名誉教授「マンションは、韓国では身分の基準だ。『かかとを持ち上げて歩くべき』と放送が流れるこの建物のどこがそんなにいいのか」

最近、ヨンクルだのなんだのとマンション関連の話が多いですが、その背景には「こうでもしないと身分上昇できない」という心理があります。そういう心理を反映してか、「スプーン階級論」のように、アパート(以下、マンションとします)カースト論というものが出回っている、とのことでして。成均館大学のソン・ジェソ名誉教授の国民日報寄稿文を一つ紹介します。ソン教授は、併合時代に作られた建物で45年間暮らしたそうですが、マンションで暮らすようになってから、どうしても馴染めないとし、なんでこれが人の身分を決める基準になったのかよく分からないと書いています。以下、<<~>>が引用部分となります。

<<・・マンション管理事務所からは、毎日のように層間騒音(※マンションの隣または上の層から響いてくる騒音のこと)と、喫煙マナーに関する放送が流れてくる。「扉を強く閉めるな」、「夜はピアノを引くな」、「家の中を歩くときは、かかとを持ち上げて歩け」、「早朝や深夜の時間にはシャワーを浴びるな」、さらには「魚を焼くにおいを漂わせるな」というものまであり、気をつけなければならないことがあまりにも多い。思いっきり声を出すこともできない・・

 

・・(※便利な部分もあるだろうけど、教授にはマンションの何がいいのか分からないという内容のあとに)現在、韓国の人口の約70%がマンションに住んでいるという。マンションの人気が高いのは、マンションを生活空間としてではなく、身分の誇示と投資の手段として考えているからだ。どの街に住むかが一次的にその人の身分を示し、その近所のどんなマンション、さらに広さはどれぐらいのマンションを買ったかが、その人の身分を確認するための指標となってしまったのだ。

オンライン上では、「不動産カースト制度」という言葉が出回っている。カーストはインド社会の階級制度をいう。カースト制度は厳しく、階級間の移動が不可能で、親から受け継がれる。そこで、概ね価格15億ウォン以上のマンションを所有した人を最高位のブラマン、9億ウォンから15億ウォンのマンション所有者を貴族のクシャトリア、9億ウォン未満のマンション所有者をそれより低いバイシャ、無住宅者をさらに低いスドラと呼ぶのが不動産カースト制度だ。いったいなにがどうなってこんな言葉まで出てきたのやら。マンション共和国の未来が心配だ・・>>

 

メインで取り上げたいのは「認識」のほうですが・・どうしても他の部分も気になります。いくらなんでも「~するな」というのが多すぎるのではないか・・な気もしますが、ちょっと調べてみたら、確かにいろいろ制限が多いようです。特に、かかとを持ち上げて歩けって、どこのアサシンクリードですか。メタルギアソリッドか、それともプリンセスメーカーか。さすがに、高い(お値段が)ところはそうではないと信じたいところですが。ちなみに、私は歯科があるビルで暮らしていました(事実上、夕方以降は人は私だけ)。

韓国では、小型で低い(層数が少ない)共同住宅・・『日本で一般的に言うアパート』のようなものは、「ヴィラ」「連立住宅」などと呼ぶので(連立はともかく、ヴィラは本来はそんな意味じゃないですけど)、少なくとも本文でいうのは、『日本で言うマンション的なものかなにか』のはずですが。それは、ま、うるさくする人が多いから、相応の注意喚起は必要でしょうけど。高いお金払ってこちらスネークしながら住みたくはないですね。

 

で、この話になるといつも引用する記事ですが、「上の階から伝わる騒音は、配慮が足りないだけの問題ではない。音が大きく伝わるしかないマンション構造の根本的な問題かもしれない」、という指摘もあります。2018年8月22日朝鮮日報です。 <<・・「壁式」と呼ばれる韓国マンション特有の構造によるものだ。柱や梁や無く、壁で上の階の重さに耐える構造のことだ。それだけでなく、配管を交換したり、リモデリング(※リフォーム、リノベーションなど)をすることが非常に難しい・・

・・1980年代後半、マンションをより早く、よりたくさん建てるために、壁式構造を導入し、それがそのまま市場の標準になったからだ。国土交通部によると、全国で2007年から10年間供給された500世帯以上の共同住宅のうち、98.5%(194万世帯)は壁式だった。柱のある構造は、ソウルで1万9171世帯、京畿道で3667世帯など、すべて2万9202世帯に過ぎなかった・・>>、と。

海外では、高層建築物を壁式で建てることはほとんど無い、とも。海外で普通とされるのはRahmen(ラーメン構造、梁がある構造)構造だそうですが、ラーメン構造で20世帯分が作れる高さに、壁式だと22世帯分を作ることができる、とのことでして。同じ発想が「同フロア」にも適用されているなら、その分、壁や層間が「薄く」なっているはず。それも一因ではないでしょうか。

 

 

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