いわゆる「ピークチャイナ」・・中国GDP成長率3%の時代。「中国のGDPが1%p減ると、韓国のGDPも0.5%p減る」とも

2022年中国のGDP成長率が、3.0%で、人口も初めて減少したという報道が話題になっています。新型コロナによる影響がもっとも大きいでしょうけど、「回復できたとしても、もう大幅な成長率を維持するのは難しいのでは」という意見が目立ちます。「安保は米国、経済は中国」を当たり前のことと信じている韓国。いわゆるピーク・チャイナ(頂点は過ぎた)を前に、複数のメディアが「何かの対策を練るべきた」という記事を出しています。中国のGDPが1%p下がると、韓国も0.5%p下がると言われている、とも。ただ、いつものことですが、具体的にどうすればいいかが書いてある記事はありません。

たとえば、「中国の成長に頼る政策は限界が明確だ。新しい対中戦略の策定と、輸出・輸入先の多様化がが必要だ」「しかし、中国が大きな市場なのも事実なので、サプライチェーンの再編に備えながら、代替不可能な製品の輸出拡大戦略が並行しなければならない」、「中国のリスク要因だけでなく、チャンス要因も見逃さない対策が必要だ」(ソース記事毎日経済)などですが・・そうですね、そうなればいいのですが、本当にそうできるのか、と。ちょうどこの前、『同盟という義理だけで中国から離れることはもうできない』とする半導体業界関係者の言葉を紹介したばかりですし・・

 

2022年、中国は韓国の輸出の22.8%、輸入の21.1%を占めました。記事にもよりますが、貿易規模では日本と米国を合わせたより大きいと言われています。2022年中国の対韓輸出・輸入金額も計3623億ドルで、2位でした(日本より大きいです)。1992年の韓中修交以後30年間、韓国と中国の貿易規模は47倍に増え、貿易で中国が占める比重も6倍になったものの・・その貿易の構造は、中国が黒字を出すパターンに変わってきました。一時は貿易黒字の80%が中国との貿易から出ていましたが、最近は貿易赤字が続いています。以下、各紙、<<~>>が引用部分となります。

<<・・中国経済が回復しても、いままでのような高成長は期待できそうにない。2010年までにも10%台を記録した中国の成長率は、2012~2015年7%台、2016~2018年6%台、2019年以降は5%台まで下がった。インフラ構造の建設による成長モデルは限界に達し、米中対立によるサプライチェーン問題まで重なり、成長率の鈍化が避けられないという見通しが相次ぐ。人口も減少に転じた。中国人口は昨年末14億1175万人で、1961年以降初めて減少したが、人口減少は住宅需要と内需にマイナスの影響を及ぼす。

 

中国経済の成長は我が国に好材料だったが、その過程で中国に過度に頼るようになった。輸出は中国の割合が25%に達し、半導体は中国の輸出の割合が40%に近い。輸入でも中国依存度が80%以上の原材料や製品が2000個に達する。中国の成長率が1%ポイント下がると、韓国の成長率0.5%ポイント下落圧力を受けるという分析があり、ジェイソン・ファーマン ハーバード大学教授は年初、全米経済学会で、韓国経済の最大のリスクは中国経済だと指摘した(毎日経済)・・>>

このように、いままで韓国の経済成長を導いた2つの柱、「中国」と「民間債務」が、共に限界を迎えつつあります。それに、もしこれから中国経済が回復に向かうとしても(実際、ある程度は回復に向かうでしょうし、反動で来年はまた良い数値が出せるかもしれません)、それでも中国が「内需強化政策」を推進している以上、一時のような「チャイナブーム」は期待できないでしょう。前にも引用した記事ですが、マネートゥデイは、「(新型コロナなどの影響もあるし中国の経済成長が鈍化したのももちろんあるけど)もっとも重要なのは、構造そのものが変化したこと」と指摘しています。

 

<<・・もっとも大きいのは、中国政府の内需強化政策が、輸入に依存していた中間財を自国産製品に置き換える効果を出している点だ。半導体など、先端産業の育成のために、中国が国産化を推進しているのも、両国間の貿易収支に影響を与えている。ジョン・インギョ、インハ大学国際通商学科教授は、「私たちが中国に中間財を輸出し、(※中国で最終消費財を作って)中国が米国に輸出する仕組みが、もう機能しなくなった」と指摘した。

貿易協会が去る18日発表した「最近の対中国貿易収支診断」報告書によると、半導体製造用装備において中国の国産化率は、2021年末に21%だったが、今年1~6月には32%まで上昇した。これにより、我が国の対中半導体製造用装備の輸出は、1~6月基準で前年同期より51.9%も減少した。装備を、中国が自国産製品に置き換えているのだ。このような傾向は、過去30年間維持してきた、「私たちが中間財を中国に輸出して、中国が完成品を世界に売る」という両国間の貿易構造がもう変わった可能性を示唆している(マネートゥデイ)・・>>

 

 

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