2億4千万円借りて2億7千万円のマンションを買った、ヨンクル王の話

もうヨンクルさんたちの話も、大まかに出尽くしたかな・・と思っていましたが、上(?)には上がある、というニュースがあったので、紹介します。一行でまとめると、24億ウォンを借りて27億ウォンのマンションを買った40代ヨンクルの話です。本エントリーのソース記事韓国経済は、「ヨンクル最後の王(ブームの最後に現れる、極めし者)」ではないのか、とも。利子負担など様々な『圧』にたえられず、さすがにどうしようもなくオークション行きとなり、いまは17億5千万ウォンまで価格が下がったけど、それでも買う人が誰もいない、と。

このラスト・ヨンクラーさんの場合、LTVやDSRの話が気になります。本ブログでも取り上げたことがありますが簡単に説明いたしますと、どちらも家計債務対策です。現在住宅を所有していない人に限って、LTV(Loan To Value ratio)は50%までとなります。例えば5億ウォンの住宅を購入するためにローンを受けるとき、その住宅を担保にして2億5千万ウォン(担保となる住宅価格の50%)までしかローンを受けることができません。DSR(debt service ratio)は40%までとなります。1年間返済すべき元利金が、その人の年収の40%を超えないように、受けられるローンの金額が制限されます。

 

DSRは段階別にいろいろありますが、2020年から最高段階とされる3段階が適用中で、ローン金額が1億ウォンを超える場合は全員に適用されます。ただ、第2金融圏は50%、第3金融圏(貸付業者)には適用されません。また、ジョンセ(家を借りるシステム)保証金、マンション購入の中途金(契約金と残金の間に支払う金額)のためのローンなどにも適用されません。となると、24億ウォンを借りたという先のスーパーヨンクルさんは、どうやってそのお金を用意したのか。そこが気になるところです。

この件、複数のメディアが「ここまできたか」なニュアンスで報じていますが、各記事に共通することは、貸付業者と、P2P、すなわち個人間貸出でお金を借りることができる、とのことでして。貸付業者はもともとデータを第1・題2金融圏の金融機関と共有しないところが多いです。それに、先も書きましたが家計債務対策からも対象外になっています。P2Pは、意味は個人間の貸出となっていますが、実は組織的(会社の形を取っている)なものです。金融機関ではない「個人」への貸し借りを仲介するような形を取るので、あくまで表面的には「個人間の貸し借りなので、家計債務ではない」ということになっています。

 

いつだったか、ジョンセ(家を借りるシステム)保証金は大家が「預かっている」ものなので、いずれ返すべき債務としてカウントしておくべきではないのかという主張を紹介したことがあります。ほとんどの場合は使ってしまって問題になるので、そんな側面も含めて、家計債務統計に含めるか、何かカテゴリーを作っておいたほうがいいのではないか、という話でした。でも、それは個人間の取り引きなので、各種統計からは除外となっています。この個人間貸出も、ローン金利があるなど相応のシステム化しているものの、個人間の取り引きなので、各種制限に引っかかりません。本当に、困ったものです。以下、<<~>>が引用部分となります。

<<・・オークションに出てきたソウルのウンマ・アパートが、24億ウォンの融資を動員したヨンクルのものであることが確認された。家計債務対策を迂回するため、マンション価格の88%を貸付業者から調達しており、「ヨンクル最後の王」ではないのかという指摘まで出ている。市場では、このような手段を活用したヨンクル物件が、来年あたりからオークション市場にあふれるのではないかとも観測している・・

 

・・19日、オークション業界によると、15日に流札となったウンマアパート専用面積84㎡は、昨年9月、40代のA氏が住宅価格(27億ウォン)の88%に達する24億ウォンを貸付業者から借りたものだという。A氏は、貸出制限を迂回するため、貸付業者から貸出を受けて残金を払った後、他の貸付業者に乗り換えた。しかし、それから3ヶ月間利子を返済することができず、5月、任意オークション手続きに入った。正確な利子は分からないが、年10%だけみても、毎月払わなければならない利子だけで2000万ウォンを超えいてただろうと思われる。

オークション業界では、来年からこのようなヨンクル異常な融資を活用した影の物が注がれるだろうという話が出ている。 貸付業者、個人間貸出(P2P)業者などを通じて規制を迂回した物件が多いからだ・・・・関係者は「江南などはP2Pなど迂回ローンを受けた場合が当たり前だった」とし「こうしたローンは、市中銀行住宅担保ローン金利が年2%台だった時にも、年8~9%水準の高金利だった。影響はかなり大きいだろう」と話した(韓国経済)・・>>

 

 

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