トルコ大地震をきっかけに、韓国でも耐震設計が議論に・・2022年6月基準、耐震性能確保は全建築物の12.9%だけ

まず、トルコ・シリアでの大地震で亡くなった方々のご冥福をお祈りします。一日でも早い安定と復興を願っております。昨日、帰りがおもったより遅くなったので(告知で書いたのと別の用事をもう一つ済ませてきました)情報チェックも遅れてしまいましたが、被害規模がどんどん増えていて・・見ていて辛かったです。なぜか、レナの顔も悲しそうに見えました。

関連した内容として、一部の海外メディアが、崩れた建物のパターン(上のフロアが下にそのまま落ちてくる、いわゆるパンケーキ式)などを分析し、建築物が耐震基準をちゃんと守っていないのではないか、と指摘しています。これらを引用報道した中央日報によると、トルコは1999年に1万7000人以上の方々が亡くなったイズミット大震災以後、2007年から耐震設計を義務化し、建物の安全関連措置も強化しました。しかし、一部では、関連機関の黙認の下、ちゃんと守られなかった、とのことでして。中には、いわゆる手抜き工事も少なくなかった、とも。

 

トルコ出身の技術者エロール・キルタス氏は、ニューヨーク・タイムズとのインタビューで「最近建てられた、耐震設計が適用されたはずの建物も一気に倒壊した」と話しています。他にも、米国、イギリスなどの専門家も、「耐震設計が全くできていない」、「鉄筋が足りない」、「上のフロアがそのまま下のフロアに落下したことは、地震発生時に安定しない構造になっていたということ」などと、この件を裏付けています。そこで、国民日報など一部のメディアが、「2022年6月の調査で、耐震設計基準を満たしている建築物は12.9%だけだ」としながら、韓国内の耐震設計関連の記事を載せています。以下、<<~>>が引用部分になります。

<<・・8日、ソウル市地震安全サイトによると、先月基準でソウル市内建築物59万3533棟のうち、耐震性能を確保できなかった建物は47万7709棟だった。全体の80.5%に達する。全国的にも耐震確保比率は大して変わらない。ホ・ヨン「共に民主党」議員に国土交通部が提出した全国建築物耐震設計現況によると、昨年6月基準で全国建築物732万5293棟のうち耐震性能が確保できた建築物は94万2194棟で、12.9%に過ぎなかった。耐震対象とされる614万8639棟を基準にしても、全体の15.3%だけが耐震性能を確保した状態だった。国内では1988年になって耐震設計が初めて建築法に規定され、適用義務対象を拡大する傾向にあるが、まだまだ、その比率は高くない状況だ・・

 

・・ジョウォンチョル延世大土木工学科教授は本紙との通話で、「国内建築物の80~90%は耐震設計が適用されなかった1980年代以前に建てられたもので、特に一戸建て住宅のように小さな建築物は、ほとんど耐震設計されておらず、大きな地震でもあればすべて倒壊するしかない」と話した。 ホン・ソンガル、ソウル大建築学科教授も、「もし国内でトルコ大地震のようなものが発生すれば、残るものなど何一つない、そんな状態になる可能性がある」と憂いた。

特に低層の建物が地震に対してより脆弱であるというのが専門家の説明だ。1988年以前は全く規定がなく、以後2005年まで、5階以下の建物は耐震設計対象ではなかった。2017年に「2階以上の建物」に強化されたが、新築建物にのみ適用される。 このため、人口密度が高く、古い多世代住宅が集まっている首都圏に地震が発生すると、大きな影響が懸念される(国民日報)・・>>

 

余談ですが、(引用部分にはありませんが)記事でも専門家が言及していますが、韓国の住宅街には組積式、すなわちレンガ造りの家が目立ちます。マンション団地ばかりが注目されていますが、実は首都圏地域の住宅街にある家は、多くがレンガ造りです。これは、単に古いからというのもありますが、「高級っぽい」「品格がある」という認識があるのも、理由でレンガ造りの家が流行ったのも一因です。聞いただけの話ですが、町の代表や大金持ちがレンガ造りの家に住んでいたからだそうです。レンガ造りの家にもいろいろ基準があるだろうから一括りにはできませんが、首都圏にあるこれらレンガ造りの家は、地震の影響から逃れるのはまず難しい、と言われています。

 

 

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