韓国、年利17~19%のクレカ・キャッシング、リボ払いが急増・・経済メディア「もうヨンクルだけではなく、庶民全体に拡大しつつある」

この前もリボ払いについてエントリーしたことがありますが、韓国でクレジットカードのキャッシングサービス、リボ払いが急増しています。それぞれ、キャッシングは去年52兆ウォン(予想)、リボ払いは11月時点で7兆ウォンを超えました。キャッシング額は、2019年にも50兆ウォンを超えましたが、あのときは、新型コロナによる低金利と、各種支援措置が始まったことで、2020年、2021年は多少減少していました。毎日経済(記事その1その2)は、クレカのキャッシング他のDSR制限(年収の一定割合以上は借り入れることができない制度)の対象にならないため、すでにDSRが限度値を超えた人たちが、『回して防ぐ(債務で債務を返済する自転車操業)』を続けているからだと分析しています。

記事は、『ハウスプア』たちの事例を紹介しています。どちらの記事にも30代のサラリーマンが出てきますが(同一人物の可能性もありますが、書いてある内容が少し違います)、2021年に住宅担保ローンと信用ローンで3億ウォン以上の貸し出しを受け、家を購入しました。しかし、2021年には年2~3%台だった金利が、去年の下半期には年7~8%まで上がり、「毎月返済する元利金と月給が、ほぼ同額になった」、とのことでして。ローン利子や生活費のために、クレジットカードの現金サービス(キャッシング)にたよるしかなかった、とも。2つの記事に共通して出てきますが、彼はすでに多重債務者(3ヶ所以上の金融機関から借り入れた人)で、「今月からどのように返済すればいいのか分からない」と話しています。

 

キャッシングが全てこのような、いわゆる『急銭(少額ではあるが、緊急に必要な資金を韓国ではこう言います)』をもとめるパターンだとは言い切れませんが、記事は、キャッシングはDSR制限の対象外ということもあって、急銭を得るためにもっとも利用されているとしながら「物価上昇で消費額そのものが大きくなったし、金利と金融当局の家計債務対策(※DSR制限など)により、信用が高くない人たちはお金を調達できなくなり、急銭の窓口であるキャッシングサービスの需要が爆発的に増えた可能性がある」とする金融機関関係者の言葉を伝えています。キャッシングサービスの金利は、年17~19%です。以下、<<~>>が引用部分となります。

<<・・2~3%台だった金利が昨年下半期には2倍以上跳ね上がり、毎月返済しなければならないお金が給料と同じぐらいになった。彼は「銀行の利子と生活費など100万~200万ウォンが必要で、この瞬間だけなんとかしようとキャッシングサービス2~3件を使っていると、いつのまにか多重債務者になってしまった」と話した・・・・昨年のカード現金サービス(短期カードローン)の利用金額が、50兆ウォンを超える見通しだ。これは新型コロナになる前、2019年(52兆3244億ウォン)以後最大だ。

 

3日、金融監督院と与信金融協会によると、1月から11月までの累積現金サービス利用金額(7つの専業カード会社基準)は47兆7797億ウォンと集計された。2021年12月の現金サービス利用金額が4兆3725億ウォン(9.6%)増えた点を考慮すれば、2022年の年間利用金額は52兆ウォンをずっと越えるだろうとの観測も出ている。キャッシングサービスは、クレジットカード利用者が審査なしでスマートフォンアプリを通じて、カード会社が設定した利用限度内でお金を借りることができるサービスだ。貸出期限が一ヶ月程度と短く、急銭のために使われるのが普通だ。手軽に融資を受けることができるが、金利は上限金利(20%)に迫る。

昨年9月基準、信用等級1~2等級(※韓国では全ての人に信用等級があり、この等級によって金融取引の待遇が変わります。最近はスコア制度になりました。1~2等級ならもっとも信用が高い人たちです)の利用者も、金利が12.7%~15.84%であり、5~6等級は17.88~19.81%に達する。さらに、カード会社はリスク管理のため、昨年10~12月期からカード利用限度とローンの調整に乗り出した。それでも現金サービスとリボルビングを通じて「急銭」を解決しようとする人々が群がっているという意味だ。

 

カード会社のリボルビング残高も昨年11月基準で7兆2105ウォンで、毎月、最大値を塗り替えている。キャッシングサービスとリボルビングは、カードローン(長期カードローン)とは異なり、総負債元利金償還率(DSR)制限が適用されない「迂回路」であり、需要が増えたという分析もある。複数のカード会社から貸し出し限度までお金を借りた多重債務者が多く、金利が上がって返済も限界に来ている場合が多い。インターネットコミュニティには、キャッシングサービスとリボルビングで「回して防ぐ(自転車操業)」し、債務が雪玉のように膨れ上がったという話が多数見られる(毎日経済)・・>>

記事は、この現象はヨンクル(なにかに投資するために無理をしている人たち)の問題ではなく、庶民の実生活の問題だと指摘しています。先の実例の人のようにヨンクルした「結果」によってこんな状態になった場合は多いでしょうけど、少なくとも何かに投資をするためにお金を借りるわけではない、というのです。「ヨンクルだけでなく、庶民の間、実生活に必要な急銭需要が急速に増えていることを示している。キャッシングサービスはカード会社が設定した利用限度の40%水準で、期限も1カ月と短い。家を買う、投資するなど、大金が必要な場合に活用するのは難しい」、と。

 

 

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