韓国で家を買った人たちは、元利金の返済に所得のどれぐらいを使っているのか

タイトルのままですが、韓国で「家を買った」人たちは、元利金の返済に、彼らの所得のどれぐらいを使っているのでしょうか。「これ、前にデータ出てなかった?」と思われるかもしれませんが、実はこれ、ちゃんと取り上げた記事がありませんでした(私が読んだ中には、ですが)。ありそうでなかった、といったところでしょうか。私が見逃していただけかもしれませんが。家計債務全般に対して、DSR(Debt service ratio)がどうなっているのかというデータはいくつかの機関から出ていました。DSRは、その人の年収において、元利金の返済にどれだけの%を使っているのかというデータです。

ですが、最近各メディアがもっとも重点的に報じている『家を購入した人たち(金利上昇と価格下落の影響を同時に受けている人たち)』については、相応の数値が出ていませんでした。もちろん、ローンで家を買ったからと言って必ずしもヨンクルだとは言えませんが、いわゆるハウス・プアたちがどんな状況にあるのかに特化したデータ集計は、無かったわけです。そこで、クッキーニュースなどが中央銀行の家計債務関連データを分析した結果、ローンで家を購入した人は、所得の60%を元利金返済に使っている(DSR60%)、との結果になりました。最低限の生活費が残せるラインが、70%と言われていますし、しかもこれは9月末基準で、10月と11月の金利引き上げは反映されていない数値です。

 

ローンを受けて、家を買ったのかドールドレスを買ったのかどう分かるんだ?となると、さすがに明確に分けることはできません。ですが、『住宅を購入するためローンを受ける場合、その住宅をそのまま担保にするのは一般的なので、住宅担保ローンを受けた人、または住宅担保ローンと信用ローン(担保なしローン)を同時に受けた人のデータだけ調べてみると、大まかに『家を購入した人は、元利金の返済に所得のどれぐらいを使っているのか』が分かるようになる、という趣旨です。以下、<<~>>が引用部分となります。

<<・・住宅担保ローンを受けた人は、所得の60%を元金と利子を返済するのに使うとわかった。金利が急騰し、毎月、返済すべき利子も上がったためだ。26日、中央銀行の家計債務データベースを分析した結果によると、住宅担保ローンを受けた人たちの平均DSR(年収において、元利金の返済の割合)は、7月~9月基準で60.6%だった・・・・年収の60%以上をローン返済に使っているという意味だ。住宅担保ローンと信用ローンの両方を受けている人の場合、DSRは、住宅担保ローンのみ保有した借主に比べてさらに増加した。住宅担保ローンと信用ローンを同時に受けている人のDSRは、9月末基準70%だった。金融圏では、DSRが70%を超える場合は、所得から最低限の生計費をのぞけば元利金返済が難しくなる、「リスク群」と分類する(クッキーニュース)・・>>

 

思ったより早いな・・と思いました。家計債務全般(住宅担保ローンだけでなく)だと、来年にDSR70%が190万人になるというニュースを読んだのが、先月でしたので。以下、せっかくだしもう少し見てみましょう。まず、韓国の総世帯数は約2200万世帯で、集計機関によって、その60~65%が家計債務集計に入っている、としています。思ったより少ない気もしますが、自営業などは家計債務統計に入りません。自営業者が特に多いということもあって、それまで含めるともっと増えるだろう、と言われています。また、貸付業者、いわゆる第3金融圏も、この統計に入ってない場合が多く、もっと詳しいデータが求められると随分前から指摘されていますが、貸付業者の場合は第1や第2金融圏のように共通した情報ネットワークが無いので、現実的に難しいとの声もあります。とにかく、2200万世帯の60%として1320万世帯が家計債務がある、とします。

次に、家計債務がある1600万人を対象に金融監督院という機関が調べたところ、来年、貸し出しの金利7%台になる仮定の値ではありますが、『所得の90%以上を元利金返済に使う人(DSR90%以上)』は120万人、『所得の70%以上を使う人(DSR70%)』は190万人と集計されました。聯合ニュースによると、DSR90%となると、税金などを除けば、事実上、生活のために使うお金がまったく残らないという意味です。DSR70%は、税金などと、そして『最低限の生活費』を除けば、それ以外に使うお金が残らないという意味になります。

 

先の世帯数に合わせて、単純に換算してみると(世帯数と人数なので無理があるのは承知の上で)、来年には約260万世帯が、DSR70%になります。最低限の生活費というのが詳しくどんな基準なのかは記事に書いてませんが、福祉関連政策に使われる最低生活費は、1人世帯の場合116万ウォン(2022年)となっています。全体からすると、こういったところです。

住宅担保ローン「だけ」に話を戻しますと、金額が大きいというのもありますが、9月時点ですでにDSRが60%を超えていたとは、これ、来年の早い時期には、『平均で』70%まで行くのではないでしょうか。それに、記事によると、2019年にも住宅担保ローンDSRが平均60%を超えていた、とも。当時は新型コロナなどもあって、金利が低くなり、そこで上昇が止まったと思われますが・・今回はどこまで上がるのでしょうか。繰り返しになりますが、この住宅担保ローン関連データは、今年7~9月(9月末)基準となります。すなわち、10月と11月の金利引き上げの分は、反映されていません。というか、その影響が現れるのは来年になるという話もありますが。

 

いまさらですが・・私が歯科をやっていたビル、大家さんから「買わないか」という話がありました。条件はよかったし、資金もあったけど、明確な理由もなく、買いませんでした。どちらかというと「買うほどの理由がなかった」といったところですが。あのときはまだ「日本で暮らす」とは思ってませんでしたが・・もしあのとき買っていたら、こうして日本に来ることができただろうか。そんな気もします。『身軽さ』って大事ですからね、こういうのって。それを言うなら、結婚とかもそうですが。人生って選択の連続だな・・と思う今日この頃です。

 

 

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