文政権から変わらない雇用の謎・・大幅に増加したものの、60歳以上が76.5%、青年層では減少

政策そのものが同じなのかどうかまではなんとも言えませんが、文在寅政権でも尹錫悦政権でも、『新規雇用』の謎が続いています。2020年4月、文政権は新規雇用50万個を『政府が直接』創出すると公言、それを韓国版ニューディールだとしました。趣旨そのものはとてもいいと思いますが、その結果出来上がった雇用とは、勤務時間も短く、期間も短く、内容も『鳩に餌をやる人がいないか見守る』などのものばかりでした。全部『雇用』としてカウントされます。その影響もあるとは思いますが、いつからか、新規雇用で50代以上の割合が急激に増えてきました。

2020年全体の雇用において、40代以下は20%に過ぎません。残り80%は50代(26%)と60代以上(54%)でした。この動きは、2021年になってさらに加速します。ちょうど1年前、2021年12月15日、同年11月の雇用統計が発表されました。2020年11月と比較して雇用者数は55万3000人増加、経済活動人口も32万人増加、失業者は23万3000人減少。15~64歳雇用率(11月基準)は、関連統計の作成を始めて以来、最も高い水準となった、というものでした。もともと雇用率が高い日本からするとパッとしないデータですが、これは、『数』だけでいうと、世界的にかなり善戦したと言える成績です。

 

当時のホン・ナムギ経済副首相兼企画財政部長官はSNSでこの内容を伝えながら、「雇用の量的回復傾向が堅調に続く中、内面的にも改善の流れがより明らかになる」と高く評価しました。しかし、朝鮮日報(朝鮮BIZ)など一部のメディアは、その11月に増えたという就業者の約33%である33万1,000人は60歳以上で、70歳以上も8万6000人も含まれているとし、こう報じています。以下、各紙、<<~>>が引用部分となります。

<<・・今年に入って60歳以上の就業者数は2月から10ヶ月連続で前年同月比増加した。50代就業者数も14万9000人増加した。つまり今年11月の就業者55万3000人のうち、86.8%は50歳以上という意味だ。しかし、ホン副首相はこのような事実には言及していない。前年同月比『休んだ』カテゴリーで、30代(7000人)と40代(1万6000人)が増えた。『休んだ』とは、働く能力はあるのに、具体的な理由なしに漠然と働かない人を意味する(朝鮮日報)・・>>

 

2021年全体でみても、この流れは変わりませんでした。今年12月8日、2021年全体の働き口関連統計が複数のメディアから報じられましたが、その中で中央日報は、こう書いています。 <<・・(※2021年全体の雇用統計からして)雇用の「量」は増加しているが、「質」まで改善されているわけではない。2021年に新たに生じた新規雇用は338万個、消えた雇用は252万個だ。実質的に雇用は85万個増えたわけだが、その半分を超える47万個が、60歳以上の分だった。次に多いのは50代(23万個)だった・・

・・合わせて、50・60代以上の新規雇用の割合が80%を超えているのだ。人口高齢化で60代以上の人口自体が増加した影響もあるが、新型コロナ克服などのため政府が高齢者のための公共勤労を集中的に量産したのも主な原因だ。短期勤労比重が大きく、賃金も高くない、高齢層対象雇用だけが急速に増えているのだ(中央日報)・・>>

 

そして、今日。1年前(2021年11月統計記事)とまったく同じ内容の記事がありましたので、紹介します。ニューシースですが、記事の題や全体的な内容は就業者数が増えたことを強調していますが、中身は1年前と同じです。 <<・・統計庁が12日に発表した「2022年11月雇用動向」によると、先月の就業者数は2842万1000人で、1年前より62万6000人(2.3%)増えた。同月基準では、1999年11月(121万7000人)以来23年ぶりに最大増加幅である。15歳以上の人口のうち就業者が占める割合である全体雇用率は、62.7%で、1年前より1.2%ポイント上昇した。 1982年7月関連統計が作成されて以来、同月基準で歴代最大だ・・

・・先月の失業者は66万6000人で、前年同月比6万8000人減少(マイナス9.3%)した。これは同月基準で2002年(66万3000人)以来最も少なかった。経済活動人口のうち失業者が占める割合である失業率は2.3%で、1年前より0.3%下落した。失業率は1999年6月関連統計集計以来、同月基準の歴代最低水準だ(ニューシース)・・>>

 

・・と、ここまではいいですが、年齢別にみると、「60歳以上で47万9000人増加(増加した雇用62万6000人の約76.5%)、 50代9万2000人、30代6万6000人それぞれ増加したが、40代から6000人、20代で4000人減少した」、とも書いてあります。いままでならこの部分を強調する記事が結構出てくるはずですが、いまのところ、なぜか目につきません。高齢者の雇用が増えるのは、いいことかもしれません。でも、その中身がどうなのか。発表されるデータはほぼ同じなのに、その部分を強調する記事が目立たなくなったのはなぜか、いろいろ気になるところであります。

 

 

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