韓国、2022年中国との貿易規模が世界4位(日本が5位)に・・ただしその中身は『中国が黒字になる構造』へ

韓国が、2022年『日本を超えて(原文のままです)』中国の4番目の貿易相手国になった、という記事がありました。対中貿易収支が今までとは違う(いままでは黒字を出す構造だったけど、最近は赤字構造になりつつある)というのは国内のメディアでも何度も指摘されてきました。いくら左側のハンギョレ新聞といっても、いまさらこんな記事で『日本を超えて』と書くか・・と、少し呆れてしまいました。まず、<<~>>で引用してみます。

<<・・我が国が昨年、日本を超えて中国の4番目の貿易相手国になった。ASEANと欧州連合(EU)など複数の国家からなる国家圏域を除けば、米国に続く2番目の貿易相手国である。(※1月)31日、中国経済媒体「第一財経」の報道によると、昨年中国の輸出・輸入相手国のうち、韓国は輸出入規模3622億ドルで4位、日本は3574億ドルで5位となった。その前年度には日本が4位だった。昨年、中国の貿易相手国1・2・3位はそれぞれASEANと欧州連合、米国だった。ASEANは東南アジア諸国の集まりであり、欧州連合は欧州諸国の集まりなので、両者を除けば、事実上中国貿易で2位となる・・

 

・・昨年の韓中貿易規模は前年比0.1%増加したが、中日交易額は3.7%減少した。我が国はほぼ変わらなかったが、日本が小幅に減少し、両国の位置が変わった。中国との貿易で韓日間順位が逆転したのは、統計資料が確認される2015年以来初めてだ。ジョンヨウジュン上海国際問題研究院教授は「最近数年間、中・韓貿易が強勢を見せ、日本を超えた」とし「昨年中国貿易の特徴は、先進国からの輸入が減少し、輸出は増加したこと」と話した(ハンギョレ新聞)・・>>

輸出・輸入がGDPの70%を超えると言われていますし、貿易関連ニュースが重視されるのは分かります。でも、さすがに現状でこれを「超えた~」と書いていいのでしょうか。すでに去年から、対中貿易は赤字を記録することが増えました。これは中国内部の問題(新型コロナなど)ももちろんありますが、実は『構造』そのものの変化が現れてきたものだ、とも言われています。ジョンインギョ、インハ大学国際通商学科教授は、マネートゥデイ(去年8月22日)とのインタビューで、「私たちが中国に中間財を輸出し、(※中国で最終消費財を作って)中国が米国に輸出する仕組みが、もう機能しなくなった」ことが、対中貿易が赤字に向かうもっとも大きな理由だと指摘しています。

 

この「中間財を中国に輸出し、中国が完成品を世界に売る」パターンは、今まで30年間も維持されてきた、中韓貿易の基本パターンでした。2000年代になってから韓国経済を支えてきた二本の柱は、「民間債務」と「中国依存」だったわけです。いくら左側政権があったとはいえ、安米経中(安保は米国、経済は中国)という言葉が当たり前のようにでてくる所以でもあります。しかし、この両国間の貿易構造は、もう変わりました。こういうのを中国では「双循環」とも言うそうですが、中国政府の内需強化政策が、輸入に依存していた中間財などを自国産製品に置き換えているためです。いまはまだ(月によって)赤字になったり黒字になったりするけど、ここまでパターンが変わったのは、すでに構造変化が『戻れない』ほど進んでいるという証拠でもありましょう。

 

1月、中国への輸出額は前年同期比で30%以上減少しました。特に半導体分野では、中国への輸出額は46.6%も減少しています。韓国の場合、半導体関連装備においてそこまでシェアがあるわけではありませんが、中国へは輸出していました。規模は約20億ドルぐらいです(2021年22億ドル)。対中半導体装備輸出関連で、米国が「日本とオランダに要請する前に、先に韓国に話したけど、尹政権は参加しなかった」とする中国側の報道と、どことなく繋がっている気もします。しかし、この装備輸出が、2022年には13億7千万ドルで、特に下半期に大幅に減少しました。

最近の、米国の日本・オランダへの半導体装備輸出関連要請に中国側が見せている反応を見ると、「日本やオランダが作る装備」を国産化できるレベルまではまだ来ていないものの、韓国が作る装備なら、もうある程度は国産化できる段階まで来ているという意味でもありましょう。こんな中、4位になっても3位になっても・・

 

 

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