韓国政府、ローン金利などに『人為的介入』か・・基準金利を上げておいて各金融機関に「金利を上げるな」

7回も連続で基準金利を引き上げた韓国で、妙な現象が起きています。去年12月までは、基準金利が上がったので、預金の金利もローンの金利も急増しました。しかし、12月からは、金融機関の貸し出しの金利も上がらず、定期預金などの金利はむしろ1%以上も下がりました。理由は簡単で、金融当局が圧力をかけたからです。当局は去年から同じ動きを見せていましたが、さらに本格的に動いた、といったところでしょうか。明らかに人為的な介入だと指摘されています。

貸出の金利を決める際、13年前まではCD金利が主な基準になりました。CD金利は、銀行が短期資金調達をするために発行する定期預金証書(ソース記事国民日報より)のことで、2010年代までは各銀行がこのCD金利を基準にしてローンの金利などを算出しました。ただ、預金と貸出のマージンを人為的に調整するため(銀行側が市場の実際の状況より利益を得るため)、大手銀行が出す数値がそのまま反映される、すなわち『一部の大手銀行が介入する』形になりました。結果、市場はこの基準を信じなくなり、2010年頃、今の「COFIX(コフィックス)」が導入されました。

 

COFIXは、銀行連合会という機関が、国内8つの主要銀行(KB、韓国、新韓、農協、ハナ、韓国シティ、SC第一、企業銀行)の資金調達費用を分析して算出します。銀行が資金を調達するのにどれぐらいお金がかかるのか、を算出するわけです。ソース記事は、13年前に一部銀行が介入して問題になったのに、2023年には政府自ら同じことをやっていると指摘しています。金利が上がるか下がるかより、結局、市場がCOFIXを信じなくなってしまう、というのです。以下、<<~>>が引用部分となります。

<<・・今月、韓国銀行がまた基準金利を上げたが、銀行圏の預金金利はむしろ低くなり、金融消費者の不満が続出している。その中、金利の推移を反映するCOFIXへの関心が高まっている。最近、金融当局が貸出金利の引き上げを防ぐため、銀行の調達費用に該当するCOFIXを人為的に下げたという議論がおさまらないでいる。市場状況を反映できないという理由で、CD金利の代わりにCOFIXが導入されてから13年が経つが、まだ『官治』金融の沼から抜け出せないでいるという指摘だ。

 

金融当局が預金金利の上昇を遮断する表面的な名分は、ローン金利の上昇を抑えるためだ。主要銀行の大半は、新規取扱額基準コフィックスと新残高基準コピックス(※コフィックスにはいくつか種類があります)に基づいて変動ローン商品の金利を策定している。預金金利は、銀行がローン商品を売るための資金を調達するための費用でもある。銀行が顧客に預金金利年5%を払って資金を受け取るなら、少なくとも5%以上の貸出金利を策定しなければ、利益が残せない。 金融当局が銀行に圧迫を加え始めた昨年11月には、銀行圏の預金金利も5%を超え、貯蓄銀行の金利は7%台を目の前にしていた。特にレゴランド事態で資金市場が梗塞され、証券会社など第2金融圏に対する不安が広がると、安全ながらも高い金利を提供する銀行で資金が集まっていたのだ・・

・・結局、金融当局は、市場安定のためにCOFIXを引き下げる「避けられない選択」をしたという立場だ。ただ、当局のこのような動きが、市場の秩序を乱すのではないかという指摘も相次いでいる。COFIXが国内銀行の預金金利に基づいて算出されるのは、その金利が金融消費者の資金需要・供給を比較的正確に反映するという信念があるからだ。だが、当局が銀行の営業に直接介入して金利を下げたりすれば、市場状況とかけ離れた数値が出るしかない。CD金利に代わってCOFIXが導入されてから13年目だが、まだなにも変わっていないという批判もある・・>>

 

一部からは、「どうせヨンクルした人たちを守るためだろう」という不満もあるようです。まだ大統領候補だったとき、各種介入を通じて『大きな政府』を目指していた文政権に対し、「市場に任せるべきだ」と主張していた尹大統領。でも、結局はこういう流れになりました。そういえば、尹大統領が(同じく、就任前に)THAAD追加配備の話が出たとき、文大統領が「いまは当選者(就任前)だからそんなこと言ってるけど、大統領になったらできないでしょう」と話したことがあります。実際、そうなりました。さすがに家計債務にTHAADは関係ないでしょうけど、似たような流れが各分野で起きている、といったところでしょうか。というか、ここまでしながらも金利を上げ続けないといけないというのまた・・

おかげさまで、無事に白川郷・飛騨高山旅行が出来ました。サブブログに写真を載せましたので、よろしければぜひ御覧ください。こちらになります。(※ドール写真も一緒に載っているので、苦手な方はご注意ください)。

 

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