韓国紙の「一帯一路」関連記事・・一帯一路参加国家、相次いで社会インフラを中国に「献納」

もちろん一貫したスタンスを示しているメディアもありますが、一時は韓国メディアにも「一帯一路に参加しよう」とする記事も結構ありました。でも、政権が変わると、急に「もう完全に米国側に舵をきった」という論調が広がり、少しずつではありますが、「一帯一路は高利子の貸付業にすぎない」とする記事も目につくようになりました。米国側に舵をきったって、どこがだ・・というツッコミはともかくして、週刊東亜の関連記事を一つ紹介します。いまさらな話ですが、これ、韓国では知らない人が多いのでは?な気もします。なにせ、最近やっと記事が増えてきましたが、それでもほとんど話題になりませんので。以下、<<~>>が引用部分となります。

<<・・中国政府は今年、一帯一路プロジェクト10周年を迎え、大規模な記念行事で成果を誇示する予定だ。中国政府によると、これまで150以上の国と32の国際機関が一帯一路プロジェクトに参加した。中国は一帯一路プロジェクト参加国から石油など各種エネルギーと鉱物を独占的に輸入する経済協力を通じて中華経済圏を構築し、世界唯一の超強大国米国に挑戦できる力を育ててきた・・・・しかし、パキスタンのように、一帯一路プロジェクトに参加した国々は、経済破綻のピンチに直面している。昨年末基準でスリランカ、ザンビア、エクアドル、レバノン、ガーナ、エジプト、チュニジア、ペルー、エチオピア、ミャンマー、バングラデシュ、カンボジア、ウガンダなどがデフォルトを宣言、または経済危機に陥った。

 

中国がこれらの国家に一帯一路参加を促した結果、これらの国家は経済悪化などで借金にはまることになった。世界銀行(WB)によると、2022年まで最貧国とされる74カ国が返済すべき債務規模は350億ドルに達し、このうち40%以上が中国に返済しなければならない債務だった。また、返済できなければ港湾・空港など運営権を中国に渡すしかなかった。すでにスリランカは14億ドルが投入されたハンバントタ港の運営権を中国企業に渡した。エジプト、ウガンダ、カンボジアも主要資産に対する運営・所有権を失った。このため、西欧諸国は中国の一帯一路プロジェクトを「債務の罠(debt-trap)」と批判してきた。

特に中国政府はアフリカ諸国に集中的に次官などを提供した。 これにより、アフリカ諸国が港、道路、鉄道など国家基盤施設を建設し、中国に対する債務が急増した。中国は開発途上国および低開発国と借款契約を結ぶ際に、徹底的に「チャイナスタンダード(China Standard)」を適用する。チャイナ・スタンダードは、工事に中国産の資材を使って、中国企業が中国人を雇うなど工事を担当し、中国企業が運営することをいう。開発途上国と低開発国は、透明性の確保と不正防止策の策定など、厳しい条件を掲げる先進国や世界銀行など国際金融機関とは借款契約を結ぶのが難しいため、中国が提示した不利な条件を受け入れるしかない。

 

一帯一路がさらに問題なのは、中国が一帯一路プロジェクトを通じて、まさに国家レベルで「高金利貸付業者」をしている点だ。世界銀行によると、中国借款の平均金利は世界的に金利が上がる前の2021年にも年5%を超えると調査された。同期間、国際通貨基金(IMF)の救済金融金利は年2%台、米国連邦準備制度の通貨スワップ金利は平均0%台だった。 欧州連合(EU)の財政資金支援金利も年3%台だ。

中国は債務返済期間もほとんど10年未満で、IMFなど西欧諸国が提供する公的開発援助(一般的に金利、償還期間、据置期間など3要素を考慮して、一般資金融資より借入国に有利な条件で提供する)の返済期間が28年程度という点を勘案すれば、すごく短い。特に中国は借款を提供する際、「債務を返済できなければ、中国が債務局の主要資産に影響力を行使できる」という条項を契約書に入れる。高い利子により返済できないなら、中国が空港や港の運営権を持っていくようにしたのだ・・>>

 

いまのところ、韓国とは無関係な内容のようにも見えます。しかし、この前、半導体業界の関係者が「米国と同盟という理由で中国から離れることは、もうできなくなっている」と話したという内容をお伝えしましたが、韓国は特に経済面で、中国の影響を強く受けている国です。台湾の非営利法人「ダブルシンクラボラトリー」が「中国の影響力指数」を分析、各分野で中国の影響力が強い国を調べたところ、韓国は13位でした(日本は52位)。1位パキスタン、2位カンボジア、3位シンガポールなどです。

韓国の順位が13位まで上がった大きな理由は、調査対象になった各分野のうち、「経済」です。『経済関連での中国の影響力』の世界平均は33.6%なのに、韓国の場合、72.7%です。一帯一路は中国の経済・外交などにおいて最重要路線です。これがうまくいかなかった場合、ただでさえチャイナリスクが指摘されている昨今、韓国への影響は、他国より特に大きいと見るべきでしょう。たとえ参加国でないとしても。

 

米国が要請してきた対中半導体装備輸出関連で、日本とオランダがやっとOKしたという報道がありました。ただ、対外的に発表することはなく、手続き的なこともあるので実際には数ヶ月の時間がかかるだろう、と。関連した韓国側の記事を読んでみると、共通して「韓国側にも圧力が強くなるのではないか」「中国内の韓国メーカーの工場は大丈夫なのか」などの指摘だけでした。

論調というかニュアンスの問題かもしれませんが、そもそも「もうこれいじょう待たずに私たちも同調すべき」とする内容は、少数派でした。中国側の官営メディアグローバルタイムズは、「米国が最初は韓国に要請したけど同調してもたえなかったので、日本とオランダに積極的に要請するようになった」と報じたこともあります。本当かどうかは分かりませんが・・って、今でも各記事でよく見る「安米経中(アンミギョンジュン、安保は米国、経済は中国)」という言葉が現状認識のすべてかもしれませんが。 明日は1日休みます。次の更新は、月曜日の朝11時頃になります。それでは、良き週末を。

 

 

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