尹大統領、「イランはUAEの敵」と公言・・イランとUAEは8月に大使レベルの外交関係を復元済み

尹錫悦(ユンソンニョル)大統領がUAEを訪問し、多額の投資を誘致した、というニュースが流れました。ちょうど岸田総理の欧米歴訪があったので、多少の対抗意識もあったのでしょう。個人的には、李明博政権のときも似たような展開があったので、「へーそうですか」としか思っていませんでしたが・・朝鮮日報など複数のメディアの記事によると、妙な発言がありました。UAEにいる韓国軍の将兵たちに演説した際、尹大統領が「イランはUAEの敵。北朝鮮が韓国にとってそうなのと同じだ」と公言してしまったのです。イラン側は「韓国政府の説明を待っているところだ」としており、国内記事も雰囲気が一転、こちらの方が話題になっています。

イランとUAEは関係が良いとはいえないものの、8月に6年ぶりに大使が復帰するなど、外交関係を『格上げ』(ロイター通信日本語版原文ママです)しました。「2019年にはイランとの関係修復に着手していた。サウジも2021年、イランとの関係改善に向けた直接協議を開始。UAEとサウジはそれぞれ、イランの地域覇権の動きを抑えたい一方で、経済的利益を重視するためイランとの緊張緩和も図りたい意向がある」、とも。ソース記事も指摘していますが、韓国と北朝鮮の関係とは違います。以下、<<~>>が引用部分となります。

 

<<・・イラン外務省が、16日(現地時刻)、「尹大統領の干渉発言(meddling)を真剣に注視している」とし、「この問題に対する韓国外交部の説明を待っている」と話した。アラブ首長国連邦(UAE)を国賓訪問中のユン・ソクヨル大統領が、最近『アーク部隊』を訪れ、「UAEの敵はイランで、韓国の敵は北朝鮮」と話したが、これに対してのものだ。ナセル・カンニ外務省スポークスマンはこの日、「尹大統領が最近イランとUAE関係について話したことを、注視している」と述べた。 彼は政府高位関係者が引用されたマスコミ記事に言及し、「(ユン大統領が)イランとUAEを含むペルシャ湾沿岸諸国との関係について、よく分かっていないようだ(totally unaware)」とも述べた。

イランとUAEは最近3つの島嶼をめぐって紛争するなど葛藤の要素もあるが、経済協力が活発で、昨年8月には大使レベルの外交関係を復元している。カンニスポークスマンは「イラン外務省は韓国が最近見せている姿勢(recent stance)を真剣にフォローしている」とし「韓国外交部の説明も待つ」と話した。 カンニ スポークスマンは今月9日には、対イラン経済措置によりウォンで凍結している70億ドル(8兆6870億ウォン)にも言及し、「韓国政府がこれに関連する約束を履行するのを待っている」と話した。このため外交部は今回のユン大統領の発言が両国関係に及ぼす影響を注視している(朝鮮日報)・・>>

 

外交部は「該当発言は将兵たちを激励するためのもので、韓国・イランとの関係とは無関係だ」「イランとの関係張ってのための意志が変わったことなど無い」と声明を出しましたが・・さて、どうでしょうか。ちょっと短いので70億ドル関連でもう少し書きますと、これ、単に「『米国の措置』のため」とはちょっと違います。もちろんもっとも大きな理由はそこでしょうけど、イラン側がなぜ『約束の履行』というのか。これも重要な要素だと思いますが・・私が読んだ記事の中では、この件について言及したものはありませんでした。

何の約束なのか。当時、イランは「韓国政府が、イランに資金を移転すると約束した」と公式に発表しました。同じく朝鮮日報(朝鮮BIZ)が2021年2月23日に報じています。凍結状態のイランの資産(預金)をイランに移転するとしたとイランが発表した、しかし、その直後に韓国外交部が『細部事項を話しただけで、米国とはまだ話していない』と、移転するとは言ってないと話した、と。このとき、イラン側は、政府自ら「韓国が資金を移転することにした」と公式発表しました。約束とは、このことでしょう。

 

<<・・イラン政府が、韓国に凍結されている資金の移転・使用について韓国政府と合意したと発表した。しかし、政府は、イランと凍結資金解消のための詳細な手順に合意しただけで、米国との協議手続が残っていると明らかにした。イラン政府は22日(※2021年12月22日、現地時間)ホームページに掲載した声明で、アブドルナーセル・ヘンマティー中央銀行総裁がユ・ジョンヒョン イラン駐在韓国大使に会って、韓国内の凍結資金の移転と使用方法を合意したと発表した。声明によると、双方は、前日の会談で、韓国内と凍結資産をイランが希望する場所に移転することに合意し、イランの中央銀行は、韓国側に移転資産の規模と目的地の銀行を通知することにした。

国営IRNA通信は、イラン中央銀行の発表を引用して、ヘンマティー総裁がユ大使に会って、韓国内の凍結資産の使用方法に合意したと報じた。 IRNA通信は「この日の会合は、韓国の要求に応じて行われた」とし「ユ大使は韓国政府が韓国にあるイランの全ての資産を使用するために必要なすべての措置をする準備ができており、これに関連し、何の制限や制約はないと話した」と伝えた。ヘンマティー総裁は「イラン政府は、韓国のアプローチの変化を歓迎する」とし「ただ、イラン中央銀行は、韓国の銀行が、ここ数年の間、イランとの協力を拒否したことについて、補償を要求するための法的手続きを継続するだろう」とした。また、「韓国は、この思わしくない先例を解消するために多くのことをしなければならないだろう」と述べた。

 

しかし、韓国政府は、凍結資金の解消のためには、米国との協議手続が残っていると説明した。外交部当局者は「これまでイランと凍結資金を移転するいくつかの案を議論してきたし、技術的な部分で、細部まで合意したという意味」とし「このような基本的な方向の下で、米国との協議を開始したところだ」と伝えた。続いて「最終的には資金を凍結するかは、米国の同意がなければならない問題」とし「現在、これといって状況に変更があるわけではない」とした。韓国で凍結されたと資金は、70億ドルと推定される(朝鮮日報)・・>>  いつもよりちょっと早いですが、今日はこれで失礼します。

 

 

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