韓国、20・30代の「多重債務者(3ヶ所以上の金融機関から借り入れた人)」が急増・・全多重債務額の4分の1以上

最近、いろいろと金融・経済関連の内容を書いてきましたが、その中でも特に印象的だったのは(個人的に)、多重債務者の数です。先月にもソウル経済の記事からこの問題を取り上げたことがありますが、続報と言うか、青年(20代・30代)の多重債務に範囲をしぼった記事があったので、紹介します。結論から書きますと、30代以下(20代・30代)世帯の多重債務者が急増しており、30代以下の多重債務金額は、去年末基準で159兆ウォン。これは、2017年の119兆ウォンに比べると40兆ウォン増加した数値で、 総多債務額の26.5%にあたいする、とのことでして。

まず、前回の内容を簡単にまとめてみますと、「韓国の家計債務(自営業者の債務は家計債務にカウントされません)において、『金融機関3カ所以上でお金を借りた』多重債務者は、今年9月末基準で452万8000人、金額で618兆2000億ウォン」になります。これは、確認できる家計債務統計において、人数で22.7%、金額で33.0%です。とはいえ、多重債務者だからといって、全員が「リスク」というわけではありません。ここでいうリスクとは、『30日以上、延滞する』を意味します。そのリスク率は、4.7%。一見、まだ大丈夫に見えます。

 

しかし、これは、新型コロナ対策として政府レベルで続けているローンの満期延長・返済猶予措置があること、そして、そして、第1金融圏(普通の銀行)だけ3か所以上からローンを受けた人たち(約38万4000人)の延滞率が低いためです。ちょっと妙な話ですが、「第1金融圏だけで3ヶ所からお金を借りた人」の場合、「多重債務者でない人たち」よりもむしろ延滞率が低く、先のリスク率も0.3%にすぎません。なぜこうなるのかというと、ここは私見ですが、第1金融圏の場合顧客の金融関連情報(すでに別の銀行からローンを受けている、など)が分かるので、銀行としては、『よほど返済能力が高い人でないと、そもそも銀行側が貸し出しに応じない』からではないでしょうか。

「第1金融圏以外からも貸し出しを受けた」、「または、信用ローン(担保無し)が全体借入金の3割を超える」で見てみると、『30日以上の延滞』は9月末時点で、8.2%を超えていました。10月の金利引き上げ(0.5%p)、11月の引き上げ(0.25%p)は反映されていない数値です。昨日も延滞率を理由に新規貸し出しを中断するという話を書きましたが、いまはもっと増えていると見ていいでしょう。ちなみに、本ブログもそうですが韓国で関連記事を一気に増えたのも、10月の金利引き上げからです。

 

簡単にまとめるといって長くなりましたが、言い換えれば、この件で問題になるのは(何事もそうですが)、まず『数が多すぎる、増加も早い』こと、特に、『第2・第3金融圏利用(第3の場合はデータがあまり表に出てきませんが)なのかどうか』、そして、『所得や資産など返済能力』というわけですが・・20代・30代の場合、その3つの項目においてすべて問題になっている、という記事がありました。クッキーニュースです。こちらは国会議員室が分析したデータなので前回とは少し数値が違う点、ご注意ください(基準が去年末です)。以下、<<~>>が引用部分となります。

<<・・年齢別にみると、29歳以下の世帯で、家計債務が前年同期比41.2%急増した。ヨンクルなどが影響したと思われる・・・・問題は、20代・30代の多重債務額が大きく増えているという点だ。第2金融圏のローン、高い金利と共に多重債務者が増加しているということは、債務を返済するのが難しい脆弱層が増える可能性を意味する。ともに民主党イ・ジョンムン議員室が金融監督院から受けた資料によると、昨年末基準、多重債務額は603兆ウォンで、2017年(490兆ウォン)より22.8%増加した。同じ期間、多重債務者も417万人から451万人に増え、1人当たりの債務も1億1800万ウォンから1億3400万ウォンに増えた。

 

その中でも、30代以下世帯の多重債務者が急増したことが分かった。30代以下の多重債務金額は昨年末基準で159兆ウォンで、2017年の119兆ウォン比40兆ウォン増加した。 総多債務額のうち、26.5%を占める数値だ。多重債務も問題だが、貯蓄銀行(※第2金融圏)の比重も増えている状況だ。 最近、金利が急激に上がっているだけに、債務返済に影響すると思われる。ともに民主党のジン・ソンミ議員が金融監督院から提出された業権別貸出額現況資料によると、6月末時点で、20~30代が貯蓄銀行から借りた家計ローン残高は14兆7532億ウォンと集計された。これは、貯蓄銀行全ての家計ローン残高(41兆9140億ウォン)の35.2%を占める(クッキニュース)・・>>

「青年+多重*第2・題3」のデータが明記されていないのは残念ですが、ヨンクルな状態(なんだそれは)なのは分かります。さて、『それでも家を買ったから、もう大丈夫(値上がりする)』という信念のもと、なんの危機感ももたない人たちが多く、彼らは高金利で消費をしている・・という話もよく聞きますが。果たして、その未来は。 ・・・と、年末なのに(いつもそうですが)重い話になりましたが、ここで重要な告知がございます。

 

行ってみたいところがある・・というのもありますが、いま書いている原稿(正式に紹介するにはまだ時間がかかりそうですが)が『毎日書いているのに、終わりそうにない』怪現象につつまれているため、ちょっと原稿ヨンクルが必要になりました。今日と明日(29日と30日)は、午前1回更新となります。それから31日から来年1月2日まで休んで、1月3日から通常更新を再開します。ご理解の程をお願い申し上げます。

 

 

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