韓国軍、地上でも『空白』との指摘・・輸出物量のため自国に配置する新型戦車は用意できず、予算も無し

去年12月27日に本ブログでもお伝えしましたが、北朝鮮の無人機(26日)が大統領室周辺まで撮影して帰ったのではないか、という指摘がありました。韓国軍はこのことを「事実とは異なる」と主張してきましたが、この件を集中的に報じてきた朝鮮日報によると、同内容は事実で、すでに大統領にまで報告された、とのことです。このことで一部のメディアが「戦力そのものの空白が起きているのではないか」と疑問を提起、アジア経済は、「空だけではない。地上(戦車)も、4,773個の部品の906個はすでに生産中止で、戦車砲身すら2019年に生産が止まったのに、新型は全部ポーランドに輸出することになって国内に配置する分が無い」と報じました。追加生産の予算もない、とも。以下、各紙、<<~>>が引用部分となります。

<<・・先月26日、韓国領空に入った北朝鮮の無人機のうち、1機が龍山大統領室から3キロ離れた上空まで飛行していたことが、4日確認された。 当初、軍当局は北朝鮮の無人機の龍山周辺飛行可能性について「探知できていない」「ウンピョン区などソウル北部地域だけだ」とし、何度も事実と異なると主張していた。しかし、軍と情報当局が精密分析をした結果、北朝鮮無人機は大統領室付近まで偵察活動をして北朝鮮に帰ったことが把握された。ユン大統領はこの日、イ・ジョンソプ国防部長官など安保ラインにこのような内容の報告を受けたことが分かった(朝鮮日報)・・>>

 

これが、一つ前のエントリーで取り上げた「効力停止」を言い出した直接的な理由だったのではないか、そう思われます。次は戦車関連ですが、記事によると北朝鮮は「爆風号」「天馬号」という戦車を運用中ですが、性能が改良されつつある、とのことでして。個人的に、戦車より、改良型の放射砲(多連装ロケット砲)だけでもソウルが射程圏内になるのが問題ではないのか・・な気もしますが、そこはともかく。今韓国軍が運用しているM系列の戦車は、修理のために必要な部品の多くが生産されておらず、新型は輸出に回し、追加量産の予算も無い、とのことでして。

軍の主力戦車となるとK1(10年ぐらい前にいくつか問題があってリコールすべきだという記事が出ていた記憶がありますが、それもまたともかく)ですが、それよりさらに前のM戦車も、まだ600台が運用中とのことです。現在、陸軍が運用中のM系戦車は、M48A3Kが200台、M48A5K戦車が400台。しかし、M48系列戦車は川を渡る能力がなく、機動中(※発音が同じなので、『起動』中かもしれません)に射撃が不可能だそうです。また、「能動防護装置」すなわち接近してくる対戦車ミサイルなどを検知、追跡して自らを防護する装置や、「爆発反応装甲」などがありません。

 

7つの師団で現役として運用中のこれらM系列戦車は、老朽化が激しく、機動力が時速50kmから20~30kmに落ちた、とのことでして。その修理のための部品4,773個のうち906品目は生産中止されていて、特に戦車砲身も2019年からは生産されていません。いまになってM戦車をまた作ったりすることはできないので、新型、すなわちK2戦車の配置を計画していましたが、ポーランドに輸出が決まり、計画されていた物量はポーランドに行くこととなり、国内配置用を追加量産する予算は、いまのところ、ありません。

<<・・北朝鮮の装甲戦力は強化されているが、我が軍はむしろ後退しているという指摘が出ている。特に、軍は戦力化すべき最新鋭戦車すら、輸出物量で海外に送っているのが実情だ・・(※先の戦車の話などのあとに)・・これに、陸軍はK2戦車の導入を急いだ。2014年から実戦配置が始まり、1次量産100台、2次量産106台を経て、現在は3次量産物量54台を生産中だ。3次量産物量は昨年10台、今年18台、2024年4台などに分けて、京畿道(キョンギド)・江原(カンウォン)などに配置する計画だった。しかし、ポーランドにK2戦車が輸出され、これらは陸軍に戦力化せず、そのまま海外に送ることにした・・

 

・・問題は、このような状況でも、今年の4次量産の予算がないという点だ。 軍は第4次量産を通じて約150台以上を戦力化しなければならない、と見ている。しかし戦車は追加生産されず、むしろ生産物量は輸出することになったので、戦力は弱くなるしかない・・・・K2戦車に装着する「パワーパック」も問題だ。 パワーパックはエンジンと変速機を合わせて呼ぶ用語だ。1台あたり100億ウォンを超える戦車を駆動し、速度、方向を調節するコア装置をいう。パワーパックは「戦車の心臓」とされる。

軍はパワーパックを国産化しようとしたが、開発に続いて失敗してきた。K2戦車国産パワーパックの変速機開発事業は2005年から2014年まで485億ウォンが投入され、SNT重工業が引き受けた。 しかし、2016年からK2戦車の2次量産を始めたものの、パワーパックに装着する国産変速機は耐久度テストに合格できなかった。以後、政府は2018年、国産エンジンとドイツ産変速機を組み合わせた「混合パワーパック」を搭載することに決めた。最近では、K2戦車を生産する現代ロテムが、パワーパックの中で変速機を生産したSNT重工業と契約を解除した(アジア経済)・・>>

 

 

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