韓国、第3金融圏(合法貸付業者)が貸出を事実上の中断・・残るは、平均年利229%の異世界のみ

個人的な意見ではありますが、私は金利関連の内容を書きながら、「貸付業者を利用していた人たちは、どこへ行ったのだろう」がもっとも気になります。もう本ブログの読者の方々はご存知でしょうけど、韓国では普通の銀行と農協中央会などを「第1金融圏」といいます。それよりは貸出が受けられるハードルは低いけど、その分、金利が高いところを第2金融圏と言います。代表的なのが、貯蓄銀行です。最近本ブログによく出てくる「プロジェクト・ファイナンス」などに積極的に関わっているのが、この第2金融圏です(2008年以降、第1は消極的になりました)。

そして、合法的に運用されている貸付業者たちが、第3金融圏です。ただ、第3といっても他に無いので、各メディアの記事では普通に「貸付業者」と言います。ここは、預金などを受けず、貸付だけになります。ここでも借りられなかった場合、サチェ(私的な債)、またはサグミュン(私的な金融)とされる、違法金融業者、いわゆる「制度圏外」を訪れるしかありません。その利子は、平均で年229%で、なんと5219%(!)の件もあるそうです。

 

昨日の朝に書いたばかりなので(3つ前のエントリーです)省略しますが、『上限金利が66%から20%になった影響』は、真っ先に貸付業者(第3金融圏)利用者数から現れました。利用者が急激に減少したのです。なぜそうなったのか。貸付業者たちが、貸出を行わなくなったのです。貸付業者の利用者数は、詳しくは統計が取れない(第1・第2とは違って、利用者情報が金融機関同士で共有されないことが多い)という指摘もありますが、10月20日のヘラルド経済によると、2017年には247万人でした。このときは、上限金利が27.5%でした。それから、上限金利が24%、20%と相次いで引き下げられ、20%になった2021年には、貸付業者の利用者数は112万人まで減りました。

先も書きましたが、貸付業者には預金というものがありません。だから、第1・第2に比べ、資金を用意するのにお金がかかるわけです。だから、上限金利20%では利益が出せなくなったのです。すなわち、利用者数が減ったというより、利用可能者数が減ったのです。135万人はどこへ行ったのでしょうか。さすがに全員がそうだとは考えたくありませんが、制度圏の外に出るしか、道が無かったのでは?最近の金利引き上げで、1~2ヶ月前から(現状よりさらに)貸付業者たちが営業を縮小しているという記事はありましたが、マネートゥデイによると、その流れがさらに強くなり、もう新規ローンは事実上行わなくなった、とのことです。これは、サチェやサグミュンに行く人々を、急激に増やしてしまうことでしょう。以下、<<~>>が引用部分となります。

 

<<・・貸付業者たちが、新規ローンを事実上中断した。 貸付業者は主に貯蓄銀行やキャピタル社から資金を借りた、いわゆる「調達資金」で信用が低い人たちに融資を行う仕組みで運営される。しかし、相次ぐ金利引き上げの余波で、資金調達費用が急激に上がったのに対し、上限金利は20%までと決まっているため、商売にならないと判断したのだ。イ・ジェソン貸付金融協会専務理事は、「満期延長契約を一部延長する以外、新規ローンは無くなったと見れば良い」とし、「貸付業者は貯蓄銀行やキャピタル社から借りる調達費用自体が高いが、 年初だけでも5%前半だった調達金利が、8%台に上がって、運営が難しい」と話した。

続いて「貸付業者のところに来るのは、銀行取引やカード発行すらできない方々であり、普通、信用ローンで300~500万ウォン、担保ローンは3000~4000万ウォン程度を、おおむね1年間借りて、それでなんとかピンチを乗り越える」、「もう、サチェなどに流れることになるだろう」と懸念を示した・・・・もちろん、上限金利とは、過剰な利子を受け取らないようにするための安全装置だ。しかし、今のような金利引き上げ期には、その影響で貸付業者からも貸出が受けられず、制度圏の外に流れることになる、と指摘されている。95万ウォン借りて1200万ウォン返済、年利率1091%~5214%に達する高金利など、サチェ業者が相次いで摘発されている(マネートゥデイ)・・>>

 

最後に、サグミュンとかサチェとかで「相談または申告の件数が増えた」というニュースも多いですが、私はそれらはあまり参考にしていません。あまりにも一部だから、です。2019年11月13日「消費者経済」というネットメディアの記事によると、サグミュンやサチェの利用者のうち、64.9%の人たちが、何かのアクションを取るつもりはない、と答えました。

私見ですが、これは、あとがこわいというのもあるでしょうけど、他の理由もあるでしょう。たとえ200%超えでも(さすがに5200はないと思いますが)、利用者たちは、その業者を「無くては困る」存在だと思っているのではないでしょうか・・頭痛いというか、悲しい話ですが。上限金利を27%台にすれば、制度圏の外にある40万人を制度圏内(合法貸付業者)に戻すことができるとか、そういう主張もありますが。

 

 

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