韓国半導体業界の本音・・「同盟の義理という理由で、中国市場から離れるわけにはいかない」

韓国メディアの半導体関連記事は、主に日台協力、日米台協力を警戒する趣旨となっています。ただ、だからといって中国市場にこだわるとかそんな内容ではなく、「なんとかしましょう(しましょう!)」なオチで終わるのがほとんどですが・・韓国日報に、ちょっと珍しい記事がありました。匿名とは言え「中国市場から離れるなど、もう遅い(すでにそんなことが出来る状態ではない)」という関係者の話が載っています。率直に話したものだな、と思いました。ちょうど西村康稔経産相が訪米し、先端半導体の日本国産化のための日米共助に合意した、というニュースもありましたし、エントリーしてみます。

まず記事の趣旨は、「いわゆる同盟論理(米国との関係)で中国から離れるという話は理解できるが、現場の人たちは、『すでにそんなことができる状態ではない』と話している」というものです。半導体だけでなく、インフレ抑止法でバッテリー関連鉱物の産地に関して多少緩和されたように見えるが、実はバッテリー関連で核心とされる鉱物の(種類にもよりますが)80%以上を中国から輸入しているので、大して意味がない、とも。以下、<<~>>で該当部分を引用してみます。

 

<<・・「中国事業による地政学的負担が大きくなっていることを知らない人はいないだろう。でも、脱中国というのが、口でいうほどに容易ではない」。中国北京に駐在する韓国大企業の高位関係者の言葉だ。彼は、米国と中国のサプライチェーン競争が激化する中で、中国に進出した企業の境遇を「崖っぷち」と話す。「中国市場から離れろ」という米国の主張は強くなっているが、すでに中国に根を下ろして生産力を強化してきたため、同盟に対する「義理」を守るのは現実的に容易ではないという意味だ。別の企業の関係者は、「中国で営業する我が国の企業は、すべて中国からの撤収をプランBとして準備しているだろう」と話した。それにもかかわらず、「あくまでプランBにすぎない。中国という世界最大の市場をあきらめるのは難しい」と話した・・

・・最も緊張しているのは、半導体業界だ。米国は日米台韓を結ぶ半導体サプライチェーン協議体で中国を包囲する構図を作った。昨年10月には半導体輸出制限措置を行った。 人工知能(AI)とスーパーコンピュータに使用される高性能コンピュータ用半導体とDRAM、NANDフラッシュなどメモリー半導体製造に必要な機器・技術の中国販売を制限した。

 

中国に半導体生産設備を置いてあるサムスン電子とSKハイニックスは、1年間の猶予措置を受けて時間を稼いだ。しかし、1年後にもまた猶予を受けることができるのか、むしろ強化された措置を受けるのか、見分けることはできない。北京にある某政府傘下機関の関係者は、「今は半導体産業が問題だが、電気自動車産業や戦略物資産業、金融業界も米中競争という不要な戦いに巻き込まれる」、「今、その圧迫は一時的な変数ではなくなった」と言った・・

・・各企業は、中国から離れるのが難しい。サムスン電子は中国西安工場で全体NANDの40%を、SKハイニックスは無錫と大連でDRAMとNANDをそれぞれ50%と30%ずつ生産している。大韓商工会議所によると、半導体輸出において中国が占める割合は昨年39.7%で、2000年(3.2%)から12倍以上成長した。中国現地の半導体業界関係者は、「設備、素材、部品、ノウハウがすべてここにある。同盟論理で事業を動かすことができる段階は、すでに過ぎた」と話した・・>>

 

これはバッテリーでも同じで、インフレ抑止法でバッテリー製造に必要な「核心鉱物」のサプライチェーンで、電気自動車バッテリーに入る核心鉱物の40%以上(2027年には80%以上になります)を米国、及び「米国と自由貿易協定(FTA)を締結した国」で採掘・加工すれば、税額控除対象にすると、基準を多少緩和しました。もともとは米国だけでしたので、たしかに緩和は緩和です。しかし、記事によると、韓国のバッテリー関連企業は酸化・水酸化コバルトの83.3%、酸化リチウム・水酸化リチウムの81.2%、炭酸リチウムの89.3%などなど、核心鉱物とされる鉱物のほとんどを中国から輸入しています。

中国以外の国から輸入するとなると、まずそう簡単に購入できる国を見つけることができるのかどうかも問題ですが、なにより、価格が高くなるので、もう補助金の問題ではなくなる、とのことでして。なんというか、ヨンクルするしかないのかもしれません。最後に、こちらはニュース1ですが、西村経産相はラモンド長官と会って、先端半導体の日本国内生産のために日本が昨年設立した会社「ラピダス」と米国IBMの次世代半導体共同開発を推進することにし、IBMの研究拠点でラピダスの技術者育成、販売先開拓などの領域で協力することにした・・とのことです。いつもよりちょっと早いけど、今日はこれで失礼します(・∀・)ノ

 

 

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