中国官営メディア、半導体関連で米国側に同調しない韓国のスタンスを評価し、「日本とは違い、韓国には外部に頼らないサムスンがある」・・記事の直後にサムスンは半導体営業利益97%減

もう一つだけ、半導体ネタ・・というか、中韓関連の話です。何度か取り上げながらもちゃんとソース付きで引用するのはこれが初めてになりますが、中国の官営メディア環球時報の英文版「グローバルタイムズ」は、米国の対中半導体関連措置に対して韓国の立場を評価してきました(引用ソースは『ニュース1』)。まだ日本とオランダが半導体装備輸出措置に合意する前、去年12月13日のことです。グローバルタイムズは日本とオランダがこの件に参加しないだろうし、参加しても長く耐えることはできないだろうと報じました。当時もブルームバーグなど一部のメディアが「事実上、日本とオランダは参加することに合意し、調整中」と報じていたので、その影響もあったのでしょう(結果的に、1月に両国は合意しました)。

グローバルタイムズはこの件で、韓国のスタンスを高く評価しました。実は米国は尹政権にも同じ話を持ちかけたが(※韓国の場合、中国に半導体装備を輸出しています)、効果がなかった。だから慌てて日本とオランダに要請することになった。さすが、外部要因に動じない(原文では「外部協力会社に頼らない」)サムスンを持っているだけはある、日本にはそんな会社は無い、などです。でも、ノーカットニュースによると、グローバルタイムズは2月3日、「韓国の半導体輸出が急減したのは米国の措置が原因だ」という記事を載せました。『外部協力にたよらない』はずのサムスンは、半導体営業利益97%減。以下、各紙、<<~>>が引用部分となります。

 

<<・・米国の対中半導体装備輸出に日本とオランダが参加することにしたという米メディアの報道が出たことに対して、中国官営メディアは「もともと韓国をまきこもうとしたが、それがうまくいかないから、他の国に要請したのだ。しかし、それすらもとてもぎこちない 」と指摘した。(※2022年)12月13日、中国官営還球時報の英文版グローバルタイムズは「米国は中国の半導体産業をおいこもうとして同盟国の協力を呼びかけているが、米国もその同盟国も、耐えられないだろう」としながら、このように主張した・・

・・(※西側の半導体関連措置はうまく協力できずにいる、という内容のあと)7月、コリアタイムズが報道した韓国側当局者の発言、「韓国はチップ4同盟に加入するかどうかの決定に慎重にならなければならない」を紹介しながら、「米国が同盟国とチップ4同盟事前会議をやっと開いたものの、各国関係者の間では疑問が出ている」と伝えた。グローバルタイムズは「米国が中国を半導体サプライチェーンから分離するために韓国を引き寄せようとしたが、困難を経験し、最近は日本とオランダの支持を得ようとしているが、ぎこちない限りだ」とした。

 

日本の半導体産業については、「技術発展が他の国に比べて遅れ、消費需要も減少して相対的に脆弱で、サムスンのように競争力があり、外部協力会社に大きく依存しない企業も無い」とした技術アナリストのコメントを付け加えた。また「日本は中国に半導体製品を輸出するほか、中国から半導体原料を輸入しており、完全なデカップリング(脱同調化)は国家の経済に問題を巻き起こす」と指摘した・・・・それとともに「専門家たちは日本とオランダにも自国の理解があり、米国の要求事項をすべて受け入れないだろうと見ている」と伝えた(ニューシース)・・>>

 

しかし、2月3日にもグローバルタイムズは関連記事を載せましたが、そこでは「韓国の半導体輸出が急減したのは、米国の措置が原因だ」となっています。サムスンの場合は営業利益97%減となっており、「外部協力社に頼らない」がまったく意味なかったことになりますが・・今回は関連した内容はありませんでした。 <<・・1月半導体輸出が前年同期比半分になり最大の貿易赤字を記録した中、中国官営メディアがこのような結果は米国の対中牽制によるものだと主張した・・

・・官営メディアグローバルタイムズは、3日、韓国の最大貿易国である中国に対する半導体輸出が、米国の中国との半導体競争の影響で、1月にほぼ半分に減ったと報道した。グローバルタイムズによると、中国側の専門家たちは「韓国の半導体メーカーが巨大な中国市場を失い、余裕がない」とし「韓国が半導体輸出関連措置を強化する米国政府にしたがわず、中国と共にグローバル産業・サプライチェーンの安定性を継続 維持しなければならない」と促している(ノーカットニュース)・・>>

 

昨日、一昨日も同じ趣旨を書きましたが、韓国側メディアの記事は『韓国にも要請が来たらどうしよう』という内容をメインになっています。しかし、いま危機感を持つべきは、『なんで韓国にはこんな話が来ないのか』ではないでしょうか。来てないのか、それとも来なかったことにしているのかは分かりませんが。また、グローバルタイムズは日本の技術は~とかなんとか言ってましたけど、中国の外交部長は林外相に電話をかけ、経済・技術的関係維持のためにもサプライチェーンのため開放性が維持しましょう~と話しました。オランダの副総理とも同じ趣旨の通話をした、とも。

 

 

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