わなくなった。しかし「年20%上限」があるため、そもそも「このような人たち」にはまったく融資をしなくなったのだ。

 

合法貸付業者(※第3金融圏と呼ぶこともあります)は、ちゃんと返済してもらえないリスクを反映すれば、信用ローン金利年20%では利益が残せない。だから、担保ローンを増やすしかない。貸付業者と実際にお金が必要な庶民の間に、溝ができてしまうのだ(※そんな担保があるなら、そもそも貸付業者まで来ない)。屋殿は、もうほとんど無くなった。質屋が20万ウォンを貸しても、もらえる月利子収益は3200ウォンにとどまる。 質屋も上限金利が適用されるからだ。利益が出せないから質屋は仕事をやめるようになった。その影響をもっとも受けるのは、少額でも急に必要になった人たちである。

上限金利は2010年には年44%だったが、共に民主党主導で、国会が5回にわたって引き下げた。金融会社のよくばりをとめてやるという名分だ。 しかし、今は上限金利が低すぎて、金融圏から庶民が離れていく理由になってしまった。利子を20~30%出しても、合法的な金融会社でお金を借りたいと思う人は多い。年20%という「優しい上限」があるため、仕方なくサグミュンに流れていくのだ(朝鮮日報)・・>>

 

ご存知かと思いますが、いわゆる「IMF期」が終わってから、家計債務が急増しました。お金を借りてマンションを買ってくださいという政府政策の結果とも言えますが、全員が高い家を買うためにお金を借りたわけではありません。そんな人たちのための政府政策は、クレジットカードの普及でした。さすがに今はなくなりましたが、2000年代初頭、そんな時代でした。カードが有ればお金を引き出すことができると聞いて、誰もがカードを求めました。

これが、韓国がカード社会になったもっとも大きな理由だと、私は思っています。なにせ、子供が「ぼくはクレカを◯枚も持ってるぞ」と、ポケモンカードやライダーカードのような感覚で自慢したりする、そんな時代でしたから。これは2003年、カード大乱と呼ばれる事態を巻き起こします。『回して防ぐ(自転車操業)』という言葉が定着(?)したのも、この頃です。

 

それから、上限金利、2002年時点で66%でしたが、それを「高すぎる」と指摘する声が上がりました。そして、政治家たちは、「そうですよねこれはよくないですよね」と、何も考えずに上限金利の引き下げを行い、2022年、20%まで低くなっています。前にも、韓国には「雇用主はわるいひと、被雇用者はいいひと」という考えが根付いていると書いたことがありますが・・あれと似たようなものでしょう。いまでも基準金利が上がったことで「銀行は何もせずにお金稼ぎができている」という批判が結構出ていますから。

 

 

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