韓国、国内でのLCD生産を終了・・次期アイフォンのディスプレイは中国メーカーか躍進か

あまりニュースになりませんでしたが、去年12月、LGディスプレイが国内でのLCDディスプレイ生産を終了しました。一時は韓国の代表的な輸出品目だったLCDですが、多くのメディアが、「国内での生産は事実上ゼロになった」と報じました。ヘラルド経済によると、LCD市場の主導権はもう中国にあります。2018年グローバル市場で韓国のLCDシェアは29.2%でしたが、2021年には14%になりました。同期間、中国企業の市場シェアは30%台から51%まで増えました。 結局、サムスンディスプレイが去年6月にLCD事業を終了し、続いてLGディスプレイが昨年末、国内テレビ用LCD事業をやめました。そんな中、OLED(有機ELディスプレイ)においても、同じことが起きています。以下、<<~>>が引用部分となります。

<<・・アップルが今年、iPhone 15シリーズパネルの最大サプライヤーとして中国BOEを選定するという見通しが出てきて、国内ディスプレイ業界に大きな影響を及ぼしそうだ。LCDに続いて小型OLED市場でも、中国企業が追いついており、市場をとられる懸念が高まっている。最近、外国のメディアは、アップル分析専門家と呼ばれる台湾のアナリスト郭明錤氏の予想を引用、今年下半期に発売されるiPhone 15シリーズのベージック及びプラスモデル用パネルの70%を中国メーカーBOEが供給する可能性があるという見通しを出した。残りの30%をサムスンディスプレイが供給すると見た。昨年発売されたiPhone 14シリーズ供給シェアではサムスンディスプレイが70%を占めていた。市場調査会社ユビリサーチによると、昨年第2四半期基準の小型OLEDディスプレイ市場で、サムスンディスプレイが38.2%のシェアで1位、BOEが20.5%で2位を占めた・・>>

 

この予想があたるかどうかは分かりません(これも重要なので書いておきます)。しかし、これからどんどん、OLEDでも、中国メーカーのシェアは高くなるでしょう。この現象は、前にも取り上げたことがありますが、同じ見解がメモリー分野でも出ています。各メディアが半導体部門で特に懸念しているのは、韓国の主力であるメモリー分野では、すでに中国の技術力が高くなっています。たとえば聯合ニュースは去年12月5日の記事で、産業研究院(KIET)が半導体産業の総合競争力を分析した結果、米国(96)、台湾(79)、日本(78)、中国(74)、韓国(71)、EU(66)の 順だったとしながら、メモリ半導体分野では87で高い競争力と評価されたが、システム半導体分野では63にすぎなかった、と報じています。

<<・・ファウンダリー分野では、台湾ときびしい競争をしている。台湾のTSMCは史上初めて、今年7~9月期の世界半導体売上高でサムスン電子を追い越し、1位になった。TSMCは総合半導体(IDM)企業であるサムスン電子より収益性に優れ、委託生産という側面で、市況に振り回されない。需要を予測するのが難しいとされるメモリー半導体分野とは違う。一方、主力であるメモリ分野は、中国が資金を注ぎ込んで人材を引き抜いて技術開発を進めており、すぐにでも追いつかれるのではないかと言われている。DRAMの場合、業界間の技術差は急激に縮まっており、サムスン電子とSKハイニックス、マイクロンなどが14ナノ級プロセスに留まっており、技術的な限界を超えないかぎり、追い上げてくる中国から逃れるのは難しいと予想される(聯合ニュース)・・>>

 

実際、アップはアイフォン14から中国メーカーであるYMTCのNANDフラッシュを搭載しようとしていました。米国の輸出関連措置により、保留したと言われています。他にも、専門家たちは、「中国を単に『市場』として見ているのが問題」と指摘しています。「私たちの物が売れる市場」である前に、中国はもう競争相手であり、実際、いくつかの分野で『国産化』に成功しており、それが対中貿易収支を赤字にする構造的な理由である、と。この部分、実は韓国メーカーは「米国の関連措置で助かっている側面が強い」、とも言えるでしょう。

でも、一つ前のエントリーにも書きましたが、こんな状況で同盟の義理では~と言っているから、すごい(?)ものです。これは半導体関係者だけでなく、大手からネットメディアまで、「米国が問題だ」という主張は結構出ています。一例として、以下は租税日報というメディアの記事ですが・・有用な記事も多いメディアなのに、先のアイフォンディスプレイのことを、「米国が中国に対して行っているIT産業関連措置は、結局は我が国のメーカーをねらいうちしているものだと、疑問視せざるをえない」という結論で報じています。分かりやすい文章です。はい。

 

 

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