大手メディア「チップ4など半導体協力において、韓国の役割は具体的に何なのか」・・他、Kチップス法続報など

朝鮮日報や中央日報など大手をはじめ、各メディアに、半導体関連で「日米台の協力により、我が国の半導体の立ち位置が揺れている」という記事が増えてきました。特に朝鮮日報の場合、かなり積極的に関連記事を載せています。今日もまた、同じ趣旨の記事がありました。詳しくいつスタートするのかも分からない「チップ4」(もう懐かしい感じすらします)ですが、日米台はちゃんと役割が決まっているのに、韓国のポジションはどういうものなのか、詳しく見えてこない、というのです。去年12月24日にお伝えした「Kチップス」法関連の続報もあるので、合わせてお伝えします。

・・と、その「Kチップス法(ニックネームです)」ですが、半導体関連で各企業の税額控除を増やすという内容がメインです。他にもいろいろありますが、税額控除以外はあまり話題になりませんでした。現状、半導体設備投資金額は、大企業の場合は6%、中小企業は16%税額控除しています。それを、大企業20%まで、中小企業は30%まで増やし、負担を軽くしようそうしよういいねいいね、そんな内容でした。ですが、初めて話が出てきてから結構経って、去年12月23日にやっと本会議通過となりました。しかし、最初は「大企業20%(現状6%)、中堅企業25%(現状8%)、中小企業30%(現状16%)」だったのに、与党・野党の合意案は「大企業8%、他の現場のまま」というものでした。

 

多数党である野党が「大企業は10%、中堅15%にして、中小は与党案のまま30%にしよう」としていましたが、そこからさらに、企画財政部が「お金が無いので、税収が減ると困りますよ」と言い出して、野党案からさらに後退し、大企業8%控除『だけ』になったわけです。しかし、尹大統領はこの案に再検討を命じ、企画財政部が急にスタンスを変え、「大企業25%控除」など控除率を大幅に上げる改正案が出てきました。しかし、一応与党・野党が合意してできた案だったので、大統領の一言で「なかったこと」となったわけですから・・改正案が国会を通過できるかどうか、分かりません。野党の次期大統領候補とされていた李在明氏のタイーホが近い雰囲気の中、野党が国会で同意するとは思えません。

さらに、先も書きましたが、一部において、『チップ4において、韓国のポジションってどういうものなのか』と指摘しています。日本・米国のように具体的な話が出てくるわけでもないし、チップ4関連でなんの話も無いではないか、という指摘も出ています。ソース記事は朝鮮日報(朝鮮BIZ)です。これだと、具体的にどんな役割をすることになるのか分からない、と。これ、チップ4とかじゃなくても最近の日米、日台半導体協力に関心を持つ人なら誰もが一度は考えたことがあるでしょう。『日米台だけで、もう完成していないか』、と。全く同じとはいえませんが、似たような趣旨の文章が大手メディアの記事に載るとは、興味深いところです。以下、<<~>>が引用部分です。

 

 

<<・・(※米国、台湾などの半導体支援関連の努力について書いた後)日本の場合、政府が700億円を支援し、ソニー、トヨタ、キオクシアなど日本代表企業8社が集まった先端半導体会社「ラピダス」を設立した。また、半導体企業設備投資の40%ほどを補助金として支援している。 TSMCがこの支援を受けて1兆1000億円をかけて半導体工場を建設している。我が国の半導体産業の育成案はまだまだだ。国内半導体産業育成支援法である「Kチップス法」のうち、業界で最も緊急な半導体施設投資に対する税額控除法案は8%に縮小されて通過した・・

・・(※先述した改正案のことで)しかし、この改正案が、国会の壁を越えることができるかは不透明だ。企画財政部は今月中に改正案を国会に提出する予定だと明らかにしたが、法案が国会に移れば、与・野党が議論する修正過程が必要になる。現在では、国会過半数議席を占める野党の同意を引き出すのは容易ではないだろう。さらに、米国が主導する半導体サプライチェーン協力体「チップ4」でも、我が国の役割は曖昧であるという指摘が出ている。日本と台湾は米国と具体的な技術協力を議論、実益を得ているが、韓国はチップ4参加を公式化しただけであまり進捗がない状況だ。 去る5日、日本は自国統合半導体企業ラピダスを掲げ、米国情報技術(IT)企業IBMとファウンドリー分野技術協力計画を発表した。

 

米国はグローバルサプライチェーン協力を強調している。ラム・エマニュエル駐日米国大使は去る9日(現地時刻)ブルームバーグ通信とのインタビューで「米国政府は韓国、日本、オランダ共に、より強い対中半導体輸出措置のため緊密に協力することを望んでいる」 「これは重大な事案で、関連して議論中だ」と話した。 オランダには、微細半導体プロセスに不可欠な極紫外線(EUV)露光機を独占供給する機器会社ASMLがある。エマニュエル大使の公式発言とは異なり、尹政権はまだ関連議論をしていないことが分かった・・>>

そもそも、政府のスタンスが微妙なのがもっとも大きな理由でしょう。去年12月13日、中国側の国営メディアグローバルタイムズ(環球時報の英文版、この部分の引用ソースはニュース1です)は、「最近米国が日本、オランダに要請している半導体関連の対中輸出制限措置に、日本とオランダが事実上協調することで同意したというが、結果的に、耐えられなくなるだろう。実はその話、米国は韓国に先に言ったが、尹政権はその話に積極的に乗らなかった」と報じたことがあります。

 

 

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