韓国の家計債務問題、第3金融圏から第2金融圏に『転移』始まる・・貯蓄銀行(第2金融圏)の延滞率が急増

いままで書いてきた「ヨンクルは計画的に」関連で、もっとも重要な一つのキーワードを選べというなら、「弱い環」ではないでしょうか。チェーンの強度はもっとも弱い環の強度で決まる(他の部分がいくら丈夫でも、そこで切れてしまう)という、いわゆるもっとも弱い環の原則のことです。金利引き上げによる影響が本格的に表れるのは、早くても1年後だと言われています。そして、その影響は、脆弱層とされる人たちから現れるでしょう。第1金融圏(普通の銀行)を利用する、いや「利用できる」人たちがどれだけ「大変だ」と言っても、彼らの領域で問題が起きるのはまだ先です。

第3金融圏(貸付業者)の場合、第1・第2のように他の金融機関とデータを共有しないところが多いため、詳しく表向きにはなっていません。しかし、すでにかなりの部分が『停止』していると見てもいいでしょう。本ブログでずっと取り上げてきましたが、貸付業者が新規貸出を行わなくなったこと、クレジットカードのキャッシングサービスやリボ払いなどが急増していること、などなどがその「停止」を裏付けているとも言えるでしょう。じゃ、次はどんなことが起きるのか。それよりパワー(?)が一つ上の、第2金融圏で、同じことが起きます。

 

ちょうど、韓国の代表的な庶民金融期間である「貯蓄銀行」で、延滞率が急増しているというニュースがありました。普通なら、第3で借りて何とかするはずですが、第3が機能しなくなったから、第2で『回して防ぐ』スキルが使えなくなったのです。債務関連問題を積極的に取り上げている毎日経済の記事ですが、貯蓄銀行の延滞率が急増しています。ある貯蓄銀行の場合、3ヶ月で延滞率が0%台から一気に6%台に増えた、とのことでして。さすがにノンバンクだけあって金額面では大したことありませんが、第3から第2への転移が始まったわけです。ここにはさらなる『オチ』もありますが、それはちょっと後にして、以下、各紙、<<~>>が引用部分となります。

<<・・江原道(カンウォンド)所在のA貯蓄銀行は、昨年9月末の延滞額が101億4000万ウォンで、4~6月期(15億3600万ウォン)に比べて6倍以上増えた。延滞率も、0.74%から6.20%に、5.46%ポイントも上昇した。中途金(※マンション購入の際、契約金と残金の間に払う金額)ローンの満期が到来したが、返済できない人が続出したためだ・・・・金利が上がり、景気が悪化し、不動産市場も衝撃を受け、貯蓄銀行のローン債権の不良化が本格的に始まった・・

 

・・下向安定化傾向を見せていた延滞率が、7~9月期に上昇反転し、3%台まで上がり、延滞金額は2016年6月以降、6年余りに再び3兆ウォンを超えた。専門家は、貯蓄銀行のリスクが、10~12月期にも増えたなっているだろうと推定し、今年上半期が特に危険だと見ている。5日、預金保険公社の最新統計によると、昨年9月末基準で全国の貯蓄銀行延滞率が3.0%を記録し、6月末より0.4%ポイント上昇した。 延滞額は3兆4344億ウォンで、6月末2兆9772億ウォン対比4000億ウォン以上増えた。貯蓄銀行圏の延滞額の合算が3兆ウォンを超えたのは、2016年6月以降、6年余りだ。1~3月期、4~6月期には延滞率は2.6%水準で留まり、7~9月期に入って急激に跳ね上がった・・>>

これは、10月12日の金利引き上げから、この件が本格的に問題視されるようになりましたが・・まだその影響は『『『『まったく』』』』反映されていないデータです。さらに、一部の貯蓄銀行は、『延滞』を妙な基準で設定しています。これは去年11月3日「ビジネスウォッチ」の記事ですが、通常、銀行は貸し出したローンを、「正常」、「要注意」、「固定」、「回収疑問」、「推定損失」等に分けて管理します。一般的に、延滞は「要注意」から始まり(延滞3ヶ月未満)、『固定』からはリスクが高いとします。記事によっては「固定以下(『固定』から『推定損失』まで)」という表現を使う場合もあります。ですが、一部の貯蓄銀行は、これらを『延滞』のカテゴリーに入れない、とのことでして。

 

ビジネスウォッチが、該当貯蓄銀行の不動産PF(プロジェクトファイナンス)関連のローンを調べてみたところ、「固定以下」の残高は1940億ウォンだったのに、その貯蓄銀行のデータ上の延滞額は1807億ウォンだけでした。詳しくどういう基準で延滞を発表しているのかは記事にも書かれていませんが、数値が合いません。それに、「3ヶ月延滞の延滞」である『要注意』は、1兆83333億ウォンでした。これらもまた、延滞としてカウントされていないわけです。ビジネスウォッチは、「不動産PF関連だけを調べたが、少なくとも金額基準20%の分で延滞が発生している」としています。当時、公式に出ている貯蓄銀行のPF関連関連延滞率は、1.35%でした。

 

対象範囲が違うし、「全ての貯蓄銀行」でそうしているのかどうかは未確認なので、言い切ることはできません。しかし、このような「延滞だが延滞ではない」妙なデータが、先の毎日経済の記事にも適用されているとしたら、その延滞率は、本当に3%なのでしょうか。それでも急増しているということは、『隠れ延滞』データはどれぐらいなのか。気になるところです。今回は「第3から第2へ『転移』の前兆」とタイトルを付けましたが、同じことが、第2から第1へも起きるでしょう。もうちょっと後のことになるでしょうけど。それまで、なにか対策を講ずることができるのか。尹政権としては、そこが大事です。『制限を解いたからマンションを買ってください。住宅担保ローン8%台だけど』という政策では、時間稼ぎにしかなりません。 あと、次の更新ですが、正月休みが転移し(言い訳)、明日は1日休むことになりました。次の更新は10日のいつもの時間(11時頃)になります。申し訳ございませんが、また明後日、更新再開します。

 

 

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