韓国半導体業界に危機感・・将来性を疑問視したか、『人材』とされる人たちは半導体業界に進まず

半導体関連で、まだまだ多くの記事が出ています。主にサムスン電子関連が多く、昨日(2つ前のエントリー)もお伝えしましたがサムスンディスプレイから20兆ウォンを借り入れることにしたとか、現金性資産が急減したとか、他には在庫が1年で10兆ウォン分も増えてしまって、もう減産するしかないのではないか、そんな内容です。表向きには、減産しないと発表しています。

他にもいろいろ記事は出ていますが、その中でユニークなのが、『そもそも、もう人材が来なくなった』というヘラルド経済の記事です。特に有能とされる人は、大学入試を受けず、『随時募集』という形で大学に合格することができます。ソース記事には書いてませんが、他にいろいろ読んでみたところ、いままではこの随時募集だけで(後述しますが追加合格無しで)、半導体関連学科はほとんどが定員を満たしていた、とのことです。大学入試をして他の学科に進学する前に、有能とされる生徒を半導体関連学科に入学させ、それだけでほとんど満員だった、という意味です。もちろんこれは首都圏にある有名大学のことで、全国的にそうだったわけではありませんが。

 

ですが、「ソウルにある有名大学の半導体関連学科」で「随時募集合格」という好条件であるにもかかわらず、去年には136人の合格者の中、該当学科へ進学した人が1人もいなかった、とのことです。記事では「(データの対象になった有名大学の半導体学科の随時募集の定員は)136人なのに、199人を追加で合格させなければならなかった」としています。これがどういう意味なのかと言いますと、136人を合格させたけど、誰も入学してくれなかったので、さらに136人合格させたけど、それでも63人は離脱したので、結果的に最初の136人と追加で199人を合格させ、全部で335人も合格させなければならなかった、という意味です。以下、<<~>>が引用部部となります。

<<・・「半導体分野に未来の人材がいなければ、今後、我が国は何を食べて生きることができるのでしょうか」(業界関係者)。半導体人材がいなくなった。ソウルの主要大学の半導体関連学科の大多数が、新入生を確保できずに苦労している。人材誘引のための国家レベルの対策が用意されなければならないという指摘が出ている。半導体産業が国家経済を支える核心事業であるだけに、政府が積極的になって一貫したメッセージを伝えなければならないという声が高いのだ。

 

17日、鍾路学院(※大学入試の名門塾)によると、2023年ソウル主要半導体関連学科の随時募集136人定員に、199人の追加合格者が発生した。 136人の最初の合格者の誰も登録をせず、募集人員の1.5倍に達する追加合格者が発生したという意味だ・・・・延世大、高麗大、漢陽大、西江大など主要名門大学ともに、「0人登録」問題を経験した。サムスン電子、SKハイニックスとの採用連携も無駄だった。

募集に比べて追加合格が最も高いのは西江大学システム半導体工学科だ。SKハイニックスと連携した契約学科だが、20人の定員に47人の追加合格者が発生した。最初に合格した20人全員が登録せず、追加合格者として定員の2倍を超える47人を選んで、やっと定員が満たされたという意味だ。サムスン電子と採用連携を結んだ延世大システム半導体工学科も40人定員に72人の追加合格が発生した(ヘラルド経済)・・>>

 

さて、遅くなったもののここから本題ですが・・TSMCが熊本に工場を作ることで話題ですが(第2工場も考えているとか)、熊本大学が2024年度に、なんというんだっけ・・(検索)・・「情報基盤融合学環」を新設するというニュースがありました。いうまでもなくTSMCとの連携を意識してのものでしょう。あのときから、日本の半導体関連の動きは話題になっていましたが、個人的に「ああ、本気だな」と思ったのがこのニュースです。将来性というか、ちゃんと将来を、未来を見ていることがわかったからです。日本関連でこんなニュースが出たの、最近では聞いた記憶がありません。

逆に、今日このニュースを読んで、「ああ、これ、確かに揺れているな」と実感しました。韓国で半導体業界が人気ないという話は聞いたことがなかったので。このレベルの大学で随時募集で合格させるほどの人なら、韓国では最高クラスのはず。圧倒的な教育熱に包まれている社会。その最高クラスたちにまつわる情報網のようなものがあって、それが「半導体業界は、もうあまり勧めない」としているのでしょう。そうでないと、登録ゼロなんてありえません。なにかの前触れか、それとも一時的な現象なのか・・までは、まだ言い切れませんが。

 

 

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